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【税務Q&A】領収書の印紙税について

代表ブログ,税務Q&A | 2011年7月13日 水曜日 10:07

【質問】
1.質問事項
 いす通販会社で、お客様が領収書希望のときには、領収書を発行しています。

 その際、クレジット決済の時には収入印紙は貼らないのですが、銀行振込みで入金頂いたときには、3万円以上の場合には、200円の収入印紙を貼っております。

 最近、その事務員の人がインターネットで「お客様が銀行振込みの際の領収書には印紙は不要」という記事を見かけたというので、確認のため質問させていただきます。

 また、他社のインターネット注文で見かけるのですが、
 「領収書は発行しておりません。金融機関の振込み控えをもって領収書とさせていただきます。」

 さらに、領収書がほしいときは、印紙代を客に負担させる。
 「お客様に収入印紙代金をご負担いただくこととなりますので、予めご了承をお願いいたします。」
 このようなことも許されるのでしょうか。

 なお、当社は、銀行振込みの場合にも、領収書を発行する方針です。

【回答】
1 ご質問は、通信販売を行う事業者が、顧客から銀行振込みの方法で販売代金を受領した場合に、領収書を発行しているという前提で、その領収書に印紙税が課税されるかというものです。

 ところが、インターネット等の情報(記事)等から、「銀行振込みの際の領収書」という表現が用いられたために、性質・作成者の異なる三つの文書について、これを区別しないまま、議論が混線した状態で受け取られているようです。

 ここで、三つの文書というのは、(1)顧客が銀行において現金をもって振込送金する場合に作成される、その銀行が作成者である「振込金受取書」、(2)顧客が銀行において自己の預金口座から資金を払い戻して振込送金する場合に作成される、「預金払戻請求書・預金口座振替による振込受付書(兼振込手数料受取書)」、(3)通信販売を行う事業者が、顧客から銀行振込みの方法で販売代金を受領した場合に発行する「領収書」のことです。

 このような混線の生じている原因は、具体的な文書を前提としていないために、質問者と回答者がそれぞれ異なった文書の形式をイメージしていることにあります。

 また、銀行振込みの場合に銀行に支払う手数料の観念が欠落しています。

 さらに、金融機関によって異なる形式の文書が作成されることがあることも考慮しておく必要があります。ここでは、標準的なものとして上記の3類型を前提として回答することとします。

2 上記(1)の「振込金受取書」について
 この場合の「振込金受取書」には、例えば、振込金額100,000円と振込手数料630円というような記載があります。
 印紙税法別表第一の17号の定義欄の1のロのかっこ書では、振込金の受取書は、17号の1文書《売上代金に係る金銭の受取書》の範囲から除外されています。この部分の記載は、17号の2文書《売上代金以外の金銭の受取書》に該当します。

 他方、振込手数料は、銀行の収益ですから、その受取書は、17号の1文書に該当します。

 このことから、この文書は、17号の1文書と17号の2文書の双方に該当することになりますが、このような場合、その税率の適用については、印紙税法別表第1課税物件表の適用に関する通則の4のハの(一)により、売上代金に係る金額を当該文書の記載金額とすることとされています。この場合の税率の適用上の記載金額は、630円です。

 なお、記載金額が3万円未満の非課税文書に該当するかどうかは、合計金額100,630円で判定しますので、本件文書は、100万円以下のもので印紙税額は200円となります。

3 上記(2)の「預金払戻請求書・預金口座振替による振込受付書(兼振込手数料受取書)」について

 この文書には、振替金額100,000円と振込手数料630円というような記載があります。

 この文書には、100,000円を顧客の預金口座から通信販売業者の預金口座に振り替える委任事務手続を受け付けた事実を証する部分があり、この部分は不課税です。

 また、振込手数料630円の受領事実を証する部分は、17号の1文書に該当します。
 ただし、その記載金額630円は、3万円未満ですから、非課税です。

4 上記(3)の通信販売業者が発行する「領収書」について

(1)この文書は、通信販売業者が売上代金100,000円を受け取った事実を証するものとして顧客に交付する文書です。
 この文書は、17号の1文書の要件を備えています。
 本件文書は、100万円以下のもので印紙税額は200円となります。

(2)印紙税法3条1項は、課税文書の「作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。」と規定しており、この規定の適用に関し、国税に関する法律において、銀行振込みに係る領収書の作成者を除外する旨の特別の規定は定められておりません。したがって、銀行振込による領収の事実を証するために作成される文書であっても、同項が適用され、その作成者は所定の納税義務を負うことになります。

5 印紙税の顧客負担について
 次に、ご質問は、インターネット等の情報(記事)等から、印紙税を顧客の負担とすることができるかを尋ねておられます。

 印紙税は、当該文書(領収書)の上に印紙を貼付することによって納付する税です。したがって、領収書に正しく印紙が貼付されていれば納税は完結し、その印紙が何人の負担によって購入されたかについてまで税法が介入することはありません。

 印紙税の納税義務については、上記のように領収書の作成者が納税義務を負うことに定められています。もっとも、商品の販売は経済取引ですから、印紙税の負担を顧客の負担とすることも、顧客が納得する限りは差し支えありません。

 しかし、民法486条は、「弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる。」と規定しています。

 したがって、通信販売事業者は、印紙税の負担がかかることを理由に受取証書の交付を拒むことはできません。かえって、顧客の側から受取証書を交付しないのならば代金を支払わないという抗弁が出されると、困るのは通信販売事業者の方ではないでしょうか。

 顧客が銀行振込みの方法で支払ってくれることによって、通信販売事業者は代金回収の手間や費用を免れているのであり、銀行振込みを促すために、振込手数料は通信販売事業者の負担として振込金額から差し引いてもよいとする事業者も多数みられるところです。

6 最後に、ご質問の趣旨からはずれるかも知れませんが、例外的に印紙税を申告納付する場合には、第三者納付の制度も認められています。

 すなわち、国税通則法41条1項(第三者の納付及びその代位)において、「国税は、これを納付すべき者のために第三者が納付することができる。」と定められていますので、作成者以外の者が印紙税を負担することも許されます。

【関連情報】
《法令等》
印紙税法3条1項
印紙税法別表1の17号
印紙税法別表1課税物件表の適用に関する通則の4のハの(一)
国税通則法41条1項
民法486条

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