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不動産賃貸が事業的規模でなくなった場合における青色申告特別控除の可否

【質問】  私は、賃貸アパート(8世帯用)を2棟所有し、事業的規模の不動産賃貸業として毎年当該賃貸アパートから生じる不動産所得について、青色申告特別控除65万円の適用を受けてきました。  本年9月30日に賃貸アパートの1棟を取り壊し、現在、その跡地に長男夫婦の居住用家屋を建設中です。このことによって同日以後は事業的規模の不動産賃貸業には該当しなくなりますが、本年分の不動産所得について、青色申告特別控除65万円の適用を受けることはできますか。 【回答】  青色申告特別控除65万円の適用は受けることができます。 【関連情報】 《法令等》 所得税法26条 所得税法27条 所得税法148条1項 所得税法施行令63条 所得税法施行規則57条 所得税法施行規則58条 所得税法施行規則59条 所得税法施行規則60条 所得税法施行規則61条 所得税法施行規則62条 所得税法施行規則64条 所得税法施行規則65条 所得税基本通達26-9 租税特別措置法25条の2第3項 租税特別措置法施行規則9条の6 租税特別措置法通達25の2-1 租税特別措置法通達25の2-4 【解説】  青色申告特別控除(65万円)は、不動産所得又は事業所得を生ずべき「事業」を営む青色申告者が、所得税法148条1項《青色申告者の帳簿書類》の規定により、所定の帳簿書類を備え付け、一切の取引の内容を詳細に記録している場合(所規57条〜62条、64条)に限り、その適用を認めるとするものです(措置法25条の2第3項、措規9条の6)。  そうすると、青色申告特別控除(65万円)の適用が受けられるのは、不動産所得又は事業所得を生ずべき「事業」を営む青色申告者に限られますが、その年の12月31日まで引き続き事業を行っている場合にのみこれを認めるとする規定ぶりにはなっておらず、「当該事業につき青色申告の承認を受けている年分の不動産所得又は事業所得の金額に係る一切の取引の内容を詳細に記録している場合」とされていることからしますと、年の中途で不動産貸付が事業的規模(所基通26-9)から非事業的規模に縮小された場合であっても、少なくとも当該事業的規模に係る部分の不動産所得について「一切の取引の内容を詳細に記録している場合」であれば、当該不動産所得の金額の計算において、青色申告特別控除(65万円)の適用ができるものと考えます。  ところで、不動産貸付を事業的規模で行っている場合であっても、その所得は事業所得とはならず、不動産所得となりますので(所法27条、所令63条本文かっこ書)、上記要件を満たす場合における「その年分の不動産所得の金額」とは、一義的には不動産貸付を事業的規模で行っている場合の不動産所得を指しているようにも考えられますが、租税特別措置法25条の2第3項では、「所得税法26条2項の規定により計算した不動産所得の金額」と「65万円」のいずれか低い金額を控除した金額とされています。  そして、この「所得税法26条2項の規定により計算した不動産所得の金額」とは、「その年中の不動産所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額」とされているだけで、事業的規模若しくは非事業的規模に係る不動産貸付から生じる不動産所得のいずれかに限定されているものではありませんので、結局これらの不動産貸付から生じる1年間の不動産所得の合計額ということになります。  したがって、ご質問の場合、青色申告特別控除(65万円)は、平成22年分の不動産所得の金額から控除できることになります。

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