《26年税制改正大綱》年末での決定事項①

Ⅱ 年末での決定事項
 
 【国税関係】
 
 一 個人所得課税
 
 1 給与所得控除の見直し
 (1) 給与所得控除の上限の引下げ
    給与所得控除の上限について、次のとおり漸次引き下げる。
          現 行    平成28年分の       平成29年分以後の
                   所得税(注1)       所得税(注2)
上限額が適用される
給与収入       1,500万円     1,200万円       1,000万円

給与所得控除の上限額  245万円      230万円        220万円
    (注1) 個人住民税については、平成29年度分について適用。
    (注2) 個人住民税については、平成30年度分から適用。
 (2) その他
    給与所得控除の上限の引下げに伴い、給与所得の源泉徴収税額表(月額表、日額表)、賞
   与に対する源泉徴収税額の算出率の表、年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額
   の表及び特定支出控除の適用判定の基準となる控除額などについて所要の措置を講ずる。
 
 2 金融・証券税制
 (1) 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)
   について、金融商品取引業者等の営業所に非課税口座を開設している、又は開設していた者
   は、当該非課税口座に設けられた非課税管理勘定の年分の属する勘定設定期間と同一の勘定
   設定期間内に、次の手続の下で非課税口座の再開設又は非課税管理勘定の再設定をすること
   ができることとする。ただし、当該非課税口座を廃止した年分の非課税管理勘定に既に上場
   株式等を受け入れていた場合には、当該廃止した年分は、非課税口座の再開設又は非課税管
   理勘定の再設定をすることはできない。
   ① 非課税管理勘定廃止通知書の交付
    イ 金融商品取引業者等の営業所に非課税口座を開設している居住者等が、当該非課税口
     座に設けられるべき非課税管理勘定を当該非課税口座以外の非課税口座に設けようとす
     る場合には、当該非課税口座に当該非課税管理勘定が設けられる日の属する年の前年10
     月1日から同日以後1年を経過する日までの間に、当該金融商品取引業者等の営業所の
     長に、金融商品取引業者等変更届出書(以下「変更届出書」という。)を提出しなけれ
     ばならない。この場合において、当該変更届出書を提出する日以前に当該非課税管理勘
     定に既に上場株式等の受入れをしているときは、当該金融商品取引業者等の営業所の長
     は、当該変更届出書を受理してはならない。
    ロ 変更届出書の提出があった場合において、当該変更届出書に係る非課税管理勘定が既
     に設けられているときは、当該非課税管理勘定は、当該提出があった日に廃止されるも
     のとする。また、当該提出があった日の属する年の翌年以後の各年(同日の属する勘定
     設定期間内の各年に限る。)においては、当該非課税管理勘定が設けられていた非課税
     口座には新たに非課税管理勘定を設けることができないものとする。ただし、同日後に
     下記③の手続が行われた場合は、この限りでない。
    ハ 変更届出書の提出を受けた金融商品取引業者等の営業所の長は、当該変更届出書を提
     出した者の氏名、整理番号、当該変更届出書の提出を受けた旨その他の事項を、当該営
     業所の所在地の所轄税務署長に、電子情報処理組織(e-Tax)を使用する方法により提
     供しなければならない。
    ニ 所轄税務署長に上記ハの事項の提供をした金融商品取引業者等の営業所の長は、当該
     変更届出書を提出した居住者等に対し、非課税管理勘定の廃止年月日、非課税管理勘定
     の再設定ができる年分その他の事項を記載した非課税管理勘定廃止通知書を交付するも
     のとする。
   ② 非課税口座廃止通知書の交付
    イ 非課税口座廃止届出書(以下「廃止届出書」という。)の提出を受けた金融商品取引
     業者等の営業所の長は、当該廃止届出書を提出した者の氏名、整理番号、当該廃止届出
     書の提出を受けた旨その他の事項を、当該営業所の所在地の所轄税務署長に、電子情報
     処理組織(e-Tax)を使用する方法により提供しなければならない。
    ロ 所轄税務署長に上記イの事項の提供をした金融商品取引業者等の営業所の長は、当該
     廃止届出書を提出した居住者等に対し、非課税口座の廃止年月日、非課税口座の再開設
     又は非課税管理勘定の再設定ができる年分その他の事項を記載した非課税口座廃止通知
     書を交付するものとする。
   ③ 非課税口座の再開設又は非課税管理勘定の再設定の手続
    イ 金融商品取引業者等の営業所に非課税口座の再開設をしようとする居住者等は、非課
     税口座開設届出書に非課税管理勘定廃止通知書又は非課税口座廃止通知書(以下「廃止
     通知書」と総称する。)を添付して、その非課税口座の再開設をしようとする年の前年
     10月1日から同日以後1年を経過する日までの間に、当該金融商品取引業者等の営業所
     の長に提出しなければならない。
    ロ 既に金融商品取引業者等の営業所に非課税口座を開設している居住者等が当該非課税
     口座に非課税管理勘定の再設定をしようとする場合には、当該居住者等は、その非課税
     管理勘定の再設定をしようとする年の前年10月1日から同日以後1年を経過する日まで
     の間に、廃止通知書を当該金融商品取引業者等の営業所の長に提出しなければならない。
    ハ 廃止通知書(非課税口座開設届出書に添付して提出されるものを含む。以下同じ。)
     の提出を受けた金融商品取引業者等の営業所の長は、その提出を受けた後速やかに、当
     該提出をした者の氏名、整理番号、当該廃止通知書の提出を受けた旨その他の事項(以
     下「提出事項」という。)を、当該営業所の所在地の所轄税務署長に、電子情報処理組
     織(e-Tax)を使用する方法により提供しなければならない。
    ニ 当該提出事項の提供を受けた所轄税務署長は、当該廃止通知書を発行した金融商品取
     引業者等の営業所の長からの上記①ハの変更届出書又は②イの廃止届出書に係る届出事
     項の提供の有無を確認するものとし、当該確認をした所轄税務署長は、次に掲げる場合
     の区分に応じそれぞれ次に定める事項を、当該提出事項の提供をした金融商品取引業者
     等の営業所の長に、電子情報処理組織(e-Tax)を使用する方法により提供するものと
     する。
  (イ)これらの届出書に係る届出事項の提供がある場合((ロ)に掲げる場合に該当する場合
    を除く。)当該金融商品取引業者等の営業所に非課税口座の再開設又は非課税管理勘定の
    再設定をすることができる旨その他の事項
  (ロ)これらの届出書に係る届出事項の提供がない場合又は当該提出事項が提供された時前に
    既に当該所轄税務署長若しくは当該所轄税務署長以外の税務署長に対して同一の居住者等
    に係る提出事項の提供がある場合当該金融商品取引業者等の営業所に非課税口座の再開設
    又は非課税管理勘定の再設定ができない旨その他の事項
    ホ 上記ニ(イ)に定める事項の提供を受けた金融商品取引業者等の営業所の長は、当該営
     業所に非課税口座の再開設又は当該営業所の非課税口座に非課税管理勘定の再設定をす
     るものとする。
  (注)上記の改正は、平成27年1月1日以後に変更届出書又は廃止届出書が提出される場合に
    ついて適用する。
 (2) 特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例等について、特定口座に受け
   入れることができる上場株式等の範囲に、上場株式等を発行した法人等を委託者とする金銭
   の信託契約であって、その信託契約に係る信託の受託者は、当該上場株式等の取得をすると
   ともに、当該委託者の従業員等に勤続年数その他の事由を勘案して定められた基準に応じて
   当該上場株式等の交付を行うことを定める規則に従い当該上場株式等の交付を行うこととさ
   れているもの(いわゆる「ESOP信託」)に基づき、当該受託者を通じて当該委託者の従
   業員等が取得した上場株式等を加える。
 (3) 次に掲げる書類を提出する際に、その提出者が本人確認書類の提示等をすることとされて
   いる場合には、当該書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができることと
   する。
   ① 特定口座異動届出書
   ② 非課税口座異動届出書
   ③ 無記名公社債の利子等に係る告知書
   ④ 無記名割引債の償還金に係る告知書
   ⑤ 株式等の譲渡の対価の受領者が告知すべき事項を記載した帳簿への記載申請書
   ⑥ 先物取引の差金等決済をする者が告知すべき事項を記載した帳簿への記載申請書
   ⑦ 上記⑤又は⑥の帳簿の記載事項の変更届出書
 (4) 一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例について、対象となる公社債の範囲から農水産
   業協同組合貯金保険法の対象となる農林債を除外する。
  (注)上記の改正は、平成28年1月1日以後に行う公社債の譲渡について適用する。
 (5) 上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例等の対象となる特定公社債の範囲について、次
   の措置を講ずる。
   ① 社債のうちその発行の日前6月以内に有価証券報告書等を内閣総理大臣に提出している
    法人が発行するものを、社債のうちその発行の日前9月以内(外国法人にあっては、12月
    以内)に有価証券報告書等を内閣総理大臣に提出している法人が発行するものとする。
   ② 平成27年12月31日以前に発行された公社債の範囲から、その発行の際に同族会社に該当
    する会社が発行した社債を除外する。
  (注)上記の改正は、平成28年1月1日以後に行う上場株式等の譲渡について適用する。また、
    同族会社が平成27年12月31日以前に発行した特定公社債以外の公社債の利子でその同族会
    社の株主等が平成28年1月1日以後に支払を受けるものは、利子所得の20%源泉分離課税
    (所得税15%、住民税5%)の対象から除外される。
 (6) 割引債の差益金額に係る源泉徴収等の特例について、次の措置を講ずる。
   ① 対象となる割引債の範囲について、利子が支払われる公社債でその利率が著しく低いも
    のに代えて、利子が支払われる公社債でその発行価額が額面金額の90%以下であるものを
    加える。
   ② マンションの建替えの円滑化等に関する法律の改正を前提に、支払を受ける割引債の償
    還金について所得税の納税義務者となる内国法人の範囲に、マンション敷地売却組合(仮
    称)を加える。
  (注)上記①の改正は、平成28年1月1日以後に支払われる割引債の償還金について適用する。
 (7) 公社債及び公社債投資信託等の受益権の譲渡の対価等の受領者の告知に係る本人確認書類
   の提示について、公社債又は公社債投資信託等の受益権の譲渡の対価等の支払者が、平成27
   年12月31日以前に本人確認書類の提示を受けて当該譲渡の対価等の受領者の氏名又は名称及
   び住所その他の事項を記載した帳簿を備えているときは、当該帳簿は、当該受領者の本人確
   認書類の写しを添付した申請書の提出を受けて作成された帳簿とみなして、平成28年1月1
   日以後に支払を受ける当該譲渡の対価等については、本人確認書類の提示を要しないものと
   する。
  (注)上記の改正は、平成28年1月1日以後に支払う公社債又は公社債投資信託等の受益権の
    譲渡の対価等について適用する。
 (8) 居住者等に対して支払う公社債又は公社債投資信託等に係る利子等に係る調書について、
   当該調書を同一の者に対する1回の支払ごとに作成する場合には、当該調書をその支払の確
   定した日の属する月の翌月末日までに提出しなければならない特例の対象に加える。
  (注)上記の改正は、平成28年1月1日以後に提出する調書について適用する。
 (9) 沖縄振興特別措置法の改正を前提に、エンジェル税制(①特定新規中小会社が発行した株
   式を取得した場合の課税の特例、②特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除
   等及び③特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等)の適用対象となる株式
   会社の範囲に、産業集積経済金融活性化特別地区(仮称)の区域内において、同地区の指定
   の日以後に設立され、かつ、本店又は主たる事務所を有する会社であって、産業集積経済金
   融活性化促進計画(仮称)に記載された特定産業(仮称)を行う会社として平成26年4月1
   日又はその指定の日のいずれか遅い日から平成29年3月31日までの間に沖縄県知事の認定を
   受けたもののうち、次に掲げる要件を満たす会社を加える。
   ① 主として特定産業に該当する事業を営む会社であって、産業集積経済金融活性化特別地
    区の区域内において特定産業を主として営んでいること。
   ② 産業集積経済金融活性化特別地区で常時使用する地元の従業員の数が5人以上であるこ
    と。
   ③ 設立後10年未満の中小企業者であること。
   ④ 金融商品取引所に上場されている株式等の発行者である会社でないこと。
   ⑤ 発行済株式の総数の2分の1を超える数の株式が一の大規模法人及び当該大規模法人と
    特殊の関係のある法人の所有に属している会社又は発行済株式の総数の3分の2以上が大
    規模法人及び当該大規模法人と特殊の関係のある法人の所有に属している会社でないこと。
   ⑥ 払込みにより当該会社の株式の取得をする者と投資契約(当該投資契約に係る払込金を、
    産業集積経済金融活性化特別地区において実施する産業集積経済金融活性化促進計画に記
    載された特定産業の用に供する旨の記載があるものに限る。)を締結する会社であること。
   ⑦ その会社の営む事業が公序良俗に反しておらず、かつ、風俗営業に該当しないこと。
 (10) 特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例について、対象となる総合
   特別区域法の指定会社に係る同法の規定に基づく指定期限を2年延長する。
 (11) 特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等及び特定中小会社が発行した株
   式に係る譲渡損失の繰越控除等について、対象となる地域再生法の認定地域再生計画に記載
   された事業を行う株式会社に係る同法の規定に基づく確認期限を2年延長する。
 (12) 特定の取締役等が受ける特定外国新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益の
   非課税等(ストックオプション税制)について、対象となる特定外国新株予約権を付与する
   特定外国株式会社に係る特定多国籍企業による研究開発事業等の促進に関する特別措置法の
   規定に基づく認定期限を2年延長する。
 (13) 勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄非課税制度について、次の措置を講ずる。
   ① 勤労者が、育児休業等(産前産後休業及び法令の規定に基づき3歳未満の子を養育する
    ためにする休業をいう。)をする旨、当該育児休業等の期間その他の事項を記載した申告
    書を、当該育児休業等を開始する日までに勤務先等及び金融機関の営業所等を経由して当
    該勤労者の住所地の所轄税務署長に提出した場合には、当該勤労者が締結した勤労者財産
    形成住宅(年金)貯蓄契約に基づき当該育児休業等の開始の日の直前に金銭等の払込みを
    すべき日から当該育児休業等の終了の日の直後に金銭等の払込みをすべき日(以下「再開
    日」という。)までの間は、当該契約に基づく金銭等の払込みがないときであっても、当
    該契約に係る勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄の利子等につき、引き続き勤労者財産形成
    住宅(年金)貯蓄の利子所得等の非課税措置を適用する。
   ② 再開日に当該勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄契約に基づく金銭等の払込みがなかった
    場合には、上記①にかかわらず、当該育児休業等の終了の日後に支払を受けるべき当該契
    約に係る勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄の利子等については、当該非課税措置は適用し
    ない。
   ③ その他所要の措置を講ずる。
  (注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に上記の申告書を提出する場合に
   ついて適用する。
 (14) 投資信託及び投資法人に関する法律の一部改正に伴い、新投資口予約権を株式等に係る譲
   渡所得等の課税の特例の対象となる株式等の範囲に加える等、新株予約権と同様の取扱いと
   する。
 (15) 発行法人から与えられた新株予約権等でその権利行使時に経済的な利益に対して課税され
   るものを、権利行使前にその新株予約権等の発行者に譲渡した場合には、当該譲渡の対価の
   額を、事業所得に係る総収入金額、給与等の収入金額、退職手当等の収入金額、一時所得に
   係る総収入金額又は雑所得に係る総収入金額とみなして課税することとする。
  (注)上記の改正は、平成26年4月1日以後に行う新株予約権等の譲渡について適用する。
 (16) 中小企業等協同組合法の一部改正に伴い、次の措置を講ずる。
   ① 金融機関等の受ける利子所得等に対する源泉徴収の不適用について、対象となる金融機
    関の範囲から火災共済協同組合及び火災共済協同組合連合会を除外する。
   ② 生命保険料控除の対象となる共済契約の範囲に、共済協同組合連合会の締結した生命共
    済契約を加える。
   ③ 地震保険料控除の対象となる共済契約の範囲に、火災共済協同組合の締結した火災共済
    契約に代えて、火災等共済組合の締結した火災共済契約を加える。
   ④ 道府県民税利子割の対象となる利子等の支払の取扱いをする者の営業所等に関し、当該
    利子等の支払の取扱いをする者について、振替口座簿に記載等された公社債以外の公社債
    の利子の支払の取次ぎをする金融機関の範囲に、火災共済協同組合及び火災共済協同組合
    連合会に代えて、火災等共済組合及び共済協同組合連合会を加える。
 (17) 金融商品取引業者等の営業所の長が、顧客の依頼に基づき、当該営業所に開設された有価
   証券の保管等に係る口座(以下「国内証券口座」という。)から国外において金融商品取引
   業を営む者の営業所等に開設された有価証券の保管等に係る口座(以下「国外証券口座」と
   いう。)に有価証券の移管をした場合又は国内証券口座に国外証券口座から有価証券の移管
   を受けた場合には、当該金融商品取引業者等の営業所の長は、その移管に係る有価証券の種
   類、数又は金額その他の事項を記載した調書を、当該営業所の所在地の所轄税務署長に提出
   しなければならないこととする。
  (注)上記の制度は、平成27年1月1日以後に行われる有価証券の移管について適用する。
 

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