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《税務質疑応答》青色申告特別控除の税制改正による変更点について

代表ブログ,税務質疑応答 | 2018年10月11日 木曜日 11:10

Q.
私は個人事業を営んでいます。

これまで、所得税の申告は青色申告でずっと行ってきており、毎年、65万円の青色申告特別控除を受けてきました。

ところで、平成30年度の税制改正により、2020年(平成32年)分の所得税申告から、青色申告特別控除額が65万円から55万円に引き下げられると聞いたのですが、本当でしょうか。

A.
ご質問の内容どおり、2020年分の所得税申告から、青色申告特別控除額は原則として現行の65万円から55万円に引き下げられることになりました。
ただし、一定の要件を満たす場合には、これまで通り65万円の控除を受けることができます。詳しくは下記解説をご参照ください。

[解説]
1.青色申告特別控除とは
現行の青色申告特別控除とは、青色申告者に対して設けられている税務上の特典の一つで、所得税については、その年分の所得金額から最高65万円又は10万円を控除するという制度です。

このうち、65万円の控除を受けるためには、不動産所得や事業所得の取引内容を、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記が該当します)により記帳したうえで、貸借対照表と損益計算書を作成し、それらを確定申告書とともに提出すること等が要件とされています。

2.平成30年度税制改正での変更内容
平成30年度の税制改正では、2020年(平成32年)分の所得税から、取引を正規の簿記の原則に従って記録している人についての青色申告特別控除額を、現行の65万円から10万円引き下げ、55万円とすることとされました。

ただし、次の要件のいずれかを満たす場合には、青色申告特別控除額はこれまでと同じ65万円とすることができるとされています。

(要件)
A. その年分の事業についての仕訳帳および総勘定元帳について、法律に定めるところにより、電磁的記録の備付けおよび保存を行っていること
B. その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表および損益計算書の提出を、電子申告(e-tax)によって行うこと
上記のうち、A. については、国税関係帳簿を最初から一貫してコンピュータを使用して作成することや、事前に税務署長に対してその承認を受けるための申請手続を行う必要があります。

このため、現実的に個人事業者が取り組みやすいものとしては、B. の電子申告(e-tax)による確定申告書等の提出になるのではないでしょうか。

もし、ご自身で電子申告を行うことが難しい場合には、ぜひお近くの税理士にご相談ください。多くの税理士事務所では電子申告の体制を整えていますので、そのような税理士事務所に確定申告を依頼されれば、これまで通り65万円の青色申告特別控除額を受けられます。

[根拠法令等]
措法25の2、平成30年度税制改正大綱(平成29年12月22日閣議決定)など

《税務質疑応答》個人事業者における消費税納税義務免除について

代表ブログ,税務質疑応答 | 2018年10月1日 月曜日 13:10

Q.

私は美容師です。約15年の修行を経て、昨年7月に念願であった自分のお店(個人事業)を出すことができました。

開店以来、お客様は徐々に増え、売上高も順調に増加しています。そこで早速、スタイリストとアシスタントを1名ずつ雇い入れました。

そんな中、初めての確定申告を終えて気になってきたのが、消費税の納税です。現在は免税事業者なのですが、私はいつから消費税を納税することになるのでしょうか。

なお、私の昨年(2017年)7月から12月までの売上高は900万円(消費税込み)、今年(2018年)の年間予想売上高は1,800万円(毎月150万円:消費税込み)です。

A.

[回答]
ご相談の予想売上高を前提としますと、原則的には2020年より消費税の課税事業者となり、2020年分の確定申告(2021年3月申告)から消費税を納付することになります。

[解説]

1.消費税の基本的な仕組み

国内において事業を営んでいる方の場合、原則的には、年間の売上に含まれる消費税額から、仕入れや経費に含まれる消費税額の合計額を差し引いた残額を、毎年3月の確定申告時に国に納付することとされています。

2.消費税の納税義務の免除

比較的小規模な事業を営む方については、上記1.の特例(納税義務の免除)が設けられています。

具体的には、個人事業者の場合、その年の「基準期間」における売上高(消費税が課税される対象のものに限ります)が、1,000万円(税抜き)以下の場合には、原則的に消費税の納税義務が免除されることになります。

ここでご留意いただきたいのは、免税事業者である場合には消費税法上は売上に消費税は含まれていないと判断がされます。

そのため基準期間が免税事業者である場合の1,000万円の算定では、売上から消費税相当分を差し引くことはありませんのでご注意ください。

3.消費税の「基準期間」とは

上記2.の「基準期間」とは、個人事業者の場合は、原則として前々年です。

個人事業者は、前々年の売上高(消費税が課税される対象のものに限ります)が1,000万円であるかどうかによって、その年において消費税の納税義務があるかどうかが判定されるのです。

つまり、今回のご相談の場合のように、年の途中で事業を開始した場合で、免税事業者である個人事業者であれば、原則的には事業を開始してから年末までの売上高をそのまま用いて、開業年の翌々年の消費税の納税義務を判定することになります。

ちなみに、法人の開業年度が1年に満たないときは、原則として開業年度の売上高を1年相当(12ヶ月分)に換算した金額により判定することとされています。

実は上記以外にも、消費税の納税義務が免除されるかどうかについては、さらに細かなルールが定められています。

確定申告時に納付する税金が所得税だけなのか、あるいは、所得税に加えて消費税も納付することになるのかによって、お店の資金繰りは大きく変わることになるはずです。

[根拠法令等]
消法2、4、5、9、9の2、消基通1-4-5など

《税務質疑応答》開業した際の確定申告と少額減価償却資産の特例について

代表ブログ,税務質疑応答 | 2018年9月25日 火曜日 17:09

Q.

私は今年7月に、個人でパン屋を開業する予定で準備を進めています。開業にあたり設備等をいくつか購入する際に、メーカーから「取得価額が10万円以上30万円未満の資産は、その取得価額の合計額が300万円に達するまでは、その年の必要経費に算入できるという特例がある」と聞きました。
私はパン製造機器等、上記金額の範囲内にあるものを10点ほど購入する予定で、この特例をぜひ利用したいと思っています。実際に私は適用を受けることができるのでしょうか。

なお、私は青色申告承認申請書を法定期限内に提出する予定です。

A.

ご相談の場合、租税特別措置法に規定されている「中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例」を適用できます。
ただし、7月の開業“予定”であることから、仮に7月に開業した場合、開業年の必要経費算入限度額は300万円ではなく、150万円となりますのでご注意ください。

[解説]
1.「中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例」とは
所得税法上、減価償却資産について必要経費に算入できる金額は、法定の計算方法により計算した償却限度額までとされています。

ただし、中小事業者(※1)については、より多くの金額を必要経費に算入できる特例が設けられています。この特例のことを「中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例」といいます。

その特例の適用を受けるための具体的な要件は、下記の通りです。
A. 中小事業者が、青色申告書を提出していること
B. 中小事業者が、平成32年3月31日までの間に取得等し、業務の用に供した減価償却資産であること
C. その減価償却資産の取得価額が、30万円未満であること(※2)
以上の要件を満たす場合には、その減価償却資産(以下「少額減価償却資産」といいます。)については、その少額減価償却資産の取得価額相当額を、その中小事業者のその業務の用に供した年分の事業所得等の金額の計算上、必要経費に算入することができることとされています。

※1 常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人をいいます。
※2 取得価額が10万円未満であるもの等を除きます。

2.少額減価償却資産の特例の限度額

この少額減価償却資産の特例には、その年分における少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円に達するまで、という限度額が設けられています。

ただし、その業務の用に供した年が、業務を開始した年であったり、業務を廃止した年であったりした場合には、上記の限度額は縮小されます。

具体的には、それらの年については、業務を営んでいた期間に応じて300万円を月数按分計算した金額が限度となります。

ご相談では7月開業予定とのことですから、仮に7月開業とした場合、

 300万円×6/12=150万円

がこの特例の限度額となります。

なお、この特例の適用を受けるためには、確定申告書に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付すること等が必要とされています。

上記のように、開業初年度の所得税の確定申告には注意を要する点が非常に多く存在しますので、税金の専門家である当事務所に、ぜひご相談ください。

[根拠法令等]
措法28の2、措令5の3⑨など

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