ニュース&トピックス

《国税庁発表》年金の方法により支払を受ける保険金の支払請求権(受給権)の相続税法上の評価の取扱いが変更されました

ニュース&トピックス | 2014年10月23日 木曜日 11:10

1.従来の取扱い

   年金の方法により支払を受けることが定められた生命保険契約で、相続開始の時において、
  年金の種類、年金の支払期間、支払金額の総額、一年間に支払を受けるべき金額等が定まって
  いない場合には、その保険金の支払請求権(受給権)について相続税法第24条(所得税法等
  の一部を改正する法律(平成22年法律第6号)による改正前の相続税法第24条の規定を含
  みます。以下同じです。)を適用せず、同法第22条の規定に基づきその保険金を一時金で支
  払を受ける場合の金額により評価することとして取り扱われてきました。

 
 2.変更後の取扱い

   相続開始の時には、年金の種類、年金の受給期間等が定まっていない年金の方法により支払
  を受ける生命保険契約であっても、契約者が年金の方法により死亡保険金の支払を受ける契約
  を締結し、かつ、死亡保険金の支払事由の発生後に死亡保険金の受取人が年金の種類、年金の
  受給期間等を指定することが契約により予定されている生命保険契約に係る死亡保険金の支払
  請求権(受給権)の価額については、受取人が相続開始後、受給開始前に指定を行ったことに
  より確定した年金の種類、受給期間等を基礎として相続税法第24条の規定を適用して算定す
  ることとされ、従来の取扱いが変更されました。

   この取扱いの変更は、平成26年9月11日の東京高等裁判所の判決が確定したことによる
  ものです。
 

 3.相続税又は贈与税の還付手続

   上記2の変更後の取扱いは、過去に遡って適用することとされ、これにより、過去の相続税
  又は贈与税の申告の内容に異動が生じ相続税又は贈与税が納めすぎとなる場合には、国税通則
  法の規定に基づき、この取扱いの変更を知った日の翌日から2か月以内に所轄税務署に更正の
  請求の手続をすることにより、その納めすぎとなっている相続税又は贈与税について還付を受
  けられる場合があります。

   更正の請求をする場合には、生命保険契約の契約内容及び保険金の受取方法が分かる書類を
  併せて提出することとなります。

   なお、次の年分の相続税及び贈与税については、法令上、減額できないこととされています
  のでご注意ください。

 (1)法定申告期限から既に5年を経過している年分の相続税

 (2)法定申告期限から既に6年を経過している年分の贈与税

  (注)平成22年4月1日から平成23年3月31日までの間に締結された定期金給付契約に
    関する権利で、平成23年3月31日までの間に相続若しくは遺贈又は贈与により取得し
    たものについては、平成23年4月1日以降に相続若しくは遺贈又は贈与により取得した
    定期金に関する権利について適用される改正後の相続税法第24条が適用されます。

詳細につきましては、国税庁ホームページ>調達・その他の情報>お知らせ>「年金の方法に
より支払を受ける保険金の支払請求権(受給権)の相続税法上の評価の取扱いの変更について」
をご参照ください。

《税務、話題のニュース》中小に導入が噂される「外形標準課税」とは?

ニュース&トピックス | 2014年9月9日 火曜日 18:09

(質問)

赤字の中小企業に対して外形標準課税を適用する改正案が検討されているといいます。そもそも外形標準課税とは何でしょうか?

(回答)

法人税の実効税率を20%台まで引き下げるための代替課税として、赤字の中小企業に対して外形標準課税を適用する改正案が検討されています。

改正案が決まれば、赤字の中小企業の税負担が増し資金繰りがさらに厳しくなることが予想されます。

外形標準課税とは、事業所の床面積や従業員数、資本金や付加価値など外観的に判断できる基準を課税ベースとして税額を計算する課税方式で、法人事業税でこの課税方式が採用されています。

法人事業税は法人の行う事業そのものに課される税です。企業はその事業活動を行うにあたり、地方自治体から産業・都市基盤整備、警察・防災、環境保全などさまざまな行政サービスの提供を受けており、これに必要な経費を分担すべきだという考えにもとづいて課されているものです。

企業が享受する受益の大きさは企業の事業活動の規模に応じるという考えのもとに税負担の公平性を確保しようとすれば、行政サービスを利用しているすべての法人がその事業規模に応じて税を負担する必要があります。

従来の法人事業税は所得課税(所得金額×税率)で税額を算出していたため、自治体の税収は景気変動によって大きく左右され税収の安定性を欠いていましたし、たとえ大きな事業活動規模の企業でも欠損が生じれば税負担がゼロになるなど税負担の公平性も問われていました。

そこで、従来の所得課税だけでは事業規模との関係が必ずしも適切に反映されないとの指摘から、平成16年から資本金1億円超の法人を対象に所得課税と並行して外形標準課税が行われるようになったのです。

ただし資本金1億円以下の法人については、外形標準課税対象から外れました。

現在の法人事業税は、所得割、付加価値割、資本割で構成されています。

従業員への給与や支払利子、支払賃借料など企業が生み出した付加価値や資本金などの額に応じて税額を計算する仕組みとなっているため、所得が低い法人でも規模が大きければ事業税を支払うことになり、企業間の税負担を平準化する効果があります。

◎賃上げとは逆方向に進むことも

では、外形標準課税が資本金1億円以下の法人にも適用されるようになった場合、どのような影響があるのでしょうか。

行政サービスを等しく享受するわけだから、法人の黒字・赤字で負担額が異なるのはおかしいとの指摘はあるものの、赤字で資本の蓄積が乏しい中小法人に今以上の税負担を強いることは中小企業の存続を揺るがしかねない事態を招くかもしれません。

企業規模が小さくなればなるほど経費に占める人件費の割合が大きくなる傾向が強く、現行の付加価値割をそのまま課税ということになれば企業存続のためにやむなく人件費の削減に踏み込むことにもなり、安倍政権が進める「賃上げ」とは逆の方向に行くことも考えられます。

また、今般の消費税率改正で増税分の価格転嫁が出来なかった企業は、その分を自社で負担しなければならないことを考えると、外形標準課税の課税拡大が中小企業に二重の税負担を強いることにもなります。

《税法話題の裁決》前期の役員退職金の損金算入を否定した判決確定を理由とした翌期での損金算入

ニュース&トピックス | 2014年8月28日 木曜日 13:08

1.事件の概要

 (1)X医療法人(控訴人・原告)は、理事乙が平成11年8月20日に死亡し、退任したことに伴
   う本件退職慰労金及び弔慰金(本件退職慰労金等)を、平成11年4月1日から平成12年3月
   31日までの事業年度(平成12年3月期)の未払金に計上して損金の額に算入した上、欠損金
   額及び翌期繰越欠損金額を5134万9311円として確定申告をした。

    もっとも、本件退職慰労金等に係る社員総会が開催され、それが支払われたのは、いずれ
   も平成13年3月期中のことであった。

 (2)Y税務署長は、本件退職慰労金等は平成12年3月期において債務が確定しておらず、法人
   税法(平成18年法律10号改正前)36条所定の損金算入の要件を満たさないとして、同期の法
   人税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(本件課税処分)をした。

 (3)X医療法人は、本件課税処分の取り消しを求める訴えを提起した。
    平成16年3月17日、本件退職慰労金等を平成12年3月期の損金の額に算入することはでき
   ないとする第一審判決があり、X医療法人は控訴したが、平成16年9月14日、控訴請求の判
   決があり、同年10月7日、第一審判決が確定した(別件確定判決)。

    なお、Y税務署長は、弔慰金については、それを支払った平成13年3月期の損金の額に算
   入すべきであるとして、平成16年10月1日、同期についてされていた更正処分の一部を取消
   した。

 (4)X医療法人は、別件確定判決により本件退職慰労金が平成13年3月期に支出したことが確
   定され、同期の法人税の税額計算の基礎としたところと異なったとして、国税通則法(通則
   法)23条2項1号に基づき、平成16年11月8日、平成13年3月期の法人税について更正の請
   求(本件更正請求)をした。

 (5)Y税務署長は、平成17年2月1日付けで、本件更正請求は通則法23条2項1号に該当せず、
   期間を徒過しているとして、更正をすべき理由がない旨の通知処分(本件各通知処分)をし
   た。

 (6)X医療法人は、本件通知処分の取消しを求めて、本件訴えを提起した。
 

 2.本判決の要旨

 (1)本件退職慰労金を平成13年3月期の損金の額に算入できるか。

    本件退職慰労金が社員総会において承認され、費用として確定したのは平成13年3月期で
   あるが、X医療法人は、同期の確定した決算において本件退職慰労金を費用又は損失として
   経理していないため、本件退職慰労金を同期の損金と認めることはできず、また、X医療法
   人は、平成12年3月の確定申告において本件退職慰労金を未払金として計上しているが、本
   件退職慰労金を平成13年3月期の損金の額に算入して確定申告をしていないから、法人税基
   本通達(平成19年課法2-3改正前)9―2―20(筆者注:現9-2-28)によっても、損
   金経理をしたとの取り扱いをすることはできず、したがって、本件退職慰労金が同期の損金
   の額に算入される余地はない。

 (2)本件更正請求は通則法23条2項1号の更正の請求ができる場合に該当するか。

   ア X医療法人が問題とする平成12年3月期の確定申告に基づく課税と平成13年3月期の確
    定申告に基づく課税は、課税の根拠を異にする別個のものである上、本件退職慰労金を平
    成13年3月期の損金に計上するためには、平成12年3月期において未払金として計上する
    にとどまらず、本件退職慰労金を平成13年3月期の確定申告において損金に計上して確定
    申告するという新たな行為が必要であるから、別件確定判決により本件退職慰労金が平成
    12年3月期の損金に算入されない旨の判断が示されたとしても、そこから当然に、本件退
    職慰労金が平成13年3月期の損金として算入される旨の法的効果が導き出されることには
    ならないため、別件確定判決が、平成13年3月期の「課税標準等又は税額等の基礎となつ
    た事実に関する訴えについての判決」に該当するものではないことはもとより、別件確定
    判決によって「その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定した」と認め
    ることも困難というほかない。

   イ X医療法人は、本件退職慰労金を平成12年3月期の損金として計上すべきである旨主張
    して争っていたのであるから、X医療法人において、このような主張と矛盾する内容の確
    定申告をすることに躊躇ないし抵抗感を感じることには無理からぬ側面が存することは否
    定できないが、X医療法人が、平成12年3月期の更正処分を争う一方で、本件退職慰労金
    を平成13年3月期の損金に算入して確定申告するという手段を採ることは容易であり、こ
    れによって、平成13年3月期に本件退職慰労金を損金に算入するという法人税法上の効果
    を享受することは十分可能であったと認められるから、X医療法人がこのような手段に出
    なかった以上、本件更正請求が認められないことにより、本件退職慰労金が損金に計上さ
    れないという結果になったとしてもやむを得ない。
  =請求棄却 (上告・上告受理申立)=(最高裁平成21年11月17日決定・棄却・不受理)
 

 3.参考

 (1)本判決も指摘しているように、平成12年3月期の課税の根拠と平成13年3月期の課税の根
   拠とは別個のものであり、また、課税処分取消訴訟における判決は当該処分の適否について
   判断するものであるから、平成12年3月期の更正処分についての判断である別件確定判決の
   法的効果(本件退職慰労金は同期の損金の額に算入することができず、更正処分は適法とす
   るもの)が平成13年3月期の課税の根拠(本件退職慰労金を損金の額に算入しないでした申
   告)に及ぶことにはならないのであり、したがって、X医療法人としては、このことに思い
   を至し、本件退職慰労金は平成12年月期の損金の額に算入されるべきであるとして更正処分
   を争う一方、敗訴となった場合のリスクを回避するため、平成13年3月期の確定申告書にお
   いて本件退職慰労金を損金の額に算入して申告しておくというのが適切な対応であった。

 (2)本件のような事態は、本件に限られず、収入金額の収入すべき時期や、収益の計上時期等
   についての納税者と課税庁との見解が相違する場合に生ずるものであり、前記2(2)イの
   本判決の判断(訴訟上の主張と矛盾する内容の確定申告をすることに躊躇ないし抵抗感があ
   ることをもって更正の請求を許容することはできない旨)は、実務上、留意されるべき点で
   ある。

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