代表ブログ

ベンチャーキャピタル活用の留意点は?

代表ブログ | 2010年5月31日 月曜日 13:05

Q1
 当社は独自技術を持っており、近い将来には株式公開を行いたいと思っています。そのため、ベンチャーキャピタルを活用したいのですが、留意点を教えてください。

A1
 ベンチャーキャピタル(VC)から出資を受ける場合、銀行等からの融資とは資金の性質が異なるということに注意すべきです。資金の性質の違いにより、資金提供者と企業の関係も変わってきます。

 銀行等の融資であれば、資金提供者は利子収入を目的に資金を貸出します。この場合、貸出先企業の成長は、資金の回収の確実性は高めてもリターン(利子額)には影響しませんから、約束通りに返済が行われている限りにおいては、資金提供者が経営に介入することはないでしょう。

 それに対して、VCからの出資の場合、資金提供者は基本的に企業価値が向上することによるキャピタルゲインを目的とします。ですから、投資先の成長度合いがリターンに直結しますので、資金提供者は企業価値が向上するように経営に参加していこうとします。

 経営者の立場から言えば、他者から経営に口出しされるのはあまり喜ばしいことではないかもしれませんので、注意が必要です。とはいえ、誰もが銀行等から融資を受けられるわけではありません。融資は資金が確実に返済されることを大前提としていますから、実績のないベンチャー企業が実際に融資を受けるのは通常の場合困難です。

 そういった意味でVCは、将来性のあるベンチャー企業にとって貴重な資金供給者と言えます。また、企業の成長時に自社だけでは不足しがちな経営ノウハウを効率的に補うことにおいても、VCを活用することは有効です。

 次に、VCを選ぶ際の基準ですが、VCによって強みとするところが異なりますので、自社がVCから何を得ようとしているかということを選択基準とするのが良いでしょう。

 たとえば、技術力に優れたベンチャー企業であるが、自社のみでは技術を商品化して販売するだけの力がなかった場合、その企業が成長するためには、他企業との連携が有効と考えられます。そうした面から考えると、当該企業には、幅広い分野に投資を行う銀行系のVCや事業分野に太いパイプを持つ事業会社系のVCが良いかもしれません。

 一番大事なことは、それぞれのVCの企業に対する支援の方針をよく理解した上で、そのVCから何が期待できるのか、そして自社の経営方針に合ったパートナーであるのかを見極めてから出資を受けることだと思います。

 それでは、出資を検討してもらうVCをどのように探せばいいのでしょうか。たとえば、取引銀行や企業同士の横のつながりを利用して探したり、インターネットで検索してみたりするという方法があります。

 また、公的機関がVCの運営するファンドへ出資していますので、こうした機関に紹介を依頼してみるのも1つの手でしょう。ファンドからの出資を受ける場合のメリットとしては、VCだけでなく、ファンドへ出資している他の出資先からの支援も期待できることが挙げられます。

資本参加を持ちかけられたときの注意すべき点とは?

代表ブログ | 2010年5月28日 金曜日 13:05

Q1
 懇意にしている得意先から資本参加を持ちかけられた。基本的には受けたいと思っていますが、注意すべき点を教えてください

A1
 新聞誌上で毎日のように報じられているM&Aは、従来のような大企業がおこなう大規模なものだけでなく、最近では中堅・中小企業にもM&Aが浸透、増加しています。

 そんな流れのなか、魅力的な中堅・中小企業があれば、取引先などから「貴社と資本提携したい」という提案を受けるケースも増えてきました。

 資本を受け入れる側にとっても、商圏の拡大や商品の共同開発など、自社の経営資源だけで会社を伸ばしていくのではなく、他社と補完しあえる関係を構築することによってよりビジネスチャンスが広がるメリットがあります。

 一方で、他社から資本を受け入れて株主になってもらうということは、経営に一定の参加権を与えることになるため、どの程度の出資比率とするかには注意が必要です。

 株主は、原則として所有する株式の割合に応じて株主総会で議決権を行使できます。

 議決権とは、株主総会に出席して、役員の選出や経営方針などに対して決議する株主の権利のことで一株につき一票の議決権が割り当てられているのが普通です。

 一定割合以上の議決権を保有する株主には、「少数株主権」という権利が会社法上認められています。「少数株主権」とは、議決権が一定割合以上の株主が、大株主や経営陣の行動の監督是正を諮るため、経営に一定の参与を行うことのできる権利です。そのため、資本参加を受け入れる場合には、この議決権の割合に注意する必要があります。

 少数株主権に基づく請求が行われたとき、株主総会においてその決議が可決されるかどうかは議決権の割合がかかわってきます。議決権の過半数を握れば株主総会の普通決議を可決することができ、議決権の3分の2以上を握れば特別決議を可決することができます。裏を返せば3分の1以上の議決権を保有する株主には特別決議を否決する権利が生じます。

 少数株主権のひとつである帳簿閲覧権が行使されると、内部情報が漏れてしまう可能性があり、事業展開に悪影響を受けるおそれがあります。また、自社経営陣において議決権の過半数を確保できていない場合には、他の株主が団結してマジョリティを形成し、株主総会の意思決定を行うことができてしまうことにも注意が必要です。たとえば、社長の持ち株比率が過半数を下回っている場合には、ある少数株主が他の株主と共同戦線を張って社長を解任することも可能となります。

 さらに3分の1超の出資比率があれば定款変更決議を阻止できるようになるため、資本提携先との関係がこじれたりしていると、引越しや社名変更もできないといった事態に陥ることも考えられます。

 以上のとおり、他社からの資本を受け入れる場合には、(1)どの程度の出資比率を与えるか、(2)事業的なシナジーがあるか、(3)相手企業と長期にわたって良好な関係を維持できるか、といった点について注意する必要があるといえます。

闘う「女性誌」、読者を振り向かせるあの手、この手。

代表ブログ | 2010年5月27日 木曜日 10:05

 出版不況が叫ばれて久しい中、とりわけ週刊誌を除く女性誌の凋落ぶりは激しく、06年以降、右肩下がりを描き続けています。
 
 しかし、出版各社も指をくわえて傍観しているわけではありません。読者を単に雑誌を購買する人たちと捉えるにとどまらず、その雑誌を一つのブランドとして育成し、そこに集まる共感者=ファンを獲得するといった、多角的な囲い込み戦略が活発化しています。

 世界文化社では、今年の2月から「家庭画報サロン 習いごとの会」をスタートしました。同サロンは07年に発足、年間購読を唯一の入会条件とした親睦の会です。「習いごとの会」は、お稽古ごとを楽しみながら優雅なひとときを、の主旨で、月一回、同誌でお馴染みの先生方を講師に迎えて催されます。第一回は「Paris発 ケーク・サレ&ケーク・シュクレ」。奥田勝シェフを招き、フランスのケーキづくりを東京・フォーシーズンズホテル椿山荘にて24名限定で開催されました(参加費1万2,000円)。

 集英社は、美容専門誌「MAQUIA(マキア)」と連携した専用のサロンを東京・新丸ビル内に設けています。本誌で紹介された製品が試用できたり、化粧品メーカーとのコラボ・イベントを開催したりと、読者と本誌の“クラブハウス”的な存在として活用されています。また、同誌のウェブサイト「マキアオンライン」では、双方向のビューティー情報サイトとして数々の読者会員サービスを展開しています。

 講談社が今年3月から始動したのが、雑誌の購読者を対象にした新会員制サービス「ヘルスアンドビューティーレビュー(HBR)」。“知的・美的エイジングサロン”をテーマに、月会費3,500円で講演会・講座、会員雑誌、ウェブサイトの3つのサービスが提供されます。

 しかしなんといっても、他を圧倒的に引き離す強力な読者獲得戦術がありました。大ヒットとなった、宝島社の「ブランドムック」です。
 
 一冊まるごと国内外の有名ファッションブランドを紹介するムック(Magazine+Book=Mook)に、そのブランドのロゴ付の小物アイテムを付録としてセットしたもので、中心価格帯は1,000円台前半。付録のアイテムは、出版社側とブランド側が企画からデザイン、色、材質まで細かく時間をかけて決めるため、クオリティが高く、読者にとってはハズレのないお得感があり購買意欲をかきたてます。
 
 ポーチ、バッグ、アクセサリー、折りたたみ傘、弁当箱、ビーチサンダル、ガーターベルト……特に評判をよんだのは、09年発売の「イヴ・サンローラン」(1,300円)で100万部を刊行! 黒地に金の刺繍で「YSL」のロゴが入ったトートバッグで、企画から制作まで2年がかりの力作でした。

 新手の読者サービスやイベントを通して、また高い付加価値を提供することで雑誌のブランド力を確固なものにし、新しい収益源につなげようとする知恵比べはまだまだ続きそうです。

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