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【財務戦略】 短期間で自己資本比率を高める方法

代表ブログ | 2010年6月30日 水曜日 18:06


 ある金融機関の担当者に「自己資本比率をあと20%ほど高めれば、企業格付けがワンランク上がる」といわれました。短期間で自己資本比率をアップさせる方法を教えてください。


 自己資本比率は、金融機関が「企業格付け」を行うにあたり、スコアリングの配分点数が高い「項目」です。このため、ご質問のように、これを高めれば企業格付けがワンランク上がることは、十分あり得ます。
 金融機関のみる自己資本比率とは、実態貸借対照表によって「自己資本÷総資産」で算出されます。したがってこれを高めるには分子を大きくするか、分母を小さくすればいいわけです。
 自己資本を増やすには、(1)営業活動によって内部留保を厚くする、(2)増資を行う、(3)実態として自己資本額の増加をディスクローズする、という方法があります。とくに(1)の方法の、経営計画に基づいて利益をあげ、資本を増やすというやり方が最も望ましいのですが、現在のように厳しい経営環境のもとでは、毎期利益を出し続けることは容易なことではありません。
 そこで、ここでは対症療法として、自己資本比率をアップさせる方法をいくつか紹介します。

保険積立金に着目する

 1つは「役員借入金」があれば、それを現物出資して資本に組み入れるという方法です。仮に資本金が1000万円、役員借入金が2000万円あるとすれば、簡単に資本金を3倍(3000万円)にすることができます。その際、「借方・役員借入金/貸方・資本金」という仕訳(経理処理)を行うのがノーマルですが、現在は「金融検査マニュアル別冊」「別冊改訂版」によって、金融機関側は役員借入金を自己資本とみなしてくれます。ただし、そのためには「長期役員借入金」と表示し、金融機関に説明できるようにしておくことが必要です。

 2番目は「保険積立金」を活用する方法です。先ほどの役員借入金のケースは「負債を資本にかえる」やり方なのに対し、これは「資産の含み益を自己資本とみる」方法です。
 実際に、X社は金融機関に保険積立金の種類や解約時価を説明することによって、自己資本比率を高めることができたケースです。X社には保険積立金が約6000万円あり、その中身を分析したところ、「ハーフタックス」という契約形態の養老保険が4000万円ありました。ハーフタックスとは、法人を契約者とし、「役員・従業員を被保険者、満期受取人を法人、死亡保険の受取人を遺族」とする保険です。従業員の福利厚生を目的としており、保険料の2分の1を資産、残りの2分の1を損金に算入できます。X社の場合、これが4000万円あったということは、解約すればその倍の約8000万円を手にすることができるということです。つまり、時価評価すれば約4000万円の含み益があり、それを自己資本に加算する方法となります。

 

企業存亡の分岐点 売掛金の効果的回収法とは?

代表ブログ | 2010年6月29日 火曜日 09:06

Q1
 最近、売掛金の回収に手間取っており、このままでは、資金繰りがおぼつかなくなる可能性もでてきました。どうすれば効果的に回収ができるのでしょうか。 

A1
 売掛金の回収が手間取っている場合は、まず支払いが渋滞している原因、つまり相手方の経営の実態を早くつかむ必要があります。これなくして、不良債権の完全なる回収はありえません。『不良債権は焦付債権の一里塚』といわれています。ズルズル回収を延ばすと、やがて焦付債権へと変身する危険性があることはいうまでもありません。
 取引先の支払いが渋滞している原因を調べるためには、次の行動から始めてください。
 第1に、取引先担当者に事情をよく聴くこと。当然のことですが、不良債権が発生した当該取引先の営業担当者から、まずは事情を聴き出してください。
 第2に、その営業担当者から得た情報をもとに、取引先とよく話し合うこと。「なぜ支払いが遅れているのか、その原因を知りたい」という誠実な姿勢で、相手方の立場に立って話しあうことです。この話し合いはできるだけ早く行う必要があります。というのも、相手方の資金繰りがさらに悪化すると、経営者や経理担当者は資金繰りのために不在がちになったり、経営破綻寸前に追い込まれると、経営者が蒸発する可能性があるからです。

不良債権の回収は全社的に行う

 さて、取引先の支払いが渋滞する主たる背景として、次のものがあります。

(1)
回収難状態  

「不良品や返品が増えてきた」「主力商品に大手ライバル商品が現れた」「大口の不良債権を抱えた」「主たる取引先が倒産した」ことなどが理由で、支払いたくてもお金がない場合。

(2)
販売不振状態

景気の後退や(1)の背景も手伝って商品が売れず、売上が急減することで資金繰りが悪化する場合。

(3)
販売事故 

納品上の契約違反でトラブルが起きたり、販売・経理担当者の売掛金のつまみ食いなどの不正行為により、事実上不良債権が発生している外観を呈している場合。

 バブル経済の崩壊後、(1)と(2)が原因で倒産するいわゆる不況型倒産が増えており、自己破産するケースも急増しています。取引先が自己破産すると、事実上、売掛金の回収が絶望的になる可能性が高くなります。民事再生手続きを活用しても配当分が少なくなり、また、手続きの途中で破産宣告を受ける恐れもあります。これが原因で、債権者が連鎖倒産する危険性も小さくありません。
 そのような事態を避けるために、売掛金回収に手間取っている相手方に対しては、全社的かつ早期に完全回収を検討すべきです。

法務スペシャリストを養成する

  検討の結果、売掛金が焦げ付きそうなときには、

1.
売掛金残高を確認すること

2.
消滅時効を中断すること(そのためにはごく一部でも回収する)

3.
支払い猶予に応じ一部でも現金で回収すること(残部は社長個人の手形保証のついた手形に切り替えておくこと)

4.
手形の書き換えの申し出に応じるときは一部現金で回収すること(新手形には社長個人の手形保証をつける)

5.
売り控え・出荷停止を早期に実施すること

6.
契約を解除して商品を合法的に引き上げること

7.
こまめに集金にでかけること

  ――などを実行してください。
 
 これらの効果的な回収方法を確実に行うためには、経営者・経理担当者の細心の注意とスピーディな実行がポイントになりますが、企業内に予防法務に強い法務スペシャリストを 養成しておくことも有効な手段でしょう。

飲食費5000円以下が損金扱いとなるには?

その他,代表ブログ | 2010年6月25日 金曜日 14:06


 「飲食費」が1人当たり5000円以下の場合は、課税対象から除外されると聞きました。その要件などを教えてください。


 平成18年度の税制改正により、法人の交際費のうち飲食費で1人当たり5000円以下の支出は、一定の要件の下で交際費課税の対象から除外されることになりました。
 

その要件は、3つあります。

(1) 社外の人との飲食費に限定……社内の人だけの飲食費で、社内交際費になるものは対象外です。
(2) 次の4事項を記載した書類の保存が必要……1.飲食等があった年月日、2.飲食等に参加した社外の人の社名(名称)、氏名、及び関係、3.飲食等に参加した者の数、4.費用の金額、飲食店等の名称所在地。
(3) 平成18年4月1日以後開始する事業年度分から適用(資本金等に関係ない)。

テーブルチャージも含まれる

対象になる飲食費については「飲食その他これに類する行為のために要する費用」とされているので、飲食代の他に、飲食に伴うテーブルチャージ料やサービス料も含まれることになります。飲食時のタクシー代等の送迎費用は含まれず、交際費に当たります。
 また、得意先などへ差し入れした弁当代も飲食費になります。が、ゴルフ等の接待時の飲食費はゴルフと飲食が一連のものとされるため、飲食費が5000円以下であっても(両者の)区別ができないので、該当しません。
 5000円以下の範囲とは、具体的にどんなことを指すのかといえば、まず5000円以下の金額は1店当たりで計算するため、仮に1次会と2次会があった場合には、それぞれの店単位で該当するかどうかになります。つまり、2次会の費用でも違う店で飲食して、1人当たり5000円以下であれば該当しますが、同一の店で支払いを分割しても該当しません。また、消費税との関係でいえば、会社(自社)の消費税の経理方法で異なります。税込経理で処理している場合には消費税を含めた金額で、税抜経理で処理している場合には消費税を除いた金額で5000円以下の判定をします。

経理処理の方法

 参加人員については、必ず社外の人が含まれていなければ該当しません。社内の人のみでの飲食費は厚生費、会議費、社内交際費になります。社外の人と社内の人との人数に関しては特に定めはありません。
 例えば接待する相手の社外の人が1人で、社内の人が数人であっても、それが必要であれば問題はありません。しかし社内の人の参加が形式的であれば問題になります。
 1人当たり5000円以下の飲食費を交際費から除外するためには、前述した3つの要件を記載した書類の保存が必要となりますが、その書類の様式は特に法定化されていません。従って、領収書に直接この要件を記載しておいてもよいと思われます。
 記載事項がない場合には適用要件を満たさないため、交際費課税の対象になります。また1回の飲食費を分割したり、相手先を偽ったり、人数を水増しして記載等を行えば、事実の仮装、隠蔽になるため重加算税の対象になることもあります。
 経理処理を行うにあたっては、交際費から除かれる、1人当たり5000円以下の飲食費を交際費とは別に表示する必要はありません。法人税の申告をする時に交際費から減額します。このため、これに該当する交際費は別途管理する必要が出てきます。

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