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譲渡費用の範囲(測量・分筆費用及び建物の取壊費用)

その他,代表ブログ | 2011年2月16日 水曜日 16:02

【件名】 譲渡費用の範囲(測量・分筆費用及び建物の取壊費用)

【質問】  個人甲は、自己の所有する1筆の土地600平方メートル(以下「分筆前土地」という。)を2分割し、その一方の300平方メートル(以下「本件譲渡部分」という。)を他に譲渡したが、分割(分筆)して譲渡するためには測量する必要があったのでその測量及び分筆費用(以下「本件測量費等」という。)として50万円、また、本件分筆前土地の上には、元々甲が所有する建物があったため、当該建物を全部取り壊した上で本件譲渡部分を譲渡したが、その取壊費用は500万円であった。
 甲が、この測量費等及び建物取壊費用を譲渡費用として申告しようとしたところ、友人から「同様の事例で、税務署から、測量した土地のうち半分は譲渡していないので譲渡費用として認められるのは支払った費用の半分だけですと指摘された人がいたので気をつけるように」と注意されたそうだ。
 本件の場合、測量費も取壊費用も譲渡部分の譲渡のために必要不可欠なものであるからその全額を譲渡費用にして問題ないのではないか。

【回答】 (1)本件の測量・分筆費用については、本件譲渡部分の範囲を確定し、分筆登記をするためには、本件土地の全体を測量しなければならないこと、また、譲渡部分を明確にするために必要最小限の分筆をしたということですから、その全額が譲渡費用に該当するものというべきでしょう。
(2)また、本件の建物取壊費用についても、取り壊した建物は分筆前の土地の全部を敷地として建てられていたので、本件譲渡部分(土地)の上にある部分だけを切り取って更地化して譲渡しようとすれば残った部分が建物としての機能を果たさなくなるということですから、建物取壊費用についてもその全額が譲渡費用に該当するものというべきでしょう。

【関連情報】 《法令等》 所得税法33条3項
所得税基本通達33-7

【解説】 1 譲渡費用とは、所得税法33条3項に規定する「その譲渡に要した費用」を指すものですが、これについては、〔1〕資産の譲渡に際して支出した仲介手数料、運搬費、登記若しくは登録に要する費用その他当該譲渡のために直接要した費用、〔2〕〔1〕に掲げる費用のほか、借家人等を立ち退かせるための立退料、土地を譲渡するためその土地の上にある建物等の取壊しに要した費用、既に売買契約を締結している資産を更に有利な条件で他に譲渡するため当該契約を解除したことに伴い支出する違約金その他当該資産の譲渡価額を増加させるため当該譲渡に際して支出した費用がそれに当たるものとして取り扱われています(所基通33-7)。
 判例は、譲渡費用について、「資産を譲渡するために直接かつ必要な費用」といっています(東京高裁12.09.27(平12(行コ)177)。
2 これを本件に照らしてみますと、次のとおりです。
(1)本件測量分筆費用について
イ 不動産登記法等の改正
 平成17年3月7日から改正不動産登記法が施行されており、その中で、分筆の登記申請の際に提出する地積測量図の取扱いの明確化が図られています。
 すなわち、平成17年施行の不動産登記法改正の前までは、「地積測量図は、1筆の土地ごとに作成しなければならない」(不動産登記令別表8「分筆の登記」不動産登記規則75〔1〕)とされていましたが、分筆の登記の申請に添付される地積測量図は、「分筆後の土地の1筆」について、必ずしも求積(面積を算出すること)及びその方法を表示することは必要とされていませんでした(旧・不動産登記事務取扱手続準則123)。
 そのため、境界紛争や地図の混乱が多く見受けられることとなったため、上記の改正により、原則「分筆後の土地のすべてについて求積方法等を明らかにしなければならない」こととされました。
 具体的にいえば、分筆前の甲土地(300平方メートル地番10)を分筆によりA土地(170平方メートル地番10-1)とB土地(130平方メートル地番10-2)として分筆登記をする場合には、従来は、分筆を必要とする一方の土地のみについて求積すればいいものとされていたものについて、改正により、原則として、分筆前の土地のすべてを測量(具体的には、すべての境界点の座標値及び境界点間の距離を地積測量図に記録するための測量)及び求積しなければならないものとされたものです。
 つまり、分筆後の土地のいずれかだけではなく、分筆前の甲土地についても測量しなければ、分筆することができなくなったのです。
 この原則に対する例外というのは、分筆前の土地が広大な土地であって、分筆後の土地の一方がわずかである場合等と極めて限定されています(新・不動産登記事務取扱手続準則72〔2〕)。
ロ 本件の場合について
 本件においては、本件譲渡部分を譲渡するために分筆前土地を半分に分筆したものです。そのような場合には、上記イにより、分筆前の土地の全体を測量の上分筆しなければならないこととなります。
 ところで、本件における分筆前土地の地積は広大なものではなく、かつ、本件譲渡部分の地積はわずかなものではないことが明らかですから、分筆前土地のうちの300平方メートルの部分を譲渡するためには、分筆前土地の全体を測量した上で分筆しなければならなかったと認められますので、当該測量は本件譲渡のためになされたものであって、当該測量分筆費用の全額が譲渡費用となるものと考えられます。
(2)建物取壊費用について
 土地の上に建物が建っており、その建物を取り壊さないと当該土地の全部の譲渡ができない場合はもとより、当該土地の全部を譲渡するのではなくても、譲渡する部分に当該建物がかかっているために、当該建物を取り壊さなければ当該譲渡部分を譲渡することができないような場合において支出した建物取壊費用は、当該譲渡部分を譲渡するために直接必要な費用と認められますから、その全額が譲渡費用として取り扱われるものと解されます。
 本件の場合は、取壊しに係る建物が本件土地のうち、本件譲渡部分にもかかっており、かつ、当該建物の全部を取り壊さないと本件譲渡部分譲渡が不可能であったとのことですから、当該取壊費用の全額が譲渡費用に該当することとなります。

【海外展開】 貿易保険を活用するには?

その他,代表ブログ | 2011年2月11日 金曜日 15:02


 初めて製品輸出する計画を立てていますが、代金回収に不安があります。中小企業も利用できる貿易保険について教えてください。


 貿易保険は、航海中の事故などで貨物に生じる物的損害をカバーする「海上保険」とは異なり、不可抗力的な事由(「非常危険」)かバイヤー責任による事由(「信用危険」)により製造中の貨物が船積みできなくなった場合、または輸出代金が回収できなくなった場合に、輸出者が受ける損失をカバーする「取引の保険」です。具体的な事由には、輸出先国の戦争や外貨送金制限・貨物輸入制限、バイヤーの破産や資金繰り悪化による不払いなどがあります。

 輸出契約を対象とした保険には、「貿易一般保険」や中小企業の海外展開を支援するため創設された「中小企業輸出代金保険」などがありますが、カバーする範囲や損失に対する保険金の支払い割合(てん補率)などは商品により異なります。

 中小企業輸出代金保険では代金の回収不能による損失のみをカバーし、保険事故で支払われる保険金は、「非常危険」「信用危険」によるいずれのケースでも損失額の95%となります。また貿易一般保険では、船積不能と代金回収不能両方による損失をカバーし、てん補率は、「非常危険」で損失額の97.5%、「信用危険」で90%となります。

 中小企業は、日本貿易保険のすべての保険を利用できますが、なかでも中小企業輸出代金保険は、毎年4〜6億円前後の引受実績があります。この保険は、契約金額が1000万円以下、貨物の船積日から決済期限までの期間が180日以内の輸出契約を対象とし、特に中小企業支援の観点から、(1)貿易保険の申込みと金融機関等による保険金請求権等への質権設定申請を同時に行うことができる、(2)保険金請求後、原則として1ヵ月以内に保険金を支払う――などの特徴があります。保険料率は、中国向けの決済期間60日の取引の場合で契約金額に対し0.6〜1%程度で、バイヤーや取引条件によって異なります。詳細は日本貿易保険にお問い合わせください。

 貿易保険は、日本在住の企業と海外のバイヤーとの間で合意された売買契約であれば引受け出来ますが、契約上のトラブルが原因の不払いなどは保険金が支払われない場合があるため、バイヤーとの間で契約条件(貨物の名称や数量、船積時期、決済時期や決済方法など)を確認した両者のサイン付契約書を取り交わすなど、形式的にも有効に成立した輸出契約であることが必要です。

 保険の引受け可否判断は、輸出先国の「国別引受方針」や、バイヤーの与信審査結果により行います。一度与信審査を行ったバイヤーは「海外商社名簿」に登録し管理していますが、登録済みバイヤーの中には、財務内容が悪く「信用危険」による損失がカバーされないものもありますので気をつける必要があるでしょう。

 名簿に登録されていない場合は、バイヤーの信用調査報告書を取得して日本貿易保険に登録依頼をして下さい。なお、中小企業の貿易保険利用を支援するため、1社あたり3バイヤーを上限として日本貿易保険が信用調査書取得費用を負担するサービスも行っています。

 このほか日本貿易保険では昨年から、商工組合中央金庫と業務協力を開始しました。審査結果にもよりますが、貿易保険付輸出代金債権を担保とすることによって、(1)輸出代金債権の金額に見合った融資が受けられる、(2)決済方法が為替手形でなく送金ベースのものでも輸出債権の資金化ができる、(3)貸出利率に優遇した金利が適用される――などのサービスを利用することができます。

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