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【資金繰り】 円滑化法に基づく住宅ローンの返済猶予

代表ブログ,資金調達 | 2011年7月12日 火曜日 18:07


 先日、「金融円滑化法」に基づき返済猶予を申請しましたが、住宅ローンについても同法により返済猶予を申請できると聞きました。申請にあたっての注意点など、詳しい内容を教えてください。


 金融円滑化法は、平成21年12月に、中小企業の事業活動の円滑な遂行および住宅ローン借入者である個人の生活の安定により国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的に施行されました。当初は平成23年3月末までの時限立法でしたが、景気回復・雇用環境改善の遅れ、また今回の東日本大震災の影響もあり、期限が1年間延長されることになりました。

 同法第2条に住宅ローン借入者についての定義が規定され、中小企業だけではなく、個人の住宅ローンについても返済猶予、返済条件変更等の申し込みが可能です。また、今年5月末に金融庁HPで発表された「中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について」では、その申込件数は、累計で中小企業が約176万件、住宅資金借入者が約16万件となっています。審査中・申込者からの取り下げを除く実行率(実行+謝絶に対する実行割合)は、それぞれ9割以上と、かなり柔軟に金融機関が対応しています。

 さて、中小企業の経営者が住宅ローンを申し込む場合は、金融機関はその企業の内容について将来性や安定性を吟味しますが、特に企業業績が下降しており、人件費等経費削減をしなければならないときは、貸し手はその経営者のキャッシュフローに注目します。経営者は株主であることが多いので、当然会社における金融機関からの借入金の連帯保証人です。一般の中小企業において会社と経営者個人の財産は実質同一体であるとも言えます。つまり、会社の業績が悪化すれば個人の財産も減少するのが通常であるため、経営者は自身の財産を会社に投入してでも事業を継続しようとします。この点が経営者の住宅ローンを検討する際の特徴と言えます。

 金融円滑化法に基づき返済条件変更を申し出た場合、会社は1年以内に経営改善計画書を提出する必要がありますが、会社の業績が悪化してきたため、その経営改善計画策定の際に、役員報酬を削減する必要も出てくると思います。

 しかし、一方で従来の役員報酬を基準に経営者が住宅ローンの返済額を設定していることが多いため、住宅ローンの返済に支障を来すケースが発生すると考えられます。このように企業を再生するために経営者自身がその痛みを覚悟する場合においては、住宅ローンについても金融円滑化法により条件変更を申請し、会社・個人一体となった改善計画を提出するのが望ましいと思われます。

 すなわち、会社と同様に住宅ローンについても返済条件の変更を申し込み、早急に会社・事業の経営改善を図ったうえで、将来的に住宅ローンの返済条件も条件変更前の返済額に戻すというような内容の計画を各金融機関に提出することになるのです。会社における経営改善の王道は(1)遊休資産等の売却(2)経費削減(3)新商品の開発(4)販路拡大であり、個人については(1)不要不急の支出の削減(2)新たな現金収入の拡大(3)遊休資産(不動産・有価証券等)の売却です。これらを検討し、会社と経営者自身のそれぞれの計画を策定する必要があります。

 よくある例ですが、経営者が会社の業績が悪化したために役員報酬を削減せざるを得ず、その結果カードローン等、金利の高い借り入れを行うことによって住宅ローンの返済に充当し、またそのカードローン返済のために他の借り入れを行うというケースがあります。住宅ローンについても金融円滑化法により返済条件の変更に応じてもらい、再度、経営する企業の借り入れと経営者自身の住宅ローンについて無理のない返済計画を立てることをお勧めします。

【賃金政策】 中小企業の夏季賞与の相場

その他,代表ブログ | 2011年7月8日 金曜日 11:07


 関東地区で小売店を経営しています。今年も夏季賞与を支給したいと考えていますが、中小企業の相場はどれくらいになりそうか教えてください。


 賞与の動向は基本的に企業業績によって決まります。データで確認しておくと、厚生労働省の「就労条件総合調査」によれば、賞与の主たる決定要素として「業績・成果を基準としている」企業は、管理職のケースで57.6%、管理職以外のケースで58.9%と、いずれも過半を占めています。ちなみに基本給を基準としている企業は、それぞれ30.9%、32.5%にとどまっています。

 では、賞与と企業業績の間には具体的にどのような関係があるのでしょうか。過去における、賞与の伸び率と経常利益の伸び率の関係をみてみましょう(『戦略経営者』2011年7月号30頁・図表参照)。2008年秋のリーマン・ショックのような急激な変化が生じたときは、ほぼラグなしに両者は連動していますが、通常、約半年前の企業業績がその期の賞与の伸びに影響していることがうかがわれます。現在はリーマン・ショックから2年以上経過しており、すでにその影響は一巡しているとみられます。したがって、基本的には昨年後半の業績動向が、今夏の賞与の動きを決めることになります。

 昨年後半を振り返ってみると、企業はリーマン・ショック後のリストラクチャリングにほぼ目処をつけ、財務体質が相当程度改善していました。そこに新興国向け輸出が伸びてきたことから、企業業績は全産業ベースで約4割増の増益を達成しています。

 これを前提に、過去の関係から今夏の賞与の前年比伸び率を推計すると1.1%となります。ちなみに日本経団連の第1次集計が発表されていますが、全産業ベースで4.17%となっています。業種別には製造業が5.44%、非製造業が▲0.55%です。日本経団連加盟企業には大手製造業が多く、これらの企業業績は平均よりも良かったため、ここでの推計値よりも高くなったとみられます。

 中小企業の場合、総じて大手企業よりも業績改善度合いが小さく、非製造業の割合も高いことから、平均的な今夏の賞与伸び率は0〜1%程度になると予想されます。ちなみに厚生労働省の「毎月勤労統計」ベースでの2010年夏の賞与を企業規模別にみると、従業員100〜499人で47.7万円、30〜99人で28.9万円となっています。したがって、このベースでの金額(今季賞与)でいえば、従業員100〜499人で48万円、30〜99人で29万円程度が平均的な相場になるものと考えられます。

 このように、わずかながらも2年連続で夏の賞与の増加が予想されますが、先行きは不透明です。いうまでもなく、東日本大震災の影響が懸念されるためです。被災に遭った企業はいうまでもありませんが、今回はサプライチェーン寸断の影響で全国的に生産活動が低下し、電力不足のマイナス影響もあります。今年上期の業績が悪化することは避けられず、経済活動の正常化は秋から年末ごろ以降になると考えられます。こうしてみると、この冬の賞与は再びマイナスとなりそうです。

 しかし、忘れてはならないのは震災のような大きな変化が生じたときは、企業業績の差が広がりやすくなることです。賞与は従業員のやる気を左右する重要なインセンティブです。その意味では厳しいなかでもあえて賞与を捻出し、従業員のやる気を引き出して、経営改革を進めるという発想も重要といえるでしょう。

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