代表ブログ

不動産賃貸が事業的規模でなくなった場合における青色申告特別控除の可否

その他,代表ブログ | 2011年10月28日 金曜日 16:10

【質問】  私は、賃貸アパート(8世帯用)を2棟所有し、事業的規模の不動産賃貸業として毎年当該賃貸アパートから生じる不動産所得について、青色申告特別控除65万円の適用を受けてきました。  本年9月30日に賃貸アパートの1棟を取り壊し、現在、その跡地に長男夫婦の居住用家屋を建設中です。このことによって同日以後は事業的規模の不動産賃貸業には該当しなくなりますが、本年分の不動産所得について、青色申告特別控除65万円の適用を受けることはできますか。 【回答】  青色申告特別控除65万円の適用は受けることができます。 【関連情報】 《法令等》 所得税法26条 所得税法27条 所得税法148条1項 所得税法施行令63条 所得税法施行規則57条 所得税法施行規則58条 所得税法施行規則59条 所得税法施行規則60条 所得税法施行規則61条 所得税法施行規則62条 所得税法施行規則64条 所得税法施行規則65条 所得税基本通達26-9 租税特別措置法25条の2第3項 租税特別措置法施行規則9条の6 租税特別措置法通達25の2-1 租税特別措置法通達25の2-4 【解説】  青色申告特別控除(65万円)は、不動産所得又は事業所得を生ずべき「事業」を営む青色申告者が、所得税法148条1項《青色申告者の帳簿書類》の規定により、所定の帳簿書類を備え付け、一切の取引の内容を詳細に記録している場合(所規57条〜62条、64条)に限り、その適用を認めるとするものです(措置法25条の2第3項、措規9条の6)。  そうすると、青色申告特別控除(65万円)の適用が受けられるのは、不動産所得又は事業所得を生ずべき「事業」を営む青色申告者に限られますが、その年の12月31日まで引き続き事業を行っている場合にのみこれを認めるとする規定ぶりにはなっておらず、「当該事業につき青色申告の承認を受けている年分の不動産所得又は事業所得の金額に係る一切の取引の内容を詳細に記録している場合」とされていることからしますと、年の中途で不動産貸付が事業的規模(所基通26-9)から非事業的規模に縮小された場合であっても、少なくとも当該事業的規模に係る部分の不動産所得について「一切の取引の内容を詳細に記録している場合」であれば、当該不動産所得の金額の計算において、青色申告特別控除(65万円)の適用ができるものと考えます。  ところで、不動産貸付を事業的規模で行っている場合であっても、その所得は事業所得とはならず、不動産所得となりますので(所法27条、所令63条本文かっこ書)、上記要件を満たす場合における「その年分の不動産所得の金額」とは、一義的には不動産貸付を事業的規模で行っている場合の不動産所得を指しているようにも考えられますが、租税特別措置法25条の2第3項では、「所得税法26条2項の規定により計算した不動産所得の金額」と「65万円」のいずれか低い金額を控除した金額とされています。  そして、この「所得税法26条2項の規定により計算した不動産所得の金額」とは、「その年中の不動産所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額」とされているだけで、事業的規模若しくは非事業的規模に係る不動産貸付から生じる不動産所得のいずれかに限定されているものではありませんので、結局これらの不動産貸付から生じる1年間の不動産所得の合計額ということになります。  したがって、ご質問の場合、青色申告特別控除(65万円)は、平成22年分の不動産所得の金額から控除できることになります。

自社株(非上場株式)を発行会社に譲渡した場合の課税関係について

その他,代表ブログ,資金調達 | 2011年10月7日 金曜日 16:10

【質問】  社長一族でY社(非上場会社)の発行済株式(すべて普通株)の51%を保有しており、社長自身はそのうち30%を保有していた。社長自身にある程度まとまった金銭が必要になったので、社長保有の自社株(Y社株式)のうち発行済株式数の10%相当数をY社に自己株式として買い取らせて資金調達をすることになった。この場合、社長とその同族会社の株主について、社長とA社との間の自社株の売買取引によって発生する課税関係について説明して欲しい。 【回答】 1.社長に対する課税(みなし配当所得・株式譲渡所得) (1)みなし配当所得課税  自己株式の譲渡対価の額のうち、譲渡した株式に対応する資本等の金額を控除した残額は「利益の配当」とみなされ、所得税の課税対象となります。 (2)株式譲渡所得課税 自己株式の譲渡対価のうち、(1)の利益の配当とみなされた金額を控除した残額は「株式等に係る譲渡所得等」の収入金額とみなされ、譲渡所得課税(分離課税)の対象となります。  ただし、その譲渡対価の額が譲渡した自己株式の時価の2分の1未満であるときは、譲渡所得課税上、時価で譲渡したものとみなして収入金額を算定します。 具体的には、譲渡した自己株式の時価相当額から実際の譲渡対価の額に基づき計算したみなし配当金額を控除した残額を自己株式の譲渡収入金額として譲渡所得金額を算定します。 2.Y社の他の株主に対する贈与税の課税 株式の譲渡が低額譲渡に当たる場合には、それによってY社の他の株主の有する株式の1株当たりの価額が売買取引前よりも増価することになります。 株式の価額(相続税評価額)が増価する場合には、株式の譲渡人から各株主に対して各株主の持株数に応じた経済的利益の贈与があったものとして、贈与税の課税対象となることがあります。 【関連情報】 《法令等》 所得税法25条1項4号 所得税法59条1項 相続税法9条 租税特別措置法37条の10第1項 租税特別措置法37条の10第3項4号 所得税法施行令169条 所得税基本通達23〜35共-9 所得税基本通達59-6 相続税法基本通達9-2 租税特別措置法通達37の10-27 【解説】 1.自己株式の譲渡による所得の課税 (1)通常の場合  個人株主がその保有する株式を発行会社に対して売買により譲渡する取引(自己株式の譲渡)は、一般的には「株式の相対売買」に当たりますので、その譲渡益は「株式等に係る譲渡所得等」として所得税の課税(分離課税)の対象となります。  ただし、平成13年度税制改正により、個人株主が自己株式の譲渡により収受した譲渡対価のうち、譲渡した株式に対応する資本等の金額を超える部分の金額は、「利益の配当」とみなされ、配当所得の課税対象(みなし配当所得。総合課税)に改められました(所法25(1)四)。したがって、譲渡した株式の譲渡対価のうち資本等の金額に相当する部分の金額以下の部分が、株式等に係る譲渡所得金額等の譲渡収入金額になります(措法37の10(3)四)。 (2)自己株式の譲渡が低額譲渡に該当する場合 イ みなし譲渡所得課税の仕組み   譲渡所得課税は、当事者が取り決めた譲渡対価の額が譲渡収入金額となって課税されることが原則とされています(所法36(1) (2))。   しかし、法人に対して、時価の2分の1未満の譲渡対価の額で資産の譲渡をすると、時価で譲渡したものとみなして譲渡所得の課税が行われます(いわゆる「みなし譲渡所得課税」。所法59(1))。   なお、この低額譲渡によるみなし譲渡所得課税の適用の基準となる「時価」の判定基準は、所得税基本通達23〜35共-9に定めてあります。   同通達によれば、取引相場のない株式については、(1)売買実例があるものは最近において売買の行われたもののうち適正と認められる価額又は(2)類似会社の株式の価額のあるものは、類似会社の株式の価額に比準した価額、さらに、(3)これらに該当しないものについては、その株式等の発行法人の1株(1口)当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額によることとされています。 この場合の「1株(1口)当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」については、所得税基本通達23〜35共-9を補完する具体的な取扱通達(所得税基本通達59-6)が定めてあり、それによれば「その時の価額」(時価)とは、一定の条件によることを前提として、財産評価基本通達178から189-7までの規定の例により算定することとして取り扱われています。  ロ みなし配当課税との関係 自己株式の低額譲渡があった場合には、譲渡した株式の実際の譲渡対価のうち資本金等の額に対応する部分を超える部分について、利益の配当とみなされ配当所得の課税対象になります。  したがって、自己株式の低額譲渡に該当し、かつ、その譲渡対価の額が資本金等の額に対応する額を超える場合には、その譲渡価額(時価)相当額は、(1)みなし譲渡収入金額(時価-実際の譲渡対価の額)、(2)みなし配当金額(実際の譲渡対価-資本等の額に対応する額)、(3)実際の譲渡収入金額(資本等の額に相当する金額)からなることになります。 2.贈与税について   株式発行法人が客観的時価により自己株式を取得したものである場合には、相続税法9条に定める経済的利益の贈与という事実は発生せず、したがって、他の株主に対する贈与税の課税関係が生じることはありません。 同族会社が個人から財産の低額譲渡を受けたため、その会社の発行済株式の1株当たりの価額(相続税評価額)について、株式の低額譲受前よりも譲受後の方が増価する場合には、その差額については財産の譲渡人から同族会社の株主に対して経済的利益の贈与があったものとみなされ、贈与税の課税対象になることがあります(相法9)。

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