代表ブログ

23年、中小企業の冬季賞与の相場について

その他,代表ブログ | 2011年12月20日 火曜日 18:12

Q.
 夏場以降の円高で経営環境が厳しくなっていますが、人材への投資という観点から今年も冬季賞与を支給する予定です。中小企業の相場はどの程度になりそうか教えてください

A.
 賞与には従業員の企業業績に対する成果配分という面と、生活のための一時金という面がありますが、近年、前者の性格が強くなる傾向にあります。2008年の厚生労働省の調査では賞与の主たる決定要因のうち、業績成果を基準としていると答えた企業は過半に上っています。実際のデータをみると、賞与の伸びは企業の経常利益に対し、ほぼ同時か半年程度遅れて連動する傾向が窺われます。

 最近の動きに即してみると、2009年夏には前年秋のリーマン・ショック後の急激な景気後退の影響で2桁減となったあと、企業業績の改善を受けて、2010年夏にはプラスとなりました。同年冬、2011年夏には大手企業ではプラス基調が維持されたものの、中小零細ではマイナスとなりました。

 では、今年の冬のボーナスの相場はどうなるでしょうか。前提となる企業業績の動向からみると、2011年上期の企業業績は、3月11日に発生した東日本大震災の影響で減益を余儀なくされました。いわゆるサプライチェーンの寸断で製造業分野では広く大幅減産に追い込まれ、非製造業分野でも、マインド悪化から個人消費が落ち込み、売り上げが減少しました。この結果、日銀短観によれば、2011年上期の経常利益は全産業で▲12.3%、内訳は製造業で▲14.6%、非製造業で▲10.7%と2桁マイナスが見込まれています。

 一方、下期については業績回復が見込まれています。全産業で+7.4%、業種別には製造業で+16.4%、非製造業で+2.0%となっています。サプライチェーンの復旧や消費者マインドの回復で、生産や売り上げが持ち直すためですが、改善テンポは総じて緩やかです。これは、夏場以降の円高や海外景気の下振れ、復興需要の遅れなどで、景気回復に足踏み傾向が出てきているためです。ここにきて、タイの大洪水で部品供給が滞り、一段と企業業績が下振れる恐れも出てきました。

 以上のような企業業績動向を前提とすれば、今年の冬の賞与は、おおざっぱに言えば前年並みから小幅プラスにとどまることが予想されます。日本経団連の大手企業の年末賞与に関する調査(第1回集計、10月13日時点)によれば、全産業で前年比+4.77%と比較的高めの伸びとなっています。業種別の内訳をみると、製造業が+5.59%、非製造業が▲0.36%となっていますが、この調査時点で回答した企業数は製造業で77社、非製造業で10社となっており、今後、相対的に業績改善の遅れがみられる非製造業の割合が高まれば、最終集計では全体の伸び率は低くなることが見込まれます。

 中小企業の場合、大企業以上に非製造業の割合が高く、全体平均では日本経団連の最終結果よりも、伸び率は低くなり、前年をやや下回る見通しです。もっとも、これはあくまで「平均」であり、現局面のように、さまざまな面で経済構造が変わる局面では、個別の企業業績のばらつきは大きくなる傾向があります。

 賞与を含む給与は労働の対価であると同時に、人材への投資という面もあります。変化の時代に、先を見越して事業構造を変えていくには、従業員のやる気が大きく作用します。増益を確保することが大前提ですが、平均は平均として、あえて賞与ファンドを確保し、将来への投資という発想を持つことも大切といえるでしょう。

【企業共済】 「中小企業倒産防止共済」の改正ポイント

代表ブログ,企業共済 | 2011年12月8日 木曜日 12:12

Q.
 中小企業の連鎖倒産防止に大きな効果がある「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)制度」が、平成23年10月より、さらに拡充されたと聞きました。詳細を教えてください.

A.
 中小企業倒産防止共済は、平成23年10月に大幅な制度改正が実施され、中小企業が連鎖倒産のリスクを回避する手段としてはたいへん有効な仕組みとなっています。

 この制度は、中小企業の取引先事業者が倒産し売掛金債権等が回収困難になった場合に、その「売掛金債権等の額」または積み立てた「掛金総額の10倍に相当する額」のいずれか少ない額までが必ず融資(=「共済金貸付」)されることにより急場の資金を手当てして、中小企業の連鎖倒産を防止する制度です。制度に加入した企業は、原則として毎月一定の掛金を積み立てて取引先倒産時の借入枠を上記の通り確保する一方、掛金を40カ月以上納付済みなら任意解約でも納付済み掛金の全額が返戻(=「解約手当金」)されるという、いわば無料の連鎖倒産リスク対策です。さらに、毎月の掛金納付時は当該掛金の全額を「事業所得の必要経費(個人事業)」または「損金(法人)」とすることができる、大きな税制上のメリットも備えています。

 共済金貸付を受ける際は、倒産した取引先事業者との商取引の内容・方法がわかる書類の提出が必要になります。共済金貸付を受けた際は、当該貸付額の10分の1に相当する積立済み掛金の権利が消滅します(完済後に任意解約した場合、例え掛金を40カ月以上納付していても同額分だけ差し引かれて返戻される仕組み)。なお解約手当金は雑収入となります。

掛金月額は最高20万円共済金貸付は最大8000万円に
 それでは、同制度がどのように改正拡充されたのでしょうか。上表(『戦略経営者』2011年12月号29頁表参照)および以下をご覧ください。

1.掛金月額の上限が8万円から20万円に
 掛金は、全額を必要経費・損金に算入可能ですから、リスク対策と同時に掛金納付年度に大きな節税が可能です。

2.掛金の積立限度額が800万円に
 掛金月額の最高額の40カ月分が積立限度額です。

3.共済金貸付の限度額が8000万円に
 積立済み掛金総額の10倍が限度ですから8000万円が限度額となり、非常に強力な連鎖倒産対策が可能です。なお、これは1件または複数の共済金貸付の合計限度額です。

4.共済金貸付の償還期限が延長
 従来の一律5年返済から、共済金貸付の額により最長7年まで貸付期間が延長されました。

5.その他
 所定の償還期限より12カ月以上早期の繰上完済等を条件に「早期償還手当金」が支給される仕組みや、今年3月の東日本大震災をうけて災害時に共済金貸付を利用できる仕組みの追加等が実施されて、より企業のセーフティーネットとしての有効性が向上しました。
 また、今回の制度改正により、新規加入申込および既存契約者の掛金の増額・前納(掛金上限の引き上げにより申込増加が予想されます)等の手続きも大きく変更されています。

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