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《相続》生前贈与の基礎知識 -「名義預金」など相続税調査で指摘されないために-

代表ブログ,相続 | 2012年8月29日 水曜日 09:08

親が子供や孫に毎年贈与税の基礎控除の範囲でキチンと贈与してきたつもりだったのに、相続税の調査で「名義預金」と指摘され、被相続人の財産として修正申告しなければならなかったという例が見受けられます。

そんなことにならないように正しい知識を身につけましょう。

○基本は民法の贈与

贈与するということは「ただでものをあげること」というのが私たちの常識です。

しかし。民法では「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し(片務)、相手方が受諾する(諾成)ことによって、その効力を生ずる」としており、「書面によらない贈与は、当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない」とされています。

つまり、贈与を受けた側がその事実を知らなかったり、贈与を受けた財産を自由に処分したり運用したりできなければ、法律的には贈与が履行されたとは認めてくれないのです。

ところが「渡してしまうと無駄遣いするといけないので預かっておく」ために、親や祖父母なとが贈与をしたつもりの子供や孫名義の預金を保管していることが多いのが実情です。

このような場合、実質的に子供や孫は自由に処分や運用をできません。

それどころかその事実を知らないこともあります。こうなると当然贈与は成立していないことになります。

○名義預金に時効はない

「贈与税を払っていなくても時効があるので最長でも7年経てば問題ないでしょう」とおっしゃる方がいます。

確かに贈与が成立していればそのとおりですが、そもそも「預かっていた預金」は、その人は贈与したつもりでも、贈与を受けたはずの人がその事実を知らなかったり、財産を自由に処分したり運用したりすることができなければ、民法の贈与契約は成立していません。したがって、何年経っていても贈与が成立していないとして、時効にはならないのです。

時効といえばいまだに「公正証書で土地の贈与契約を行って、その日から7年以上経過してから登記をすると贈与税を払わずに贈与できる」と耳にすることがあります。

しかし、平成10年12月25日の名古屋高等裁判所の判決でこのことは否認され、その後上告された最高裁判所は不受理決定をしていますので、こんなやり方は認めない判決が確定しています。

○金融資産は相手に渡す

預貯金、株式、国債及び投資信託などの金融資産は、贈与する人から贈与を受ける人に実際に渡す必要があります。

しかし、実際に渡した場合でもそのことを第三者からみて客観的に証明することが求められますので、次のような手続きをしておくとよいでしょう。

①父母又は贈与する人の銀行口座から贈与する金額を引き出し、もらう人の銀行口座に毎年あげたいときに振り込む。

②もらう人は自己名義の口座を作っておく(開設申込みは必ず本人又は親権者の自署押印によること)。

③もらった人又はその親権者が通帳、印、証書などを保管する。届出印は必ず贈与者のものとは別にしておく。

④暦年贈与を選択している場合で贈与金額が110万円を超えるときは、必ず申告して贈与税を納付する。

○収入はもらった人に

贈与してもらう人が既に給与収入などがあり独立しているような場合には、給与が振り込まれる銀行口座に振り込んでもらえば、日常的に使用している口座に振り込まれていますので贈与が成立していることに疑問の余地がありません。

株式の贈与を受ければ、その後に受け取る株式の配当収入は当然贈与を受けた人のものになります。それが収入を生む賃貸建物の場合には、贈与を受けた後の賃貸収入は建物の贈与を受けた人のものですから、その収入に係る不動産所得は贈与を受けた人が自らの所得として申告する必要があります。

さすがに賃貸収入の申告を忘れたり、贈与をした人の所得として申告したりする人は少ないようですが、株式の配当や債権の利息などを贈与した人が贈与前のようにそのまま受け取ってしまっている例が時々見受けられます。

そうなると贈与そのものの意思が疑われることになりかねません。

後で無用の疑いをもたれないように、これらの収入は「もらった人」が受け取り、申告が必要な場合にはもらった人が自らの所得としてきちんと申告しておきましょう。

平成23年5月に国税不服審判所で出された裁決では、「それらの原資を誰が負担しているか、取引や口座開設の意思決定をし、その手続きを実際に行っていたのは誰か、その管理運用による利益を得ていたのが誰かという点もまた帰属の認定の際の重要な要素ということができ、名義人と実際に管理運用しているものとの関係などを総合的に考慮して」財産の帰属を決めるべきであるとしています。

このように、安易に子供や孫名義の預金を作らず、実際に贈与して本人が自由につかえるようすることが重要です。

《賃金政策・トレンド》中小企業「夏季賞与」の相場・動向は?

その他,代表ブログ | 2012年8月6日 月曜日 12:08

[質問]

本年(24年)も円高の進行で経営環境は厳しいですが、今年も夏季賞与を支給したいと考えています。

中小企業の相場はどれくらいになりそうか教えてください。

[回答]

わが国では従業員の賞与・一時金は基本的に企業業績に従って支払われます。

そこでマクロ的な業績動向を、財務省が四半期ごとに公表している「法人企業統計調査」によってみてみましょう。

それによれば、全産業ベースの経常利益は、2012年4~6月期以降前年割れとなっており、

昨年10~12月期には前年同期比10.3%のマイナスです。

業種別には製造業が同21.5%減とマイナス幅が大きく、電気機械、情報通信機械など、

エレクトロニクス産業の減益が目立っています。

 こうした背景としては、円高の進行や海外景気の減速を指摘できます。昨年夏以降、

ギリシャの国家債務問題を契機に欧州経済が調整局面入りし、中国経済も沿海部を中心に減速傾向にあります。

さらに円高が進み、輸出産業にとっては大きな痛手となりました。とくにエレクトロニクス産業では、

韓国企業などの躍進により国際競争力が相対的に低下しており、テレビ事業などで大幅な赤字を計上しました。

 過去のボーナスの伸び率と企業業績の関係をみると、経常利益伸び率がおおむね半年程度のラグを

伴ってボーナスに影響しています。

従って、今夏のボーナスは、昨年10~12月期ごろの企業業績の影響を強く受けることになります。

すでにみたように、製造業を中心に経常利益は前年割れであり、ボーナスについても前年比マイナスになるものとみられます。

 ちなみに経団連が今年5月末時点で集計した大手企業の2012年夏季賞与・一時金妥結額(第1回集計)は、

前年比▲3.54%となっています。業種別には、製造業が▲4.10%、非製造業が▲2.03%です。

 では、中小企業の相場についてはどうなるでしょうか。前出の財務省「法人企業統計調査」で、

企業規模別の利益動向をみると、上場企業が多い資本金10億円の大企業の経常利益率が

昨年10~12月期に前年同期比16.9%減となっているのに対し、資本金1000万円から1億円の中小企業は

6.2%減とマイナス幅が小さくなっています。

これは、中小企業は業種でみて非製造業のウエートが高いためです。

昨年後半は、輸出環境が厳しく製造業の業績が大きく悪化しました。

一方、復興需要や個人消費の持ち直しで内需は意外に底堅く、非製造業の業績は比較的堅調に推移しました。

 以上を念頭に、昨年夏の賞与の実績を厚生労働省「毎月勤労統計」ベースでみると、

従業員30~99人企業の伸び率が0.0%であったのに対し、500人以上企業は+1.8%と、中小が大手を下回っていました。

これは当時の業績の違いによるものであり、今年については中小企業の方が業績は底堅いことを踏まえれば、

中小企業の夏季賞与の相場は前年割れとなることが予想されるにしても、

マイナス幅は大手よりも小さいものにとどまると見込まれます。

 もっとも、これはあくまで「平均値」に過ぎません。近年、企業間の業績格差は拡大傾向にあり、

個人による支給額の格差も大きくなっています。ちなみに総務省「家計調査」によれば、年収上位20%の世帯の

平均賞与と下位20%の世帯の倍率をみると、拡大傾向にあります。90年代前半には5~6倍であったものが、

最近は8倍程度になっています。そうした意味では、各企業は、世間相場は世間相場として参考にしつつ、

ボーナスの持つメッセージ性を考慮して、最終的な個々人の支給額を決めていくことが重要といえるでしょう。

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