代表ブログ

《危機管理》取引先の民事再生申請への対処法は?

その他,代表ブログ | 2014年9月26日 金曜日 10:09

(質問)

 商品を納入している大口取引先の1社が先日、民事再生法の申請を行いました。この会社に対し売掛債権があるのですがどのように対応すればいいのでしょうか。

(回答)

 

 中小企業を取り巻く経営環境は、ますます厳しくなっています。

 自社で経営努力を重ねていても、得意先が経営不振から民事再生法の申請をしたことで大きな影響を受けるといったケースもここにきて増加しているようです。

 
 民事再生手続とは、債務者(ご質問のケースでは取引先)が業務遂行権及び財産の管理処分権を原則として従来どおり保持しつつ、債権者(質問者の会社など)の一定数の同意によって可決された再建計画に基づいて事業の再建を図る手続きです。

 民事再生では、手続開始の申立てから再生手続開始までの間に財産が散逸しないよう、

 (1)再生債権に基づく強制執行などの手続きの中止命令、(2)一般債権者の権利行使を一切禁止する包括的禁止命令、(3)担保権の実行としての競売の手続きを一時的に中止する命令などが定められています。

 よって民事再生手続の申立て直前や後でこれらの手続きをとっても効果がない場合があることをまずは留意しておいてください。

 また、債務者から民事再生手続開始の申立てがなされたときは、第一に再生の見込みの有無を判断しなければなりません。

 開始決定前にこの判断をすることは決して容易ではありませんが、再生手続に関する裁判所の閲覧謄写請求規定の行使や債権者説明会や取引先からの情報収集に努め、的確な判断を行いましょう。

 次に再生手続が開始されたら債権者は、債権届出を提出しましょう。これにより債権調査の結果、再生債権者表に記載されると、確定判決と同一の効力が認められるからです。

 逆に債権届出がないと、原則として再生手続への参加や議決権の行使ができなくなったり、再生計画による配当を受けられなくなったりします。

 相殺については、再建型の倒産手続であるため制約があるので注意が必要です。

 再生手続開始時に債権債務の対立があり、かつ再生債権届出期間の満了前に相殺適状(当事者間の債権が相殺できる状態にあること)が生じた場合、相殺禁止事由に該当しない限り、その期間内に限り相殺できることとなっています。

 
 よって相殺の意思表示は早めに行うことをおすすめします。

 できるだけ事業を継続させることを趣旨とする民事再生法では、債権者が債務者の財産に担保権を有していても、その財産が事業の継続に不可欠である場合、債務者が当該財産の価額に相当する金銭を裁判所に納付して、財産上にある全ての担保権を消滅させること(担保権消滅請求制度)が定められています。

 これに対して債権者としては、その財産が事業の継続に不可欠でない、と判断したときは即時抗告を、申出額に異議があるときは価額決定請求をすることができます。

 再生計画案の内容については、賛否の意思を決めなければなりません。つまり債権額の20%を10年以内に弁済する、というような再生計画案であれば、そのカット率や弁済方法を詳細にわたり検討する必要があります。

 しかし債権者集会における再生計画案の決議の可否要件は、(1)議決権を行使することができる届出再生債権者で出席した者の過半数であって、かつ(2)議決権総額の2分の1以上の議決権者の賛成です。

 
 
 このことから実際は、大口債権者の意向が大きく反映される点に気をつけなければなりません。

《決算対策の注意点》未払決算賞与の社会保険料の費用計上はいつ可能か?

(質問)    弊社は、3月決算法人ですが、当期(平成26年3月期)、創業以来の好業績となる見込みとなったことから、使用人全員に対して決算賞与を支給することとしました。  期末の3月31日に支給対象者(使用人の全員)に対して各人ごとの支給予定額を通知して翌4月10日に通知のとおり支払いました。    この決算賞与については、当期において未払賞与として損金経理しますが、この未払賞与に係る社会保険料の会社負担額についても、当期の経費(損金)の額に算入して差し支えないでしょうか? (回答)    使用人に対する賞与の損金算入時期は、原則としてその支払日となりますが、  未払賞与に係る例外として、(1)支給を受けるすべての使用人に対して各人ごとの支給額を通知していること、(2)通知した金額を、通知したすべての使用人に対し、通知した日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること及び(3)その支給額につき通知した日の属する事業年度において損金経理をしていることの3つの要件のすべてを満たす場合には、その支給額を通知した日の属する事業年度の損金の額に算入することができます(法令72条の3)。      お尋ねの場合の決算賞与の額については、上記の3つの要件のすべてを満たすことから、当期の損金の額に算入することができますが、その決算賞与に係る社会保険料の会社負担額については、当期の損金の額に算入することはできないものと考えられます。      すなわち、法人税法上、各事業年度の損金の額に算入すべき金額は、その事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額とされています(法法22〔3〕二)。    そして、法人が負担する社会保険料の額については、当該保険料の額の計算の対象となった月の末日の属する事業年度において損金の額に算入することができることとされています(法人税基本通達9-3-2)。    これは、法人が負担する社会保険料は、被保険者が月末において在職している場合にのみ、同者に係る保険料を翌月末日までに納付することとなり、被保険者が月の中途で退職した場合には、同者の退職月に係る保険料は納付する義務がない(健康保険法156〔3〕、厚生年金保険法19〔1〕)ことによるものです。    したがいまして、法人が各使用人に支給する決算賞与に係る社会保険料の支払債務は、その決算賞与を支払った月の末日におけるその使用人の在職の事実をもって確定することになります。    これをお尋ねのケースに当てはめると、決算期末である3月末に未払計上した各使用人の決算賞与に係る社会保険料の支払債務は、その決算賞与を支払った月の末日すなわち4月末日におけるその使用人の在職の事実をもって初めて確定することになりますから、その社会保険料の額について3月末において損金算入(未払計上)することはできないことになります。    なお、この点に係る参考判決例として、平成24年7月5日東京地裁判決(LEX/DB:60057220)がありますので、参照ください。 【関連情報】 《法令等》 法人税法施行令72条の3 法人税基本通達9-3-2 健康保険法156条 厚生年金保険法19条

《税務、話題のニュース》中小に導入が噂される「外形標準課税」とは?

ニュース&トピックス | 2014年9月9日 火曜日 18:09

(質問)

赤字の中小企業に対して外形標準課税を適用する改正案が検討されているといいます。そもそも外形標準課税とは何でしょうか?

(回答)

法人税の実効税率を20%台まで引き下げるための代替課税として、赤字の中小企業に対して外形標準課税を適用する改正案が検討されています。

改正案が決まれば、赤字の中小企業の税負担が増し資金繰りがさらに厳しくなることが予想されます。

外形標準課税とは、事業所の床面積や従業員数、資本金や付加価値など外観的に判断できる基準を課税ベースとして税額を計算する課税方式で、法人事業税でこの課税方式が採用されています。

法人事業税は法人の行う事業そのものに課される税です。企業はその事業活動を行うにあたり、地方自治体から産業・都市基盤整備、警察・防災、環境保全などさまざまな行政サービスの提供を受けており、これに必要な経費を分担すべきだという考えにもとづいて課されているものです。

企業が享受する受益の大きさは企業の事業活動の規模に応じるという考えのもとに税負担の公平性を確保しようとすれば、行政サービスを利用しているすべての法人がその事業規模に応じて税を負担する必要があります。

従来の法人事業税は所得課税(所得金額×税率)で税額を算出していたため、自治体の税収は景気変動によって大きく左右され税収の安定性を欠いていましたし、たとえ大きな事業活動規模の企業でも欠損が生じれば税負担がゼロになるなど税負担の公平性も問われていました。

そこで、従来の所得課税だけでは事業規模との関係が必ずしも適切に反映されないとの指摘から、平成16年から資本金1億円超の法人を対象に所得課税と並行して外形標準課税が行われるようになったのです。

ただし資本金1億円以下の法人については、外形標準課税対象から外れました。

現在の法人事業税は、所得割、付加価値割、資本割で構成されています。

従業員への給与や支払利子、支払賃借料など企業が生み出した付加価値や資本金などの額に応じて税額を計算する仕組みとなっているため、所得が低い法人でも規模が大きければ事業税を支払うことになり、企業間の税負担を平準化する効果があります。

◎賃上げとは逆方向に進むことも

では、外形標準課税が資本金1億円以下の法人にも適用されるようになった場合、どのような影響があるのでしょうか。

行政サービスを等しく享受するわけだから、法人の黒字・赤字で負担額が異なるのはおかしいとの指摘はあるものの、赤字で資本の蓄積が乏しい中小法人に今以上の税負担を強いることは中小企業の存続を揺るがしかねない事態を招くかもしれません。

企業規模が小さくなればなるほど経費に占める人件費の割合が大きくなる傾向が強く、現行の付加価値割をそのまま課税ということになれば企業存続のためにやむなく人件費の削減に踏み込むことにもなり、安倍政権が進める「賃上げ」とは逆の方向に行くことも考えられます。

また、今般の消費税率改正で増税分の価格転嫁が出来なかった企業は、その分を自社で負担しなければならないことを考えると、外形標準課税の課税拡大が中小企業に二重の税負担を強いることにもなります。

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