平成23年税制改正大綱、閣議決定(2010/12/16)法人税サマリー

前回の続き

法人課税
 (1)法人税率の引下げ
    国税と地方税を合わせた法人実効税率を5%引き下げるため、法人税の基本税率の引下げ
   に伴い、法人住民税率を維持することとし、法人住民税の実効税率を0.87%引き下げます。
 (2)減価償却制度
    減価償却制度について、平成23年4月1日以後に取得をする減価償却資産の定率法の償却
   率は、定額法の償却率(1/耐用年数)を2.0倍した数(現行2.5倍した数)とします。
    なお、改定償却率及び保証率についても所要の整備を行います(所得税についても同様と
   します。)。
  (注1)定率法を採用している法人が、平成23年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了
     する事業年度において、同日からその事業年度終了の日までの期間内に減価償却資産の
     取得をした場合には、現行の償却率による定率法により償却することができる経過措置
     を講じます。
      なお、その減価償却資産を適格組織再編成により移転を受けた法人も同様とします。
  (注2)現行の償却率による定率法を採用している減価償却資産について、平成23年4月1日
     以後最初に終了する事業年度の申告期限までに届出をすることにより、その償却率を改
     正後の償却率に変更した場合においても当初の耐用年数で償却を終了することができる
     経過措置を講じます。
 (3)欠損金の繰越控除制度
    欠損金の繰越控除制度等について、次のとおり見直しを行います。
   ① 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度及び青色申告書を提出しなかっ
    た事業年度の災害による損失金の繰越控除制度における控除限度額について、その繰越控
    除をする事業年度のその繰越控除前の所得の金額の100分の80相当額とし、連結欠損金の
    繰越控除制度における控除限度額について、その繰越控除をする連結事業年度のその繰越
    控除前の連結所得の金額の100分の80相当額とします。
     これに伴い、次の措置を講じます。
   (イ) 中小法人等については、現行の控除限度額を存置します。
    (注)中小法人等とは、次の法人をいいます。
    (ⅰ)普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1
     億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもの(相互会社等、相互会社等の
     100%子法人及び資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人の100%子法人を除きま
     す。)
    (ⅱ)公益法人等
    (ⅲ)協同組合等
    (ⅳ)人格のない社団等
   (ロ) 特定目的会社、投資法人、特定目的信託に係る受託法人及び特定投資信託に係る受託法
    人で、支払配当等の損金算入制度の適用対象となるものについては、現行の控除限度額を
    存置します。
   (ハ) 会社更生等による債務免除等があった場合について現行どおり欠損金の損金算入ができ
    るようにする等の所要の整備を行います。
   (注1)上記の改正は、平成23年4月1日以後に開始する事業年度について適用します。
   (注2)平成23年4月1日前に更生手続開始の決定、再生手続開始の決定を受けたこと等の
      事実が生じた法人(連結納税の場合には、連結親法人)については、その決定等の日
      から更生計画認可の決定、再生計画認可の決定等の日以後7年を経過する日までの期
      間内の日の属する各事業年度については、経過措置として、現行の控除限度額を存置
      します。
   ② 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業
    年度の災害による損失金の繰越期間及び連結欠損金の繰越期間を9年(現行7年)に延長
    します。
     これに伴い、次の措置を講じます。
   (イ) 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった
    事業年度の災害による損失金の繰越控除制度及び連結欠損金の繰越控除制度について、そ
    の欠損金が生じた事業年度の帳簿書類の保存を適用要件とします。
   (ロ) 法人税の欠損金額に係る更正の期間制限を9年(現行7年)に延長します。
   (ハ) 法人税の欠損金額に係る更正の請求期間を9年とします。
   (注)上記(イ)及び(ロ)の改正は、平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた
     欠損金額について適用し、上記(ハ)の改正は、平成23年4月1日以後に法定申告期限が
     到来する法人税について適用します。
  【地方税】
    法人住民税及び法人事業税について、欠損金の繰越控除制度等に関する国税における諸制
   度の取扱いを踏まえ、所要の措置を講じます。
 (4)貸倒引当金制度
    貸倒引当金制度について、適用法人を銀行、保険会社その他これらに類する法人及び中小
   法人等に限定します。
    なお、これらの法人以外の法人の平成23年度から平成25年度までの間に開始する各事業年
   度については、現行法による損金算入限度額に対して、平成23年度は4分の3、平成24年度
   は4分の2、平成25年度は4分の1の引当てを認める等の経過措置を講じます。
 (5)寄附金
    一般の寄附金の損金算入限度額について、資本金等の額の1,000分の2.5 相当額と所得の
   金額の100分の2.5相当額との合計額の4分の1(現行2分の1)に、資本等を有しない法人
   の場合には所得の金額の100分の1.25(現行100分の2.5)相当額に、それぞれ引き下げます。
    なお、この改正に伴い、特定公益増進法人等に対する寄附金の別枠の損金算入限度額につ
   いて、一般の寄附金の損金算入限度額の縮減額と同額の拡充を行います。
 (6)その他
   ① 「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」の導入に伴い、次の措置を講じます
    ((イ)及び(ロ)については、所得税についても同様とします。)。
   (イ) 陳腐化償却制度を廃止します。
   (ロ) 耐用年数の短縮特例について、国税局長の承認を受けた未経過使用可能期間をもって耐
    用年数とみなすことにより、その承認後は未経過使用可能期間で償却できる制度とします。
   (ハ) 確定申告書等の添付書類に過年度事項の修正の内容を記載した書類を追加します。
   ② 100%グループ内の法人に係る税制等について、その円滑な執行に向けて、次のとおり
    所要の見直しを行います。
   (イ) 100%グループ内の他の内国法人が清算中である場合、解散が見込まれる場合又はその
    グループ内で適格合併により解散することが見込まれる場合には、その株式について評価
    損を計上しないこととします。
   (注)上記の改正は、平成23年4月1日以後に行う評価換え等について適用します。
   (ロ) 解散の場合の期限切れ欠損金の損金算入制度においてマイナスの資本金等の額を期限切
    れ欠損金と同様とするほか、連結納税制度における期限切れ欠損金の損金算入制度につい
    て所要の整備を行います。
   (ハ) 適格合併等の場合の欠損金の制限措置等について、適用対象から被現物分配法人の自己
    株式の適格現物分配を除外します。
   (注)上記の改正は、平成23年4月1日以後に行われる適格現物分配について適用します。
   (ニ) 外国法人が行う現物出資について、次の措置を講じます。
    (a) 外国法人の日本支店等が内国法人に資産等の移転を行う現物出資に係る課税繰延べの
     要件について、事業継続要件及び株式管理要件を廃止します。
    (b) 現物出資後に事業継続要件又は株式管理要件を満たさないこととなった場合に繰り延
     べた譲渡益に対して課税を行う取戻し課税を廃止します。
    (c) 上記(a)及び(b)の改正に伴い、外国法人が内国法人に対して国外にある資産等の移転
     を行う現物出資を適格現物出資に該当しないこととする等の所要の整備を行います。
   (注)上記の改正は、平成23年4月1日以後に行われる現物出資について適用します。
     なお、同日前に行われた現物出資について同日以後に事業継続要件又は株式管理要件を
     満たさないこととなった場合についても、取戻し課税を行わないこととします。
   (ホ) 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人に係る次の制度については、100%グルー
    プ内の複数の大法人に発行済株式の全部を保有されている法人には適用しないこととしま
    す。
    (a) 軽減税率
    (b) 特定同族会社の特別税率の不適用
    (c) 貸倒引当金の法定繰入率
    (d) 交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
    (e) 欠損金の繰戻しによる還付制度
    (f) 下記(2)②及び③の措置
   (注)大法人とは、資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上の法人又は相互会社等をい
     います。
   ③ 棚卸資産の評価について、切放し低価法を廃止します。なお、平成23年4月1日以後に
    開始する各事業年度においては、同日以後最初に開始する事業年度の前事業年度末の評価
    額をもって取得価額とする経過措置を講じます。
   ④ 法人税の中間納付制度について、仮決算による中間税額が前事業年度の確定法人税額の
    12分の6を超える場合には、仮決算による中間申告書を提出できないこととします。
 (7)中小企業税制
   ① 中小法人の軽減税率について、特例による税率を15%(現行18%)に引き下げた上、平
    成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度について適用するとと
    もに、本則税率を19%(現行22%)に引き下げます。(再掲)
   (注)平成23年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度については、経過
     措置として現行の租税特別措置法による税率を適用します。
   ② 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった
    事業年度の災害による損失金の繰越控除制度及び連結欠損金の繰越控除制度における控除
    限度額について、中小法人等については、現行の控除限度額を存置します。(再掲)
   ③ 中小法人等については、貸倒引当金制度を存置します。(再掲)
   ④ 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人に係る次の制度については、100%グルー
    プ内の複数の大法人に発行済株式の全部を保有されている法人には適用しないこととしま
    す。(再掲)
    イ 軽減税率
    ロ 特定同族会社の特別税率の不適用
    ハ 貸倒引当金の法定繰入率
    ニ 交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
    ホ 欠損金の繰戻しによる還付制度
    ヘ 上記②及び③の措置
   (注)大法人とは、資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上の法人又は相互会社等をい
     います。
   ⑤ 中小企業者で青色申告書を提出する法人のうち電気通信事業を営むものが、電気通信基
    盤充実臨時措置法の一部を改正する法律の施行の日から平成25年3月31日までの間に、電
    気通信基盤充実臨時措置法の認定計画に基づき、条件不利地域内にある公共施設に設置す
    る公共アプリケーションサービスを提供するための一定の設備の取得等をした場合には、
    その取得価額の15%の特別償却ができる措置を講じます。
   ⑥ 中小企業者等で青色申告書を提出する法人のうち特定農産加工業経営改善臨時措置法の
    特定農産加工業者に該当するものが、平成23年4月1日から平成25年3月31日までの間に、
    承認を受けた経営改善措置に関する計画に定める機械及び装置の取得等をした場合には、
    その取得価額の30%の特別償却ができる措置を講じます(所得税についても同様とします。)。
 (8)雇用促進税制(新設)
   ① 青色申告書を提出する法人で公共職業安定所の長に雇用促進計画の届出を行ったものが、
    平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において、当該事
    業年度末の従業員のうち雇用保険一般被保険者の数が前事業年度末に比して10%以上、か
    つ、5人以上(中小企業者等については、2人以上)増加したこと等の公共職業安定所の
    長の確認を受けた場合には、一定の要件の下、当該事業年度の法人税額から、増加した雇
    用保険一般被保険者の数に20万円を乗じた金額を控除できる措置を講じます。
     ただし、当期の法人税額の10%(中小企業者等については、20%)を限度とします(所
    得税についても同様とします。)。
   ② 平成23年4月1日から平成26年3月31日までの期間内に、青色申告書を提出する法人で
    次世代育成支援対策推進法の認定を受けたものが、当該認定の日を含む事業年度終了の日
    において有する建物等で事業の用に供したもののうち、当該認定の日を含む事業年度及び
    当該認定に係る一般事業主行動計画の期間内に新築をし、又は増築若しくは改築をしたも
    のについて、当該認定の日を含む事業年度において普通償却限度額の32%の割増償却がで
    きる措置を講じます(所得税についても同様とします。)。
  【地方税】
    公共職業安定所の長に雇用促進計画の届出を行った中小企業者等が、平成23年4月1日か
   ら平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において、当該事業年度末の従業員のう
   ち雇用保険一般被保険者の数が前事業年度末に比して10%以上、かつ、2人以上増加したこ
   と等の公共職業安定所の長の確認を受けた場合には、一定の要件の下、当該事業年度の法人
   税額から、増加した雇用保険一般被保険者の数に20万円を乗じた金額を控除できる措置を法
   人住民税に適用します。
 (9)環境関連投資促進税制(新設)
   ① 青色申告書を提出する法人が、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に、エ
    ネルギー起源CO2 排出削減又は再生可能エネルギー導入拡大に相当程度の効果が見込ま
    れる設備等の取得等をして、これを1年以内に国内にある事業の用に供した場合には、取
    得価額の30%の特別償却(中小企業者等については、取得価額の7%の税額控除との選択
    適用)ができる措置を講じます。ただし、税額控除額については当期の法人税額の20%を
    限度とし、控除限度超過額については1年間の繰越しができることとします(所得税につ
    いても同様とします。)。
  【地方税】
    中小企業者等が、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に、エネルギー起源
   CO2 排出削減又は再生可能エネルギー導入拡大に相当程度の効果が見込まれる設備等の取
   得等をして、これを1年以内に国内にある事業の用に供した場合に、選択適用できることと
   された取得価額の7%の法人税の税額控除を法人住民税に適用します。
 (10)総合特区制度・アジア拠点化推進のための税制(新設)
   ① 総合特区制度の創設に伴い、次の国際戦略総合特別区域(仮称。以下同じです。)に係
    る措置を講じます。
    イ 国際戦略総合特別区域内において、青色申告書を提出する法人で認定を受けた地方公
     共団体の指定を受けたものが、認定国際戦略総合特別区域計画(仮称)に記載された事
     業を行うために一定の規模以上の設備等の取得等をしてその事業の用に供した場合には、
     その取得価額の50%(建物等については、25%)の特別償却又は15%(建物等について
     は、8%)の税額控除のいずれかの選択適用ができることとします。
      ただし、税額控除額については当期の法人税額の20%を限度とし、控除限度超過額に
     ついては1年間の繰越しができることとします。
    (注)上記の改正は、総合特別区域法(仮称)の施行の日から平成26年3月31日までの間
      に指定を受けた法人のその期間内に取得等をする設備等について適用します。
    ロ 国際戦略総合特別区域内において、青色申告書を提出する法人で認定を受けた地方公
     共団体の指定を受けたもの(当該区域内において設立された法人又は当該区域内に本店
     若しくは主たる事務所を有する法人のうち一定の規模以上の設備等の取得等をしたもの
     に限ります。)が、専ら認定国際戦略総合特別区域計画(仮称)に記載された規制等の
     特例措置の適用を受ける事業等を行う場合には、当該指定の日から5年間、当該事業に
     係る所得の金額の20%の所得控除ができることとします。
      なお、この措置の適用を受けることができる国際戦略総合特別区域の指定数は少数に
     限定するものとし、この措置の適用を受ける事業年度においては、上記イの国際戦略総
     合特別区域に係る特別償却又は税額控除は適用しないこととします。
   (注)上記の改正は、総合特別区域法(仮称)の施行の日から平成26年3月31日までの間に
     指定を受けた法人のその指定を受けた日から5年を経過する日までの期間内に終了する
     各事業年度について適用します。
   ② アジア拠点化を推進するための制度の創設に伴い、青色申告書を提出する法人である特
    定外国法人等設立会社(仮称)で、専ら、研究開発事業又は国際的統括事業を行うものが、
    主務大臣の研究開発事業計画(仮称)又は国際的統括事業計画(仮称)の認定を受けた場
    合には、これらの事業計画の認定の日から5年間、当該事業に係る所得の金額の20%の所
    得控除ができる措置を講じます。
     なお、研究開発事業を行う法人がこの措置の適用を受ける事業年度においては、試験研
    究を行った場合の法人税額の特別控除は適用しないこととします。
   (注)上記の改正は、特定外国法人による研究開発事業等の促進に関する特別措置法(仮称)
     の施行の日から平成26年3月31日までの間に認定を受けた法人のその認定を受けた日か
     ら5年を経過する日までの期間内に終了する各事業年度について適用します。
  【地方税】
   ① 国際戦略総合特別区域内において、認定を受けた地方公共団体の指定を受けた法人が、
    認定国際戦略総合特別区域計画(仮称)に記載された事業を行うために一定の規模以上の
    設備等の取得等をしてその事業の用に供した場合に選択適用できることとされた法人税の
    特別償却について、法人住民税及び法人事業税に反映する措置を講じます。
   ② 国際戦略総合特別区域内において、認定を受けた地方公共団体の指定を受けた法人(当
    該区域内において設立された法人又は当該区域内に本店若しくは主たる事務所を有する法
    人のうち一定の規模以上の設備等の取得等をしたものに限ります。)が、専ら認定国際戦
    略総合特別区域計画(仮称)に記載された規制等の特例措置の適用を受ける事業等を行う
    場合に、当該指定の日から5年間、できることとされる法人税の所得控除について、法人
    住民税及び法人事業税に反映する措置を講じます。
   ③ アジア拠点化を推進するための制度の創設に伴い、特定外国法人等設立会社(仮称)で、
    専ら、研究開発事業又は国際的統括事業を行うものが、主務大臣の研究開発事業計画(仮
    称)又は国際的統括事業計画(仮称)の認定を受けた場合に、これらの事業計画の認定の
    日から5年間、できることとされる法人税の所得控除について、法人住民税及び法人事業
    税に反映する措置を講じます。
 (11)その他の租税特別措置等
  (廃止・縮減等)
   ① 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の特例について、適用期限の到来をもって
    廃止します(所得税についても同様とします。)。
   ② エネルギー需給構造改革推進投資促進税制を廃止します(所得税についても同様としま
    す。)。
   ③ 中小企業等基盤強化税制について、適用期限の到来をもって廃止します。
     なお、本制度の廃止に伴い、中小企業投資促進税制の対象から除外されているソフトウ
    エアの範囲について所要の見直しを行います(所得税についても同様とします。)。
   ④ 公害防止用設備の特別償却制度について、特別償却率を8%(現行14%)に引き下げる
    とともに、対象設備のうち指定物質回収設備を中小企業者等が新増設をする指定物質の回
    収の用に供される装置を含むドライクリーニング機等に見直した上、その適用期限を1年
    延長します(所得税についても同様とします。)。
   ⑤ 事業革新設備等の特別償却制度について、所要の経過措置を講じた上、廃止します(所
    得税についても同様とします。)。
   ⑥ 共同利用施設の特別償却制度について、特別償却率を6%(現行8%)に引き下げた上、
    その適用期限を1年延長します。
   ⑦ 医療用機器等の特別償却制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延
    長します(所得税についても同様とします。)。
    イ 高度・先進医療の提供に資する医療用機器に係る措置について、対象機器の範囲から
     心電図及び顕微鏡を除外し、特別償却率を12%(現行14%)に引き下げます。
    ロ 医療の安全の確保に資する医療用機器に係る措置について、対象機器の範囲から、生
     体情報モニタ連動ナースコール制御機、注射薬自動払出機、医療情報読取照合装置及び
     特殊寝台を除外し、特別償却率を16%(現行20%)に引き下げます。
    ハ 新型インフルエンザ対策に資する医療用機器に係る措置、特定増改築施設に係に係る
     措置及び立替え病院用得等建物に係る措置を除外します。
  (延長・拡充等)
   ① 退職年金等積立金に対する法人税の課税の停止措置の適用期限を3年延長します。
   ② 国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入制度について、予算措置を前提
    に、対象となる国庫補助金等の範囲に独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
    法に基づく助成金で高効率ノンフロン型空調機器技術の開発事業(仮称)等に係るものを
    追加します。
  【地方税】
   ① 法人住民税について試験研究を行った場合の栄額の特別控除の特例について、適用期限
    の到来をもって廃止します。
   ② 法人住民税についてエネルギー需給構造改革推進投資税制を廃止します。
   ③ 法人住民税について中小企業等基盤強化税制を適用期限の到来をもって廃止します。

消費課税
  ① 消費税の事業者免税点制度における免税事業者の要件について、次の見直しを行います。
   イ 個人事業者のその年又は法人のその事業年度につき現行制度において事業者免税点制度
    の適用を受ける事業者のうち、次に掲げる課税売上高が1千万円を超える事業者について
    は、事業者免税点制度を適用しないこととします。
   (イ)個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの間の課税売上高
   (ロ)法人のその事業年度の前事業年度(7月以下のものを除く。)開始の日から6月間の
     課税売上高
   (ハ)法人のその事業年度の前事業年度が7月以下の場合で、その事業年度の前1年内に開
     始した前々事業年度があるときは、当該前々事業年度の開始の日から6月間の課税売上
     高(当該前々事業年度が5月以下の場合には、当該前々事業年度の課税売上高)
   ロ イの適用に当たっては、事業者は、イの課税売上高の金額に代えて所得税法に規定する
    給与等の支払額の金額を用いることができることとします。
   ハ イに該当することとなった場合にはその旨の届出書を提出することとする等の所要の措
    置を講じます。
   (注)上記の改正は、上記のその年又はその事業年度が平成24年10月1日以後に開始するも
     のについて適用します。
  ② 課税売上割合が95%以上の場合に課税仕入れ等の税額の全額を仕入税額控除できる消費税
   の制度については、その課税期間の課税売上高が5億円(その課税期間が1年に満たない場
   合には年換算)以下の事業者に限り適用することとします。
   (注)上記の改正は、平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用します。
  ③ 消費税の還付申告書(仕入控除税額の控除不足額の記載のあるものに限ります。)を提出
   する事業者に対し任意に提出を依頼している「仕入税額控除に関する明細書」について、還
   付申告書への添付を義務付けた上、その記載事項の見直しを行います。
   (注)上記の改正は、平成24年4月1日以後に提出する還付申告書について適用します。
  ④ 消費税の輸出物品販売場制度について、外国人旅行者が土産物等を免税で購入する際に作
   成される購入記録票等の書式の見直しを行います。

 6.市民公益税制
 〔国税〕
 (1)所得税の税額控除制度の導入
    認定特定非営利活動法人(以下「認定NPO法人」といいます。)及び公益社団法人等へ
   の寄附について、次のとおり、税額控除制度を導入します。
   ① 認定NPO法人に寄附をした場合の所得税額の特別控除個人が、各年において支出した
    認定NPO法人に対する寄附金(総所得金額等の40%相当額を限度)で、その寄附金の
    額が2,000円を超える場合には、所得控除との選択により、その超える金額の40%
    相当額(所得税額の25%相当額を限度)をその者のその年分の所得税額から控除します。
   (注)上記の改正は、平成23年分以後の所得税について適用します。
   ② 公益社団法人等に寄附をした場合の所得税額の特別控除個人が、各年において支出した
    公益社団法人、公益財団法人、学校法人、社会福祉法人又は更生保護法人(現行の寄附金
    控除(所得控除)の対象となっている法人に限ります。)のうち、一定の要件を満たすも
    の(以下「税額控除対象法人」といいます。)に対する寄附金(総所得金額等の40%相
    当額を限度)で、その寄附金の額が2,000円を超える場合には、所得控除との選択に
    より、その超える金額の40%相当額(所得税額の25%相当額を限度)をその者のその
    年分の所得税額から控除します。
   (注)上記の改正は、平成23年分以後の所得税について適用します。
 (2)認定NPO法人制度の認定要件について、一定の見直しを行います。
 〔地方税〕
 (1)個人住民税の控除対象寄附金の拡大
    認定NPO法人以外のNPO法人への寄附金であっても、都道府県又は市区町村が条例に
   おいて個別に指定することにより、個人住民税の寄附金税額控除の対象とすることができる
   よう、一定の措置を講じます。
 (2)個人が特定のNPO法人等へ助成することを希望した都道府県又は市区町村に対する寄附
   金については、原則として「ふるさと寄附金」に該当することとします。ただし、個人が特
   定のNPO法人等へ助成することを条件とし、当該条件が履行されない場合には返還義務の
   生ずるもの(負担付き寄附)を除くこととします(この場合、所得税も同様の取扱いとしま
   す。)。
 (3)個人住民税の寄附金税額控除の適用下限額の引下げ
    寄附金税額控除の適用下限額を2千円(現行5千円)に引き下げます。
  (注)上記の改正は、平成24年度分以後の個人住民税について適用します。

 7.国際課税
 (1)外国税額控除制度の見直し
   ① 外国税額控除制度の適正化を図る観点から、次の見直しを行います。
    イ 外国税額控除の対象から除外される高率な外国法人税の水準を、35%超(現行50%超)
     に引き下げます。
    ロ 控除限度額の計算の基礎となる国外所得から非課税国外所得の全額(現行3分の2)
     を除外します。
      ただし、経過措置として、2年間は非課税国外所得の6分の5を除外します。
    ハ 控除限度額の計算の基礎となる国外所得の90%制限に係る特例は、廃止します。
   ② 複数の税率の中から納税者と税務当局等との合意により税率が決定される税について、
    最も低い税率を上回る部分は、外国税額控除制度及び内国法人等の特定外国子会社等に係
    る所得の課税の特例(いわゆる外国子会社合算税制)等の適用上、外国法人税及び外国所
    得税に該当しないものとします。
   (注)上記の改正は、平成23年4月1日以後に納付することとなる外国法人税及び外国所得
     税について適用します。
   ③ 控除限度額の計算について、租税条約の規定により条約相手国等において租税を課する
    ことができるとされる所得(租税条約の規定において控除限度額の計算に当たって考慮し
    ないものとされる所得を除きます。)で当該条約相手国等において外国法人税又は外国所
    得税を課されるものは、国外所得に該当するものとします。
 (2)移転価格税制の見直し
    OECD移転価格ガイドラインの改定等に伴い、国外関連者との取引に係る課税の特例
   (いわゆる移転価格税制)について、次の見直しを行います。
   ① 独立企業間価格の算定方法の適用順位の見直し
     現行の独立企業間価格の算定方法の適用優先順位を廃止し、独立企業間価格を算定する
    ために最適な方法を事案に応じて選択する仕組みに改正します。
     なお、上記の改正に伴い、その円滑な施行に資するよう運用の明確化を図るとともに、
    独立企業間価格の算定方法の一覧性を確保する観点から、現行の利益分割法の下位分類と
    して同ガイドラインにおいて認められている算定方法(比較利益分割法、寄与度利益分割
    法及び残余利益分割法)を明確にします。
   (注)上記の改正は、平成23年10月1日以後に開始する事業年度について適用します。
   ② 独立企業間価格幅(レンジ)の取扱いの明確化
     国外関連取引の価格等が、レンジの中にある場合には移転価格課税を行わないこと、ま
    た、レンジの外にある場合には比較対象取引の平均値に加え、その分布状況等に応じた合
    理的な値を用いた独立企業間価格の算定もできることを運用において明確にします。
 (3)その他
   ① 外国子会社合算税制等の円滑な執行を図るため、次の措置を講じます。
    イ 株式等の保有を主たる事業とする統括会社について、事業基準以外の適用除外基準の
     判定を統括事業により行うことを明確にします。
    ロ 特定外国子会社等に該当することとされる著しく低い租税負担割合の基準(いわゆる
     トリガー税率)の計算上、外国関係会社の本店所在地国以外の国又は地域に所在する法
     人から受ける配当等が非課税所得の範囲から除外されるための持株割合要件等を廃止し
     ます。
    ハ 日本税法基準によって特定外国子会社等の合算対象とされる金額を計算する場合には、
     現物分配に係る課税繰延べ規定の適用はないことを明確にします。
    ニ その他
     (イ) 外国関係会社の所得の金額が零の場合のトリガー税率の判定は、外国法人税の表面
      税率により行うことを明確にします。
     (ロ) 資産性所得の基因となる株式等に係る保有割合10%未満の要件の判定時期は、配当
      等については当該配当等の効力が生ずる日、譲渡については当該譲渡の直前であるこ
      とを明確にします。
     (ハ) 資産性所得に係る費用の計算について、次の措置を講じます。
      (a) 利子・配当等の額に対して課される外国源泉税の額は、資産性所得の金額の計算
       上控除できるよう計算方法を見直します。
      (b) 債券の償還差益に係る資産性所得の費用の額を簡便法により計算する場合には、
       償還の直前の事業年度終了の時(現行:償還の直前)の総資産の帳簿価額を用いる
       こととします。
      (c) 株式等及び債券の譲渡に係る資産性所得の金額の計算上控除する取得価額につい
       て、その計算方法(移動平均法等により計算)を明確にします。
    (注)上記の改正は、内国法人の平成23年4月1日以後に終了する事業年度において、特
      定外国子会社等の合算対象とされる金額(当該特定外国子会社等の平成22年4月1日
      以後に開始する事業年度分に係るものに限ります。)につき合算課税を行う場合につ
      いて適用します。
       ただし、上記ハの改正は、特定外国子会社等の平成23年4月1日以後に行われる現
      物分配について適用します。
                                          以上

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