《27年税制改正大綱 (国税関係)》

平成27年度税制改正大綱(自民・公明両党)の概要
- 法人実効税率(現行34.62%)を32.11%(▲2.51%)に引き下げ -

  自民、公明両党が、昨年12月30日に決定した「平成27年度税制改正大綱」によりますと、デフ
 レ脱却・経済再生をより確実なものにしていくための税制措置として、平成27年度を初年度とし、
 国・地方を通じた法人実効税率(現行34.62%)を平成27年度に32.11%(▲2.51%)、平成28年
 度に31.33%(▲3.29%)に引き下げることとし、以後数年で、法人実効税率を20%台まで引き
 下げるとしています。その際、基礎的財政収支黒字化目標との整合性を保つため、課税ベ-スの
 拡大等により恒久財源を確保するために、欠損金繰越控除や受取配当益金不算入の見直し等が行
 われます。
  また、少子高齢化の進展・人口減少への対応として、結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課
 税措置等が講じられます。
  なお、経済再生と財政健全化を両立するため、平成27年10月に予定していた消費税率10%への
 引き上げ時期を平成29年4月としています。
  平成27年度税制改正大綱の概要は、次のとおりです。
 
 【平成27年度税制改正の具体的内容】
 
 〔国税関係〕
 
 一 個人所得課税
 
 1.金融・証券税制
 〔新設〕
 (1) 未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置を次のように
  創設する。
  ① 非課税措置の概要
   1) 居住者等が、未成年者口座に設けた次に掲げる勘定の区分に応じそれぞれ次に定める期
    間内に支払を受けるべき当該勘定において管理されている上場株式等の配当等(当該未成
    年者口座において支払を受けるものに限る。)及び当該期間内に譲渡した当該上場株式等
    の譲渡所得等については、所得税を課さない。
   (イ)非課税管理勘定 当該非課税管理勘定を設けた日から同日の属する年の1月1日以後
     5年を経過する日までの期間
   (ロ)継続管理勘定 当該継続管理勘定を設けた日からその未成年者口座を開設した者がそ
     の年1月1日において20歳である年の前年12月31日までの期間
   2) 非課税管理勘定は、平成28年から平成35年までの各年(当該未成年者口座を開設してい
    る者が、その年1月1日において20歳未満である年及び出生した日の属する年に限る。)
    に設けることができることとし、毎年80万円を上限に、新たに取得した上場株式等及び同
    一の未成年者口座の他の非課税管理勘定から移管される上場株式等を受け入れることがで
    きる。
   3) 継続管理勘定は、平成36年から平成40年までの各年(当該未成年者口座を開設している
    者がその年1月1日において20歳未満である年に限る。)に設けることができることとし、
    毎年80万円を上限に、同一の未成年者口座の非課税管理勘定から移管される上場株式等を
    受け入れることができる。
  (注)上記2)及び3)の80万円の上限は、新たに取得した上場株式等についてはその取得対価の
    額により、他の非課税管理勘定から移管がされる上場株式等についてはその移管の時の価
    額(時価)により判定する。
  ② 未成年者口座
   1) 未成年者口座とは、居住者等(その年1月1日において20歳未満である者及びその年に
    出生した者に限る。)が、本特例の適用を受けるため、金融商品取引業者等の営業所の長
    に対し、その者の氏名、住所及び個人番号等を記載した未成年者口座開設届出書に未成年
    者非課税適用確認書を添付して提出することにより平成28年から平成35年までの間に開設
    した口座(1人につき1口座に限る。)をいう。
   2) 未成年者口座で管理されている上場株式等につき支払を受ける配当等及び当該上場株式
    等を譲渡した場合におけるその譲渡代金等については、課税未成年者口座において管理さ
    れなければならない。
   3) 未成年者口座を開設した居住者等は、当該未成年者口座を開設した日から居住者等がそ
    の年3月31日において18歳である年(以下「基準年」という。)の前年12月31日までの間
    は、当該未成年者口座内の上場株式等を課税未成年者口座以外の口座に払い出すことはで
    きない。ただし、当該居住者等が、その居住する家屋が災害により全壊したことその他こ
    れに類する事由(当該事由が生じたことにつき税務署長の確認を受けた場合に限る。以下
    「災害等の事由」という。)に基因して当該未成年者口座及び課税未成年者口座内の上場
    株式等及び金銭の全てを払い出す場合は、この限りでない。
  ③ 課税未成年者口座
   1) 課税未成年者口座とは、居住者等が未成年者口座を開設している金融商品取引業者等の
    営業所(当該金融商品取引業者等の関連会社の営業所を含む。)に開設した特定口座、預
    貯金口座又は預り金の管理口座をいう。
   2) 課税未成年者口座内の上場株式等及び預貯金等は、当該課税未成年者口座を開設した居
    住者等の基準年の前年12月31日までは、その資金を未成年者口座における投資に用いる場
    合を除き、当該課税未成年者口座から払い出すことはできない。ただし、当該居住者等の
    災害等の事由に基因して当該課税未成年者口座及び未成年者口座内の上場株式等及び金銭
    の全てを払い出す場合は、この限りでない。
  ④ 払出制限について要件違反があった場合の取扱い
   1) 未成年者口座及び課税未成年者口座を開設した居住者等が、基準年の前年12月31日まで
    に、これらの口座内の上場株式等及び預貯金等をこれらの口座から払出しをした場合には、
    当該払出しがあった日において上場株式等の譲渡又は配当等の支払があったものとして、
    次の金額に対して15%(他に地方税5%)の税率により源泉徴収を行う。
   (イ)次に掲げる金額の合計額から、当該未成年者口座を開設した日から当該払出しがあっ
     た日までの間に当該未成年者口座において取得した上場株式等の取得対価の額等の合計
     額を控除した金額
     a. 当該未成年者口座を開設した日から当該払出しがあった日までの間に、当該未成年
      者口座において行われた上場株式等の譲渡に係る譲渡対価の額及び当該未成年者口座
      から課税未成年者口座に移管がされた当該移管の時における上場株式等の価額(時価)
      の合計額
     b. 当該払出しがあった日において当該未成年者口座において有する上場株式等の価額
      (時価)の合計額
   (ロ)当該未成年者口座を開設した日から当該払出しがあった日までの間に当該未成年者口
     座において支払を受けた上場株式等の配当等の額の合計額
   (注)上記(イ)の譲渡所得の金額の計算上損失が生じた場合には、その生じた損失の金額
     はなかったものとみなす。また、上記(ロ)の配当所得の金額から控除することもでき
     ない。
   2) 上記1)により源泉徴収された上場株式等に係る譲渡所得等の金額は、確定申告不要制度
    を適用できる。
  ⑤ 年間取引報告書の税務署長への提出
    金融商品取引業者等は、未成年者口座においてその年中に生じた上場株式等の配当所得の
   金額及び譲渡所得等の金額その他の事項について報告書を作成し、これを翌年1月31日まで
   に、税務署長に提出しなければならない。
  ⑥ 非課税口座(NISA口座)への移管等
   1) その年1月1日において20歳である居住者等が同日に未成年者口座を開設している場合
    には、同日以後は、当該未成年者口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所に当
    該居住者等の非課税口座が開設されたものとみなすこととする。
   2) 金融商品取引業者等の営業所に開設されている未成年者口座の非課税管理勘定又は継続
    管理勘定において管理されていた上場株式等は、同一の金融商品取引業者等の営業所に開
    設されている非課税口座に移管できることとする。
 (注)上記の制度は、平成28年1月1日以後に未成年者口座の開設の申込みがされ、同年4月1
   日から当該未成年者口座に受け入れる上場株式等について適用する。ただし、これらの日が、
   行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律附則第1条第4号
   に定める日前となる場合には、同日からとする。
 
 〔拡充等〕
 (1)非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)
   について、次の措置を講ずる。
  ① 非課税口座に設けられる各年分の非課税管理勘定に受け入れることができる上場株式等の
   取得対価の額の限度額を、120万円(現行:100万円)に引き上げる。
 (注)上記①の改正は、平成28年分以後の非課税管理勘定について適用する。
  ② 非課税適用確認書の交付申請書の記載事項等の金融商品取引業者等の営業所の長から所轄
   税務署長への提供方法について、光ディスク等を提出する方法を廃止し、電子情報処理組織
   (e-Tax)を使用する方法に一本化する。
  ③ 金融商品取引業者等の営業所の長が所轄税務署長の承認を受けた場合に当該所轄税務署長
   以外の税務署長に提供することができる事項の範囲に、次に掲げる事項を加える。
   1) 居住者等から提出を受けた非課税口座異動届出書の記載事項
   2) 居住者等から提出を受けた非課税口座移管依頼書の記載事項
   3) 金融商品取引業者等に事業譲渡等があった場合の提供事項
  ④ なお、個人番号を用いることによる非課税口座の開設手続の簡素化については、平成29年
   分までは基準日の住所を証する住民票の写し等の提出により重複して非課税口座を開設する
   ことを防止する実務が確立していることを踏まえ、平成30年分以後の非課税口座の開設の際
   に実施できるよう、引き続き検討を行う。
 (2) 国家戦略特別区域法の改正を前提に、エンジェル税制(特定新規中小会社が発行した株式
   を取得した場合の課税の特例)の適用対象となる株式会社の範囲に、認定区域計画に定めら
   れている事業を実施する株式会社で次に掲げる要件を満たすことにつき国家戦略特別区域担
   当大臣の確認を受けたものを加える。
  ① 高度医療の提供に資する医療技術の研究開発等に関する事業若しくは付加価値の高い農林
   水産物の効率的な生産に必要な高度な技術の研究開発等に関する事業を営む会社又は国家戦
   略特別区域法による農地法等の特例の適用を受ける特例農業法人であって次に掲げる要件そ
   の他一定の要件を満たす中小企業者である株式会社
   イ 設立後1年未満かつ最初の事業年度に属している会社 次に掲げる要件の全てを満たす
    こと。
    1) 研究者又は新事業活動従事者の数が2人以上であり、かつ、その数の常勤の役員及び
     従業員の合計に対する割合が10%以上であること(以下「研究者数等要件」という。)。
    2) 事業の将来における成長発展に向けた事業計画を有すること(以下「事業計画要件」
     という。)。
   ロ 設立後1年未満かつ最初の事業年度が終了している会社 次に掲げる要件の全てを満た
    すこと。
    1) 資金計画に記載された特区事業費の額を前事業年度の営業費用の額で除して計算した
     割合が50%以上であること(以下「特区事業費要件」という。)。
    2) 研究者数等要件
    3) 前事業年度の売上高に占める営業利益の割合が2%を超えていないこと(以下「営業
     利益率要件」という。)。
   ハ 設立後1年以上2年未満の会社 次に掲げる要件の全てを満たすこと。
    1) 特区事業費要件
    2) 新事業活動従事者の数が2人以上であり、かつ、その数の常勤の役員及び従業員の合
     計に対する割合が10%以上であること(以下「新事業活動従事者数要件」という。)又
     は前事業年度の試験研究費等の収入金額に対する割合が3%を超えること(以下「試験
     研究費等要件」という。)。
    3) 営業利益率要件
   ニ 設立後2年以上5年未満の会社 次に掲げる要件の全てを満たすこと。
    1) 特区事業費要件
    2) 試験研究費等要件又は売上高成長率(前々事業年度の売上高に対する前事業年度の売
     上高の伸び率等をいう。以下同じ。)が25%を超えること。
    3) 営業利益率要件
  ② 雇用の創出に資する事業を営むものとして次に掲げる要件その他一定の要件を満たす小規
   模企業者である株式会社
   イ 設立後1年未満かつ最初の事業年度に属している会社 次に掲げる要件の全てを満たす
    こと。
    1) 研究者数等要件
    2) 設立時の従業員の数が5人以上(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業とし
     て営む会社にあっては1人以上)であること(以下「設立時従業員数要件」という。)。
    3) 事業計画要件
   ロ 設立後1年未満かつ最初の事業年度が終了している会社 次に掲げる要件の全てを満たす
    こと。
    1) 特区事業費要件
    2) 研究者数等要件
    3) 営業利益率要件
    4) 設立時従業員数要件
   ハ 設立後1年以上2年未満の会社 次に掲げる要件の全てを満たすこと。
    1) 特区事業費要件
    2) 新事業活動従事者数要件又は試験研究費等要件
    3) 営業利益率要件
    4) 設立時従業員数要件
    5) 投資契約の締結日における従業員の数が設立時の従業員の数以上であり、かつ、前事
     業年度末に比して2人以上(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む
     会社にあっては1人以上)増加していること(以下「従業員数増加要件」という。)。
   ニ 設立後2年以上3年未満の会社 次に掲げる要件の全てを満たすこと。
    1) 特区事業費要件
    2) 試験研究費等要件又は売上高成長率が25%を超えること。
    3) 営業利益率要件
    4) 設立時従業員数要件
    5) 従業員数増加要件
   (注1)上記の改正は、国家戦略特別区域法の一部改正法の施行の日から平成30年3月31日
      までの間に払込みにより取得をする株式について適用する。
   (注2)上記①及び②の「一定の要件」とは、次に掲げる要件をいう。
     a. 特定の株主グループの有する株式の総数が発行済株式の総数の6分の5を超える会
      社でないこと。
     b. 金融商品取引所に上場されている株式等の発行者である会社でないこと。
     c. 発行済株式の総数の2分の1を超える数の株式が一の大規模法人及び当該大規模法
      人と特殊の関係のある法人の所有に属している会社又は発行済株式の総数の3分の2
      以上が大規模法人及び当該大規模法人と特殊の関係のある法人の所有に属している会
      社でないこと。
     d. 払込みにより当該会社の株式の取得をする者と投資契約(当該投資契約に係る払込
      金を、事業実施計画に記載された事業の用に供する旨の記載があるものに限る。)を
      締結する会社であること。
     e. その会社の営む事業が公序良俗に反しておらず、かつ、風俗営業に該当しないこと。
 (3)特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例等について、次の措置を講ず
   る。
  ① 特定口座間の上場株式等の移管をする場合には、移管元の特定口座で管理されている上場
   株式等を移管先の特定口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所の長に保管の委託
   をする方法により行うことができることとする。
  ② 特定口座に受け入れることができる生命保険会社の相互会社から株式会社への組織変更に
   よりその社員に割り当てられた上場株式等で特別口座において管理されているものについて、
   次の措置を講ずる。
   1) 当該上場株式等の特定口座への受入れは、その組織変更による割当ての日から10年以内
    に行われるものに限ることとする。
   2) 当該上場株式等の範囲に、当該上場株式等の株式の分割、株式無償割当て又は取得条項
    付株式の取得事由の発生により取得した上場株式等(その組織変更による割当ての日から
    10年以内に受け入れる同一銘柄のものに限る。)を加える。
  ③ 出国口座から特定口座に移管することができる上場株式等の範囲に、当該出国口座が開設
   されている金融商品取引業者等と締結した累積投資契約に基づき取得した公社債投資信託の
   受益権でその公社債投資信託の収益分配金のみが当該受益権と同一銘柄の受益権の購入の対
   価に充てられるものを加える。
  ④ 平成28年1月1日から同年12月31日までの間の特定公社債等の特定口座への受入れに関す
   る経過措置について、国外で発行された公社債投資信託又は証券投資信託以外の投資信託の
   受益権で受入一般取得上場株式等に該当するものについては、受益証券基準価額帳に記載さ
   れる受益証券基準価額に類する価額により特定口座に受け入れることができることとする。
 (注)上記③及び④の改正は、平成28年1月1日以後に特定口座に受け入れる上場株式等につい
   て適用する。
 
 〔縮減等〕
 (1) 上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例等の対象となる上場株式等及び特定公社債につ
   いて、次の措置を講ずる。
  ① 上場株式等の範囲に、特定受益証券発行信託の受益権で公募のものを加える。
  ② 発行する社債が特定公社債となる金融商品取引業を行う法人の範囲から、第一種少額電子
   募集取扱業者を除外する。
 (注)上記の改正は、平成28年1月1日以後に行う上場株式等の譲渡について適用する。
 
 2.住宅・土地税制
 〔延長・拡充等〕
 (1) 次に掲げる住宅取得等に係る措置について適用期限(平成29年12月31日)を平成31年6月
   30日まで1年6月延長する。
  ① 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
  ② 特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特
   例
  ③ 既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除
  ④ 既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除
  ⑤ 認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除
  ⑥ 東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額
   に係る特例
 (2)大深度地下の公共的使用に関する特別措置法に基づく同法の大深度地下の使用の認可を受け
   た事業と一体的に施行される事業(当該認可を受けた事業に係る事業計画に定められたもの
   に限る。)により設置される施設又は工作物(当該事業計画に係る事業計画書に記載された
   ものに限る。)の所有を目的とした地下についての上下の範囲を定めた借地権の設定がされ
   た場合において、その設定の対価として支払を受ける金額が、その土地の価額の2分の1に
   相当する金額に、地表からその土地に係る当該大深度地下の深さまでの距離のうちに借地権
   の設定される最も浅い部分の深さから当該大深度地下の深さまでの距離の占める割合を乗じ
   て計算した金額の10分の5に相当する金額を超えるときは、その設定の対価に係る所得を譲
   渡所得として課税することとする。
  (注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に行う借地権の設定について適用する。
 (3) 適用の際に、確定申告書等に住民票の写しを添付することとされている次の特例について、
   税務署長が行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下
   「番号利用法」という。)の規定により氏名及び住所等を確認することができるときは、住
   民票の写しの添付を要しないこととする。
  ① 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
  ② 居住用財産の譲渡所得の特別控除
  ③ 特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例
  ④ 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
  ⑤ 特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特
   例
  ⑥ 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等
  ⑦ 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等
  ⑧ 既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除
  ⑨ 既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除
  ⑩ 認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除
  (注)上記の改正は、番号利用法附則第1条第4号に定める日の属する年分以後の所得税につ
    いて適用する。
 
 3.租税特別措置等
 〔拡充等〕
 (1) 「簡素な給付措置(臨時福祉給付金)」として給付される給付金について、予算措置が継
   続された場合には、引き続き所得税を課さないこととする。
 (2) 学校法人若しくは準学校法人又は学校等を設置する社会福祉法人(以下「学校法人等」と
   いう。)に寄附をした場合の所得税額の特別控除の適用対象となる学校法人等の年平均の判
   定基準寄附者数により判定する要件(いわゆるパブリック・サポート・テストの絶対値要件)
   について、学校法人等の設置する学校等の定員の合計数が5,000人に満たない場合には、年
   平均の判定基準寄附者数が100人以上であることとする要件(現行要件)を、その定員の合
   計数を5,000で除した数に100を乗じた数(最低10人)以上であることとするとともに、その
   判定基準寄附者に係る寄附金の額の年平均の金額が30万円以上であることとする要件を加え
   る。
 (注1)上記の「学校等」とは、学校、認定こども園、専修学校、各種学校、保育所、乳児院、
    母子生活支援施設、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、福祉型
    障害児入所施設及び医療型障害児入所施設並びに小規模保育事業、放課後児童健全育成事
    業、児童自立生活援助事業、小規模住居型児童養育事業及び障害児通所支援事業(児童発
    達支援、医療型児童発達支援及び放課後等デイサービスに限る。)の事業を行う施設をい
    う。
 (注2)上記の「定員」とは、収容定員、利用定員、入所定員、入居定員及び委託児童の定員を
    いう。
 (注3)上記の改正は、平成27年分以後の所得税について適用する。
 
 4.その他
 (1) 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の創設
  ① 特例の概要
    国外転出(国内に住所及び居所を有しないこととなることをいう。以下同じ。)をする居
   住者が、所得税法に規定する有価証券若しくは匿名組合契約の出資の持分(以下「有価証券
   等」という。)又は決済をしていないデリバティブ取引、信用取引若しくは発行日取引(以
   下「未決済デリバティブ取引等」という。)を有する場合には、当該国外転出の時に、次に
   掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額により当該有価証券等の譲渡又は当該未決
   済デリバティブ取引等の決済をしたものとみなして、事業所得の金額、譲渡所得の金額又は
   雑所得の金額を計算する。
   1) 当該国外転出の日の属する年分の確定申告書の提出時までに納税管理人の届出をした場
    合 当該国外転出の時における当該有価証券等の価額に相当する金額又は当該未決済デリ
    バティブ取引等の決済に係る利益の額若しくは損失の額
   2) 上記1)に掲げる場合以外の場合 当該国外転出の予定日の3月前の日における当該有価
    証券等の価額に相当する金額又は当該未決済デリバティブ取引等の決済に係る利益の額若
    しくは損失の額
  ② 特例の対象者
    本特例は、次の1)及び2)に掲げる要件を満たす居住者について、適用する。
   1) 上記①1)及び2)に定める金額の合計額が1億円以上である者
   2) 国外転出の日前10年以内に、国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年超であ
    る者
  (注)上記の「国内に住所又は居所を有していた期間」には、下記④の納税猶予を受けている
    期間を含み、出入国管理及び難民認定法別表第一の在留資格をもって在留していた期間を
    除く。
  ③ 国外転出後5年を経過する日までに帰国をした場合の取扱い
    本特例の適用を受けた者が、その国外転出の日から5年を経過する日までに帰国をした場
   合において、その者が当該国外転出の時において有していた有価証券等又は未決済デリバティ
   ブ取引等で当該国外転出の時以後引き続き有していたものについては、本特例による課税を
   取り消すことができる。
    ただし、当該帰国までの間に、当該有価証券等又は未決済デリバティブ取引等に係る所得
   の計算につきその計算の基礎となるべき事実の全部又は一部の隠蔽又は仮装があった場合に
   は、その隠蔽又は仮装があった事実に基づく当該所得については、この限りでない。
    この課税の取消しを行う場合には、帰国の日から4月を経過する日までに、更正の請求を
   しなければならない。
  ④ 納税猶予
   1) 国外転出をする居住者でその国外転出の時において有する有価証券等又は未決済デリバ
    ティブ取引等につき本特例の適用を受けたものが、当該国外転出の日の属する年分の確定
    申告書に納税猶予を受けようとする旨の記載をした場合には、当該国外転出の日の属する
    年分の所得税のうち本特例により当該有価証券等の譲渡又は未決済デリバティブ取引等の
    決済があったものとされた所得に係る部分については、当該国外転出の日から5年を経過
    する日(同日前に帰国をする場合には、同日とその者の帰国の日から4月を経過する日の
    いずれか早い日)まで、その納税を猶予する。
   2) この納税猶予は、その所得税に係る確定申告書の提出期限までに、納税猶予分の所得税
    額に相当する担保を供し、かつ、納税管理人の届出をした場合に適用する。
   3) 納税猶予の期限は、申請により国外転出の日から10年を経過する日までとすることがで
    きる。この場合における上記③による課税の取消しは、国外転出の日から10年を経過する
    日までに帰国をした場合に適用することができる。
   4) 納税猶予を受けている者は、納税猶予の期限までの各年の12月31日(基準日)における
    当該納税猶予に係る有価証券等及び未決済デリバティブ取引等の所有に関する届出書を、
    基準日の属する年の翌年3月15日までに、税務署長に提出しなければならない。当該届出
    書を提出期限までに提出しなかった場合には、その提出期限の翌日から4月を経過する日
    をもって、納税猶予の期限とする。
  (注)納税猶予の期限の到来により所得税を納付する場合には、当該納税猶予がされた期間に
    係る利子税を納付する義務が生じる。以下同じ。
  ⑤ 納税猶予の期限までに有価証券等の譲渡等があった場合
   1) 本特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、その納税猶予の期限までに、
    本特例の対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等をした
    場合には、その納税猶予に係る所得税のうち当該譲渡又は決済等があった有価証券等又は
    未決済デリバティブ取引等に係る部分については、その譲渡又は決済等があった日から4
    月を経過する日をもって納税猶予に係る期限とする。
   2) 本特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、その納税猶予の期限までに、
    本特例の対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等をした
    場合において、その譲渡に係る譲渡価額又は決済に係る利益の額が国外転出の時に課税が
    行われた額を下回るとき(決済に係る損失の額にあっては上回るとき)等は、その譲渡又
    は決済等があった日から4月を経過する日までに、更正の請求をすることにより、その国
    外転出の日の属する年分の所得税額の減額等をすることができる。
  ⑥ 納税猶予の期限が到来した場合の取扱い
    納税猶予の期限の到来に伴いその納税猶予に係る所得税の納付をする場合において、その
   期限が到来した日における有価証券等の価額又は未決済デリバティブ取引等の決済による利
   益の額若しくは損失の額が、本特例の対象となった金額を下回るとき(損失の額にあっては
   上回るとき)は、その到来の日から4月を経過する日までに、更正の請求をすることにより、
   その国外転出の日の属する年分の所得税額の減額等をすることができる。
  (注)この取扱いは、納税猶予の期限が到来する日前に自ら納税猶予に係る所得税の納付をす
    る場合には、適用しない。
  ⑦ 二重課税の調整
   1) 本特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、その納税猶予の期限までに本
    特例の対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等をし、そ
    の所得に対する外国所得税を納付する場合において、その外国所得税の額の計算上本特例
    により課された所得税について二重課税が調整されないときは、その外国所得税を納付す
    ることとなった日から4月を経過する日までに、更正の請求をすることにより、その者が
    国外転出の日の属する年において当該外国所得税(納税猶予に係る所得税のうち当該譲渡
    又は決済等があった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等に係る部分に相当する金額
    に限る。)を納付するものとみなして、外国税額控除の適用を受けることができる。
   (注)有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等による所得が国内源泉所
     得に該当する等の一定の場合は、上記1)の対象外とする。
   2) 居住者が、本特例に相当する外国の法令の規定により外国所得税を課された場合におい
    て、その対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等をした
    ときは、その者の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費又
    は取得費に算入する金額は、その外国の法令の規定により収入金額に算入された金額とす
    る。
  ⑧ 更正の期間制限の取扱い
   1) 本特例による所得税(その所得税に係る確定申告書の提出期限までに納税管理人の届出
    及び税務代理権限証書の提出がある場合として定める一定の場合を除く。)の更正の期間
    制限を7年(現行5年)とする。
   2) 上記③、⑤2)、⑥又は⑦1)による更正の請求があった場合の更正については、更正の請
    求の基因となった理由が生じた日から3年間とする期間制限の特例の対象とする。
  ⑨ 納税猶予の期限を延長した場合の相続税等の納税義務の取扱い
    上記④3)により納税猶予の期限を延長した者は、相続税又は贈与税の納税義務の判定に際
   しては、納税猶予がされた期間中は、相続若しくは遺贈又は贈与前5年以内のいずれかの時
   において国内に住所を有していた場合と同様の取扱いとする。
  ⑩ 贈与、相続又は遺贈により非居住者に有価証券等が移転する場合上記②1)及び2)に掲げる
   要件を満たす者の有する有価証券等又は未決済デリバティブ取引等が、贈与、相続又は遺贈
   により非居住者に移転した場合には、その贈与、相続又は遺贈の時に、その時における価額
   に相当する金額により、その有価証券等の譲渡又は未決済デリバティブ取引等の決済があっ
   たものとみなして、事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算する。
  ⑪ その他所要の措置を講ずる。
 (注1)この特例(上記⑦2)を除く。)は、平成27年7月1日以後に国外転出をする場合又は同
    日以後の贈与、相続若しくは遺贈について適用する。
 (注2)上記⑦2)の特例は、平成27年7月1日以後に国外転出に相当する事由があった場合等に
    ついて適用する。
 (2) 日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付等義務化
  ① 確定申告において、非居住者である親族に係る扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除又
   は障害者控除の適用を受ける居住者は、親族関係書類及び送金関係書類を確定申告書に添付
   し、又は確定申告書の提出の際提示しなければならないこととする。ただし、下記②又は③
   により提出し、又は提示したこれらの書類については、添付又は提示を要しないこととする。
  ② 給与等又は公的年金等の源泉徴収において、非居住者である親族に係る扶養控除、配偶者
   控除又は障害者控除(以下「扶養控除等」という。)の適用を受ける居住者は、親族関係書
   類を提出し、又は提示しなければならないこととする。
  ③ 給与等の年末調整において、非居住者である親族に係る扶養控除等の適用を受ける居住者
   は送金関係書類を提出し、又は提示しなければならないこととし、非居住者である配偶者に
   係る配偶者特別控除の適用を受ける居住者は、親族関係書類及び送金関係書類を提出し、又
   は提示しなければならないこととする。
  ④ その他所要の措置を講ずる。
 (注1)上記の「親族関係書類」とは、次の1)又は2)のいずれかの書類をいう。
   1) 戸籍の附票の写しその他国又は地方公共団体が発行した書類でその非居住者がその居住
    者の親族であることを証するもの及びその親族の旅券の写し
   2) 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類で、その非居住者がその居住者の親族
    であることを証するもの(その親族の氏名、住所及び生年月日の記載があるものに限る。)
 (注2)上記の「送金関係書類」とは、その年における次の1)又は2)の書類で、その非居住者で
    ある親族の生活費又は教育費に充てるためのその居住者からの支払が、必要の都度、行わ
    れたことを明らかにするものをいう。
   1) 金融機関が行う為替取引によりその居住者からその親族へ向けた支払が行われたことを
    明らかにする書類
   2) いわゆるクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその親族が商品等を購
    入したこと及びその商品等の購入代金に相当する額をその居住者から受領したことを明ら
    かにする書類
 (注3)親族関係書類又は送金関係書類が外国語により作成されている場合には、訳文を添付等
    しなければならない。
 (注4)上記の改正は、平成28年1月1日以後に支払われる給与等及び公的年金等並びに平成28
    年分以後の所得税について適用する。
 (3) 確定拠出年金法等の改正を前提に、次の措置を講ずる。
  ① 事業主が拠出する確定拠出年金法の小規模事業主掛金(仮称)について、現行の確定拠出
   年金の事業主掛金と同様に、従業員に対する給与所得に係る収入金額に含まれないものとす
   る。
  ② 個人型確定拠出年金制度の加入者に追加される企業年金加入者、公務員等共済加入者及び
   第三号被保険者について、現行の個人型確定拠出年金制度に係る税制上の措置を適用する。
    なお、個人型確定拠出年金制度の加入者に追加される者の拠出限度額については、次のと
   おりとする。
   1) 企業型確定拠出年金加入者(他の企業年金がない場合) 年額24万円
   2) 企業型確定拠出年金加入者(他の企業年金がある場合) 年額14.4万円
   3) 確定給付型年金のみ加入者及び公務員等共済加入者 年額14.4万円
   4) 第三号被保険者 年額27.6万円
  (注)上記1)及び2)の企業型確定拠出年金加入者については、その者が①マッチング拠出を行
    わないこと及び②個人型確定拠出年金制度の加入者になることができることについて、企
    業型確定拠出年金の規約に定めがある場合にのみ個人型確定拠出年金制度への加入を可能
    とする。この場合の当該企業型確定拠出年金制度の拠出限度額(他の企業年金がない場合
    :年額66万円、他の企業年金がある場合:年額33万円)は、他の企業年金がない場合は年
    額42万円、他の企業年金がある場合は年額18.6万円とする。
  ③ 確定拠出年金制度から確定給付企業年金制度に年金資産の移換がされた場合並びに合併等
   に伴い確定拠出年金制度及び確定給付企業年金制度と中小企業退職金共済制度間で年金資産
   等の移換がされた場合の移換後の各制度における給付等について、現行の税制上の措置を適
   用する。
  ④ その他所要の措置を講ずる。
 (4) 中小企業退職金共済法等の改正を前提に、事業主の申出による特定退職金共済制度から中
   小企業退職金共済制度への掛金等の移換、事業主が中小企業者でなくなったことによる退職
   金共済契約の解除に伴う中小企業退職金共済制度から確定拠出年金制度への解約手当金相当
   額の資産の移換並びに被共済者の特定業種退職金共済制度間又は特定業種退職金共済制度及
   び一般の中小企業退職金共済制度間の移動に伴う所要の措置を講ずるほか、移換又は移動後
   の各制度における給付等について、現行の税制上の措置を適用する。
 (5) 小規模企業共済法の改正を前提に、同法に基づき支給される次の共済金等については、引
   き続き退職所得控除及び公的年金等控除の対象とする。
  ① 個人の小規模企業者が、配偶者又は子に対する事業譲渡により廃業した場合に、当該事業
   譲渡以外の事由による廃業の場合と同様に支払われる共済金
  ② 65歳以上の会社等役員が、疾病等以外の事由により退任した場合に、疾病等の事由により
   退任した場合と同様に支払われる共済金
  ③ 共同経営者が独立開業した場合に、共済契約の掛金納付月数を通算して支払われる共済金
   等
 (6) 所得税法及び租税特別措置法等の規定による本人確認の方法について、次の措置を講ず
   る。
  ① 本人確認書類の提示に代えて、個人が電子情報処理組織を使用して、電子署名等に係る地
   方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律に規定する署名用電子証明書を送信す
   る方法によることができることとする。
  ② 本人確認書類の範囲に、官公署等から発行された書類で金融機関等に提示する日前6月以
   内に作成されたもの(有効期間等があるものにあっては、提示する日において有効なもの)
   を加える。
 (7) 生命保険契約等の一時金の支払調書等について、保険契約の契約者変更があった場合には、
   保険金等の支払時の契約者の払込保険料等を記載することとする。
  (注)上記の改正は、平成30年1月1日以後の契約者変更について適用する。
 (8) 国立研究開発法人日本医療研究開発機構法の施行に伴い、同法に基づき設立される国立研
   究開発法人日本医療研究開発機構を公共法人等(所得税法別表第一)とする。
 (9)戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正により新たに支給されることなる特別
   弔慰金について、次の措置を講ずる。
  ① 所得税を課さないこととする。
  ② 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
 (10)新たなワクチン追加後の予防接種法の健康被害救済給付について、所要の法令改正を前提
   に、引き続き次の措置を講ずる。
  ① 所得税を課さないこととする。
  ② 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
  ③ 障害年金を受けている者を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者とする。
 
 二 資産税
 
 1.直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置等の見直し
 (1) 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措
   置を講じた上、その適用期限を平成31年6月30日まで延長する。
  ① 非課税限度額を次のとおりとする。
   イ 住宅用家屋の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%であ
    る場合
住宅用家屋の取得等に係る
契約の締結期間 良質な
住宅用家屋 左記以外の
住宅用家屋
平成28年10月~平成29年9月    3,000万円    2,500万円
平成29年10月~平成30年9月    1,500万円    1,000万円
平成30年10月~平成31年6月    1,200万円     700万円

   ロ 上記イ以外の場合
住宅用家屋の取得等に係る
契約の締結期間 良質な
住宅用家屋 左記以外の
住宅用家屋
~平成27年12月    1,500万円    1,000万円
  平成28年1月~平成29年9月    1,200万円     700万円
  平成29年10月~平成30年9月    1,000万円     500万円
  平成30年10月~平成31年6月     800万円     300万円
  (注)上記の「良質な住宅用家屋」とは、省エネルギー対策等級4(平成27年4月以降は断熱
    等性能等級4)又は耐震等級2以上若しくは免震建築物に該当する住宅用家屋をいう。下
    記(3)において同じ。
  ② 上記①の良質な住宅用家屋の範囲に、一次エネルギー消費量等級4以上に該当する住宅用
   家屋及び高齢者等配慮対策等級3以上に該当する住宅用家屋を加える。
  ③ 適用対象となる増改築等の範囲に、一定の省エネ改修工事、バリアフリー改修工事及び給
   排水管又は雨水の浸入を防止する部分に係る工事を加える。
  (注)平成28年9月以前に契約を締結した住宅用家屋について上記①ロに掲げる非課税限度額
    の適用を受けた者であっても、上記①イに掲げる非課税限度額を適用できることとする。
 (2) 特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例につい
   て、適用対象となる増改築等の範囲に、一定の省エネ改修工事、バリアフリー改修工事及び
   給排水管又は雨水の浸入を防止する部分に係る工事を加えた上、その適用期限を平成31年6
   月30日まで延長する。
 (3) 東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課
   税措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を平成31年6月30日まで延長する。
  ① 非課税限度額を次のとおりとする。
   イ 住宅用家屋の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%であ
    る場合
住宅用家屋の取得等に係る
契約の締結期間 良質な
住宅用家屋 左記以外の
住宅用家屋
平成28年10月~平成29年9月    3,000万円    2,500万円
平成29年10月~平成31年6月    1,500万円    1,000万円

   ロ 上記イ以外の場合
住宅用家屋の取得等に係る
契約の締結期間 良質な
住宅用家屋 左記以外の
住宅用家屋
    ~平成31年6月    1,500万円    1,000万円

  ② 上記①の良質な住宅用家屋の範囲に、一次エネルギー消費量等級4以上に該当する住宅用
   家屋及び高齢者等配慮対策等級3以上に該当する住宅用家屋を加える。
  ③ 適用対象となる増改築等の範囲に、一定の省エネ改修工事、バリアフリー改修工事及び給
   排水管又は雨水の浸入を防止する部分に係る工事を加える。
  (注)平成28年9月以前に契約を締結した住宅用家屋について上記①ロに掲げる非課税限度額
    の適用を受けた者であっても、上記①イに掲げる非課税限度額を適用できることとする。
 (4) その他所要の措置を講ずる。
  (注)上記の改正は、平成27年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与
    税について適用する。
 
 2.結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設
 (1) 概要
    個人(20歳以上50歳未満の者に限る。以下「受贈者」という。)の結婚・子育て資金の支
   払に充てるためにその直系尊属(以下「贈与者」という。)が金銭等を拠出し、金融機関
   (信託会社(信託銀行を含む。)、銀行等及び金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を
   行う者に限る。)をいう。)に信託等をした場合には、信託受益権の価額又は拠出された金
   銭等の額のうち受贈者1人につき1,000万円(結婚に際して支出する費用については300万円
   を限度とする。)までの金額に相当する部分の価額については、平成27年4月1日から平成
   31年3月31日までの間に拠出されるものに限り、贈与税を課さないこととする。
  (注)上記の「結婚・子育て資金」とは、内閣総理大臣が定める次に掲げる費用に充てるため
    の金銭をいう。
  ① 結婚に際して支出する婚礼(結婚披露を含む。)に要する費用、住居に要する費用及び引
   越に要する費用のうち一定のもの
  ② 妊娠に要する費用、出産に要する費用、子の医療費及び子の保育料のうち一定のもの
 (2) 申告
    受贈者は、本特例の適用を受けようとする旨等を記載した非課税申告書を、金融機関を経
   由し受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
 (3) 払出しの確認等
    受贈者は、払い出した金銭を結婚・子育て資金の支払に充当したことを証する書類を金融
   機関に提出しなければならない。
    金融機関は、提出された書類により払い出された金銭が結婚・子育て資金の支払に充当さ
   れたことを確認し、その確認した金額を記録するとともに、その書類及び記録を結婚・子育
   て資金を管理するための契約(以下「結婚・子育て資金管理契約」という。)の終了の日の
   翌年3月15日後6年を経過する日まで保存しなければならない。
 (4) 結婚・子育て資金管理契約の終了
    次に掲げる事由に該当した場合には、結婚・子育て資金管理契約は終了する。
  ① 受贈者が50 歳に達した場合
  ② 受贈者が死亡した場合
  ③ 信託財産等の価額が零となった場合において終了の合意があったとき
 (5) 終了時の取扱い
  ① 調書の提出
    金融機関は、本特例の適用を受けて信託等がされた金銭等の合計金額(以下「非課税拠出
   額」という。)及び結婚・子育て資金管理契約の期間中に結婚・子育て資金として払い出し
   た金額(上記(3)により記録された金額とする。)の合計金額(結婚に際して支出する費用に
   ついては300万円を限度とする。以下「結婚・子育て資金支出額」という。)その他の事項を
   記載した調書を受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
  ② 残額の取扱い
    上記(4)①又は③に掲げる事由に該当したことにより結婚・子育て資金管理契約が終了した
   場合において非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額があるときは、これ
   らの事由に該当した日に当該残額の贈与があったものとして受贈者に贈与税を課税する。
    なお、上記(4)②に掲げる事由に該当したことにより結婚・子育て資金管理契約が終了した
   場合には、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額については、贈与税を
   課さない。
 (6) 期間中に贈与者が死亡した場合の取扱い
    信託等があった日から結婚・子育て資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した
   場合には、当該死亡の日における非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額
   については、受贈者が贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなして、当該贈与者
   の死亡に係る相続税の課税価格に加算する。この場合において、当該残額に対応する相続税
   額については相続税額の2割加算の対象としない。
    なお、当該残額は、結婚・子育て資金支出額とみなす。
 (7) その他所要の措置を講ずる。
 
 3.土地に係る固定資産税等の負担調整措置
 (1) 土地に係る固定資産税の負担調整措置
  ① 宅地等及び農地の負担調整措置については、平成27年度から平成29年度までの間、商業地
   等に係る条例減額制度及び税負担急増土地に係る条例減額制度を含め、現行の負担調整措置
   の仕組みを継続する。
  ② 据置年度において簡易な方法により価格の下落修正ができる特例措置を継続する。
  ③ その他所要の措置を講ずる。
 (2) 土地に係る都市計画税の負担調整措置
    固定資産税の改正に伴う所要の改正を行う。
 
 4.復興支援のための税制上の措置
 〔延長・拡充等〕
 (1) 東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
  措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を平成31年6月30日まで延長する。(再掲)
  ① 非課税限度額を次のとおりとする。
   イ 住宅用家屋の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%であ
    る場合
住宅用家屋の取得等に係る
契約の締結期間 良質な
住宅用家屋 左記以外の
住宅用家屋
平成28年10月~平成29年9月    3,000万円    2,500万円
平成29年10月~平成31年6月    1,500万円    1,000万円

   ロ 上記イ以外の場合
住宅用家屋の取得等に係る
契約の締結期間 良質な
住宅用家屋 左記以外の
住宅用家屋
~平成31年6月    1,500万円    1,000万円

  ② 上記①の良質な住宅用家屋の範囲に、一次エネルギー消費量等級4以上に該当する住宅用
   家屋及び高齢者等配慮対策等級3以上に該当する住宅用家屋を加える。
  ③ 適用対象となる増改築等の範囲に、一定の省エネ改修工事、バリアフリー改修工事及び給
   排水管又は雨水の浸入を防止する部分に係る工事を加える。
 
 5.租税特別措置等
 〔新設〕
 〈登録免許税〉
 (1) 構造改革特別区域法の改正を前提に、公社管理道路運営権者(仮称)が同法の改正の施行の
  日から平成29年3月31日までの間に受ける認定公社管理道路運営事業(仮称)に係る公共施設
  等運営権の設定登録に対する登録免許税の税率を、1,000分の0.5(本則:1,000分の1)に軽減
  する措置を講ずる。
 
 〔延長・拡充等〕
 〈相続税・贈与税〉
 (1) 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の見直し
  を行った上、その適用期限を平成31年3月31日まで延長する。
  ① 特例の対象となる教育資金の使途の範囲に、通学定期券代、留学渡航費等を加える。
  ② 金融機関への領収書等の提出について、領収書等に記載された支払金額が1万円以下で、
   かつ、その年中における合計支払金額が24万円に達するまでのものについては、当該領収書
   等に代えて支払先、支払金額等の明細を記載した書類を提出することができることとする。
  (注)上記②の改正は、平成28年1月1日以後に提出する書類について適用する。
 (2) 非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予制度について、次の見直しを行う。
  ① 経営贈与承継期間経過後に、経営承継受贈者が後継者へ特例受贈非上場株式等を贈与した
   場合において、その後継者が贈与税の納税猶予制度の適用を受けるときは、その適用を受け
   る特例受贈非上場株式等に係る猶予税額を免除する。
  ② 経営贈与承継期間内に、経営承継受贈者が後継者へ特例受贈非上場株式等を贈与した場合
   (身体障害等のやむを得ない理由により当該経営承継受贈者が認定贈与承継会社の代表者で
   なくなった場合に限る。)において、その後継者が贈与税の納税猶予制度の適用を受けると
   きは、その適用を受ける特例受贈非上場株式等に係る猶予税額を免除する(相続税の納税猶
   予制度についても同様とする。)。
  ③ 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の改正を前提に、認定承継会社等に係
   る認定事務が都道府県に移譲されることに伴う所要の措置を講ずる。
  ④ その他所要の措置を講ずる。
 〈登録免許税〉
 (3) 土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2
  年延長する。
 (4) 住宅用家屋の所有権の保存登記若しくは移転登記又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権
  の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
 (5) 利用権設定等促進事業により農用地区域内の農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に
  対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
 (6) 信用保証協会が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限
  を2年延長する。
 (7) 農業信用基金協会等が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適
  用期限を2年延長する。
 (8) 日本酒造組合中央会が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適
  用期限を2年延長する。
 (9) 認定民間都市再生事業計画(当該計画に係る認定が国家戦略特別区域法の規定により国土交
  通大臣の認定があったものとみなされるものである場合における当該計画を含む。(10)におい
  て同じ。)に基づき都市再生緊急整備地域内に特定民間都市再生事業の用に供する建築物を建
  築した場合の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、軽減税率を
  1,000分の3.5(現行:1,000分の3)に引き上げた上、その適用期限を2年延長する。
 (10)認定民間都市再生事業計画に基づき特定都市再生緊急整備地域内に特定民間都市再生事業の
  用に供する建築物を建築した場合の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の
  適用期限を2年延長する。
 (11)特定目的会社が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等の所有権の移転登記に
  対する登録免許税の税率の軽減措置について、適用対象となる不動産の範囲に倉庫及びその敷
  地を加えた上、その適用期限を2年延長する。
 (12)特例事業者が不動産特定共同事業契約により不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に
  対する登録免許税の税率の軽減措置について、適用対象となる不動産の範囲に倉庫及びその敷
  地を加えた上、その適用期限を2年延長する。
 
 〔廃止〕
 〈登録免許税〉
 (1)会社分割に伴う不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置は、適用
  期限の到来をもって廃止する。
 
 6.その他
 (1)国外転出をする場合の譲渡所得等の特例に係る納税猶予の期限を延長した者は、相続税又は
  贈与税の納税義務の判定に際しては、納税猶予がされた期間中は、相続若しくは遺贈又は贈与
  前5年以内のいずれかの時において国内に住所を有していた場合と同様の取扱いとする。(再
  掲)
 (2)小規模企業共済法の改正を前提に、小規模企業共済制度の受給権者に追加される者が支給を
  受ける一時金について、相続税法上のみなし相続財産(退職手当金等に含まれる給付)として
  相続税の課税対象とするとともに、法定相続人1人当たり500万円までの非課税制度の対象と
  する。
 (3)適用の際に、申告書に住民票の写し等を添付することとされている次の特例について、税務
  署長が行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下「番号
  利用法」という。)の規定により氏名及び住所等を確認することができるときは、住民票の写
  し等の添付を要しないこととする。
  ① 贈与税の配偶者控除
  ② 相続時精算課税制度の選択
  ③ 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
  ④ 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
  ⑤ 特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例
  ⑥ 東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課
   税措置
  (注)上記の改正は、番号利用法附則第1条第4号に定める日以後に相続若しくは遺贈又は贈
    与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。
 (4)調書について、次の措置を講ずる。
  ① 保険会社等は、生命保険契約等について死亡による契約者変更があった場合には、死亡に
   よる契約者変更情報及び解約返戻金相当額等を記載した調書を、税務署長に提出しなければ
   ならないこととする。
  ② 生命保険金等の支払調書について、保険契約の契約者変更があった場合には、保険金等の
   支払時の契約者の払込保険料等を記載することとする。
  (注)上記の改正は、平成30年1月1日以後の契約者変更について適用する。
 (5)介護保険法及び老人福祉法の改正後の老人居宅介護等事業及び老人デイサービス事業等につ
   いて、社会福祉法人が社会福祉事業の用に供するために取得する不動産に係る所有権の移転
   登記等に対する登録免許税の非課税措置(登録免許税法別表第三)を引き続き適用する。
 (6)生活困窮者自立支援法の認定生活困窮者就労訓練事業について、社会福祉法人が社会福祉事
  業の用に供するために取得する不動産に係る所有権の移転登記等に対する登録免許税の非課税
  措置(登録免許税法別表第三)を適用する。
 (7)国立研究開発法人日本医療研究開発機構法の施行に伴い、同法に基づき設立される国立研究
  開発法人日本医療研究開発機構を非課税法人(印紙税法別表第二)とする。
 (8)貿易保険法の改正により独立行政法人日本貿易保険が特殊会社化されることを前提に、次の
  措置を講ずる。
  ① 特殊会社が受ける設立に係る登記等及び増資の登記に対する登録免許税を免税とする。
 (9)戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正により新たに支給されることとなる特
  別弔慰金について、特別弔慰金に関する書類及び特別弔慰金国債を担保とする金銭の貸借に関
  する書類には、印紙税を課さないこととする。
 
 三 法人税
 
 1.成長志向に重点を置いた法人税改革
 (1)法人税の税率を23.9%(現行25.5%)に引き下げ、法人の平成27年4月1日以後に開始する
  事業年度について適用する。
 (注1)中小法人の軽減税率の特例(所得の金額のうち年800万円以下の部分に対する税率:19
    %→15%)の適用期限は、2年延長する。また、中小法人の軽減税率(19%)は、引き続
    き、中小法人課税全体の見直しの中で検討する。
 (注2)公益法人等の軽減税率の特例(所得の金額のうち年800万円以下の部分に対する税率:
    19%→15%等)の適用期限は、2年延長する。また、公益法人等の軽減税率(19%等)は、
    引き続き、公益法人等課税全体の見直しの中で検討する。
 (注3)協同組合等の軽減税率の特例(所得の金額のうち年800万円以下の部分に対する税率:
    19%→15%等)の適用期限は、2年延長する。また、協同組合等の軽減税率等(19%等)
    は、引き続き、協同組合等課税全体の見直しの中で検討する。
 (2)欠損金の繰越控除制度等について、次の見直しを行う。
  ① 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった事
   業年度の災害による損失金の繰越控除制度及び連結欠損金の繰越控除制度における控除限度
   額について、次のとおり、段階的に引き下げる。
   1) 平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する繰越控除をする事業年度又
    は連結事業年度について、その繰越控除前の所得の金額又は連結所得の金額の100分の65
    相当額(現行100分の80相当額)とする。
   2) 平成29年4月1日以後に開始する繰越控除をする事業年度又は連結事業年度について、
    その繰越控除前の所得の金額又は連結所得の金額の100分の50相当額とする。
  ② 上記①に伴い、次の措置を講ずる。
   1) 中小法人等については、現行の控除限度額(所得の金額又は連結所得の金額)を存置す
    る。
  (注)上記の「中小法人等」とは、次の法人(連結納税の場合には、連結親法人)をいう。
   (イ)普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億
     円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもの(相互会社等、資本金の額等が
     5億円以上の法人等(大法人)の100%子法人及び100%グループ内の複数の大法人に発
     行済株式等の全部を保有されている法人を除く。)
   (ロ)公益法人等
   (ハ)協同組合等
   (ニ)人格のない社団等
   2) 更生手続開始の決定があったこと、再生手続開始の決定があったこと等の事実が生じた
    法人(連結納税の場合には、連結親法人)については、その決定等の日から更生計画認可
    の決定、再生計画認可の決定等の日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事
    業年度又は各連結事業年度については、控除限度額を所得の金額又は連結所得の金額とす
    る。ただし、金融商品取引所への再上場等があった場合におけるその再上場された日等以
    後に終了する事業年度又は連結事業年度は対象外とする。
   3) 法人の設立(合併法人にあっては合併法人又は被合併法人のうちその設立が最も早いも
    のの設立等)の日から同日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度又
    は各連結事業年度については、控除限度額を所得の金額又は連結所得の金額とする。ただ
    し、金融商品取引所に上場された場合等におけるその上場された日等以後に終了する事業
    年度又は連結事業年度は対象外とする。
  (注)対象となる法人から、資本金の額等が5億円以上の法人等(大法人)の100%子法人及
    び100%グループ内の複数の大法人に発行済株式等の全部を保有されている法人を除く。
   4) 特定目的会社、投資法人、特定目的信託に係る受託法人及び特定投資信託に係る受託法
    人で、支払配当等の損金算入制度の適用対象となるものについては、現行の控除限度額
    (所得の金額)を存置する。
  (注1)上記の改正は、平成27年4月1日以後に開始する事業年度について適用する。
  (注2)上記2)の措置に伴い、平成23年12月改正における更生手続開始の決定があったこと等
     の事実が生じた場合に係る経過措置については、これに統合する形で廃止する。
  (注3)会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入制度については、現行
     どおりとする。
  ③ 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年
   度の災害による損失金の繰越期間及び連結欠損金の繰越期間を10年(現行9年)に延長する。
   これに伴い、次の措置を講ずる。
   1) 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった
    事業年度の災害による損失金の繰越控除制度及び連結欠損金の繰越控除制度の適用に係る
    帳簿書類の保存要件について、その保存期間を10年(現行9年)に延長する。
   2) 法人税の欠損金額に係る更正の期間制限を10年(現行9年)に延長する。
   3) 法人税の欠損金額に係る更正の請求期間を10年(現行9年)に延長する。
  (注)上記の改正は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金額につ
    いて適用する。
 (3)受取配当等の益金不算入制度について、次の見直しを行う。
  ① 益金不算入の対象となる株式等の区分及びその配当等の益金不算入割合を次のとおりとす
   る。
  ② 公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の分配の額については、その全額を益金算入
   (現行 収益の分配の額の2分の1(4分の1)の金額の100分の50相当額を益金不算入)
   とする。ただし、特定株式投資信託の収益の分配の額については、その受益権を株式等と同
   様に扱い、上記①の非支配目的株式等として、その収益の分配の額の100分の20相当額を益
   金不算入とする。
  ③ 上記①のその他の株式等及び非支配目的株式等について、負債利子がある場合の控除計算
   (負債利子控除)の対象から除外する。
  ④ 上記①及び②に伴い、青色申告書を提出する保険会社が受ける非支配目的株式等に係る配
   当等の額については、その100分の40相当額(原則100分の20相当額)を益金不算入とする特
   例を創設する。
 (注1)上記の改正に伴い、関連法人株式等に係る負債利子控除額の計算の簡便法の基準年度を
    平成27年4月1日から平成29 年3月31日までの間に開始する事業年度とする。
 (注2)上記③の改正に伴い、損害保険会社の受取配当等の益金不算入等の特例(特別利子に係
    る負債利子控除の特例)を廃止する。
 (4)試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)について、次の見直しを行う(所得
  税についても同様とする。)。
  ① 控除税額の上限を当期の法人税額の30%(原則20%)に引き上げる措置を適用期限の到来
   をもって廃止するとともに、新たに以下の措置により控除税額の上限の総枠を当期の法人税
   額の30%とする。
  ② 特別試験研究費の額に係る税額控除制度について、次の見直しを行う。
   1) 税額控除率(現行12%)を次のとおり引き上げる。
   (イ)特別試験研究機関等又は大学等との共同研究及びこれらに対する委託研究 30%
   (ロ)上記以外のもの 20%
   2) 控除税額の上限を試験研究費の総額に係る税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制
    とは別枠で当期の法人税額の5%とする。
   3) 特別試験研究費の範囲について、次の見直しを行う。
   (イ)特別試験研究機関等のうち試験研究独立行政法人の範囲から国立研究開発法人以外の
     法人を除外する。
   (ロ)特定中小企業者に対する委託研究の対象となる委託先の範囲に公益法人等、地方公共
     団体の機関、地方独立行政法人等を加える。
   (ハ)特定中小企業者に対して支払う知的財産権の使用料を加える。
  ③ 試験研究費の総額に係る税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制の控除税額の上限を
   当期の法人税額の25%とする。
  (注)これらの制度の対象となる試験研究費の額には、特別試験研究費の額に係る税額控除制
    度の対象とした特別試験研究費の額を含まないこととする。
  ④ 繰越税額控除限度超過額及び繰越中小企業者等税額控除限度超過額に係る税額控除制度を
   廃止する。
 (5)雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度における雇用者給与等支給増加割合の要
  件について、次の法人の区分ごとに次の見直しを行う(所得税についても同様とする。)。
  ① 中小企業者等又は中小連結親法人及びその連結子法人平成28年4月1日以後に開始する適
   用年度について、3%以上(現行5%以上)とする。
  ② 上記①以外の法人
    平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する適用年度について、4%以上
   (現行5%以上)とする。
 
 2. 地方創生・国家戦略特区
 〔新設・拡充〕
 (1)地方拠点強化税制の創設
   地域再生法の改正を前提に、次の措置を講ずる(所得税についても同様とする。)。
  ① 地方拠点建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度の創設青色申告書を提出する
   法人で地域再生法の改正法の施行の日から平成30年3月31日までの間に地域再生法の地方拠
   点強化実施計画(仮称)について承認を受けたものが、その承認の日から2年以内に、その
   地方拠点強化実施計画に記載された建物及びその附属設備並びに構築物で、一定の規模以上
   のものの取得等をして、その事業の用に供した場合には、その取得価額の15%(その地方拠
   点強化実施計画がその法人の同法の特定施設(仮称)の同法の特定地域(仮称)から同法の
   大都市等(仮称)以外の地域への移転に関するものである場合には、25%)の特別償却とそ
   の取得価額の2%(その地方拠点強化実施計画がその法人の特定施設の特定地域から大都市
   等以外の地域への移転に関するものである場合には、4%)の税額控除との選択適用ができ
   ることとする。ただし、税額控除における控除税額は、当期の法人税額の20%を上限とする。
    なお、地域再生法の改正法の施行の日から平成29年3月31日までの間に地方拠点強化実施
   計画について承認を受けた法人が取得等をしたものについては、その特別償却とその取得価
   額の4%(その地方拠点強化実施計画がその法人の特定施設の特定地域から大都市等以外の
   地域への移転に関するものである場合には、7%)の税額控除との選択適用ができることと
   する。
  (注)上記の「一定の規模以上のもの」とは、一の建物及びその附属設備並びに構築物の取得
    価額の合計額が2,000万円以上(中小企業者にあっては、1,000万円以上)のものをいう。
  ② 雇用促進税制の拡充
   雇用者の数が増加した場合の税額控除制度(雇用促進税制)について、次の見直しを行う。
   1) 青色申告書を提出する法人で地域再生法の改正法の施行の日から平成30年3月31日まで
    の間に地方拠点強化実施計画について承認を受けたものが、その承認の日から2年以内の
    日を含む事業年度において、その地方拠点強化実施計画に従って移転又は新増設をした特
    定施設である事業所における増加雇用者数(法人全体の増加雇用者数を上限とする。)に
    次の場合の区分に応じ次の金額を乗じた金額の税額控除ができる措置を講ずる。
   (イ)現行の適用要件を満たす場合 50万円
   (ロ)現行の適用要件のうち雇用者増加割合が10%以上であることとの要件以外の要件を満
     たす場合 20万円
   (注)上記1)の措置の適用を受ける場合で上記1)(イ)に該当する場合には、現行の雇用促
     進税制の適用の基礎となる増加雇用者数から、この措置の適用の基礎となる増加雇用者
     数を控除する。
   2) 青色申告書を提出する法人で地域再生法の改正法の施行の日から平成30年3月31日まで
    の間に地方拠点強化実施計画(その法人の特定施設の特定地域から大都市等以外の地域へ
    の移転に関するものに限る。)について承認を受けたものが、その承認の日から2年以内
    の日を含む事業年度(以下「対象年度」という。)において上記1)の措置の適用を受ける
    場合には、対象年度のうちその適用を受ける事業年度以後の各事業年度(その特定施設で
    ある事業所における雇用者数又は法人全体の雇用者数が減少した事業年度以後の事業年度
    を除く。)において、対象年度のうち当該事業年度以前の各事業年度のその特定施設であ
    る事業所における増加雇用者数の合計数に30万円を乗じた金額の税額控除ができる措置を
    講ずる。
   (注)上記2)の措置は、事業主都合による離職者がある場合及び風俗営業等を行っている場
     合には、適用しない。
      ただし、上記1)及び2)による控除税額は、当期の法人税額の30%から現行の雇用促進
     税制による控除税額と上記①の税額控除制度による控除税額との合計額を控除した残額
     を上限とする。
 (2)国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却等又は法人税額の特別控除制度
  について、国家戦略特別区域法令の改正を前提に、次の見直しを行う。
  ① 特定中核事業に革新的な情報サービスを活用した農業の生産性向上に係る研究開発に関す
   る事業を加える。
  ② 特定中核事業以外の事業にインターナショナルスクールの整備に関する事業を加えた上、
   対象資産にその事業の用に供される貸付用の建物等を加える。
 (3)法人の一般の土地譲渡益に対する追加課税制度の適用除外措置(優良住宅地の造成等のため
  の譲渡等に係る適用除外)について、国家戦略特別区域法の改正を前提に、対象に、国家戦略
  特別区域内における認定区域計画に定められた同法の特定事業に係る再開発事業(施行区域の
  面積が500㎡以上であること等の一定の要件を満たすものに限る。)を行う民間事業者に対す
  る土地等の譲渡で当該譲渡に係る土地等が当該再開発事業の用に供されるものを加える。
 
 3.復興支援のための税制上の措置
 〔新設〕
 (1)福島再開投資等準備金制度の創設
   福島復興再生特別措置法の改正を前提に、帰還困難区域、居住制限区域又は避難指示解除準
  備区域として設定された区域内に平成23年3月11日において事業所を有していた法人で同法の
  避難解除等区域復興再生推進事業実施計画の認定を受けたものが、積立期間内の日を含む各事
  業年度において、その避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に記載された避難解除等区域
  復興再生推進事業の用に供する施設又は設備の新設、増設、更新又は修繕に要する支出に充て
  るため、その避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に記載された投資予定額の2分の1相
  当額以下の金額を福島再開投資等準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額は、損
  金算入できることとする。
   この準備金は、企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却制度の適用を受
  ける場合にはその適用を受ける減価償却資産の特別償却実施額に相当する金額を取り崩すほか、
  その積立期間の末日の翌日以後2年を経過する日を含む事業年度の翌事業年度から3年間でそ
  の2年を経過する日を含む事業年度終了の時における準備金残高の均等額を取り崩して、益金
  算入する(所得税についても同様とする。)。
 (注)上記の「積立期間」とは、避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に記載された避難解
   除等区域復興再生推進事業の用に供する施設又は設備の新設、増設、更新又は修繕に要する
   資金の積立期間をいう。
    上記に伴い、福島再開投資等準備金を積み立てている法人の積立期間の末日の翌日以後2
   年を経過する日が、その避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に記載された避難解除等
   区域復興再生推進事業の実施区域に係る企業立地促進計画の提出のあった日又は避難指示の
   全てが解除された日のいずれか遅い日以後5年を経過する日より後である場合には、その法
   人に係る企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度の適
   用期間の末日は、その積立期間の末日の翌日以後2年を経過する日とする。ただし、その5
   年を経過する日後に取得等をした特定機械装置等については、一定の規模以上のものに限り、
   適用できることとする(所得税についても同様とする。)。
 (注)上記の「一定の規模以上のもの」とは、一の設備を構成する特定機械装置等の取得価額の
   合計額が1,000万円を超えるもの又は機械装置で一の設備を構成するものの取得価額の合計
   額が100万円を超えるものをいう。
 
 4.円滑・適正な納税のための環境整備
 (1)繰延ヘッジ処理又は時価ヘッジ処理におけるオプション取引に係るヘッジの有効性判定につ
  いて、ヘッジ対象の資産等の評価差額とオプション取引に係る基礎商品の時価変動額とを比較
  する方法により行う場合には、税務署長に届出書を提出することによりその方法に変更するこ
  とができることとする。
 (2)連結納税の承認及び青色申告の承認について、次の見直しを行う。
  ① 連結納税の承認を受けている法人は、退職年金等積立金に対する法人税に係る申告書を青
   色申告書により提出できることとする。
  ② 法人が連結納税の承認を取り消された場合には、税務署長は必ずその法人の青色申告の承
   認も取り消すことを明確化する。
 (3)中小企業等の貸倒引当金の特例について、実質的に債権とみられない金額の計算について基
  準年度実績による簡便法を用いる場合の基準年度を平成27年4月1日から平成29年3月31日ま
  での間に開始した各事業年度に見直す(所得税についても同様とする。)。
 (4)特定目的会社に係る課税の特例について、平成22年4月1日前に設立された特定目的会社の
  うち平成27年3月31日までに業務開始届出をしていないものに対して、同年4月1日以後に終
  了する事業年度について、特定出資の国内募集割合が50%を超えていることとする要件を適用
  する。
 
 5.その他の租税特別措置等
 〔拡充等〕
 (1)試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)について、医薬品、医療機器等の品
  質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の改正を前提に、特別試験研究費のうち
  希少疾病用医薬品、希少疾病用医療機器及び希少疾病用再生医療等製品に関する試験研究費の
  希少疾病の範囲に難病の患者に対する医療等に関する法律の指定難病を加える(所得税につい
  ても同様とする。)。
 
 〔延長〕
 (1)公益法人等又は協同組合等の貸倒引当金の特例の適用期限を2年延長する。
 
 〔廃止・縮減等〕
 (1)エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(環境関連
  投資促進税制)のうち普通償却限度額との合計で取得価額まで特別償却ができる措置(即時償
  却)について、対象資産から太陽光発電設備を除外した上、その適用期限を1年延長する(所
  得税についても同様とする。)。
 (2)国内の設備投資額が増加した場合の機械等の特別償却又は税額控除制度は、適用期限の到来
  をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
 (3)特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度について、対
  象者から認定経営革新等支援機関等を除外し、対象設備の見直しを行った上、その適用期限を
  2年延長する(所得税についても同様とする。)。
 (4)医療用機器等の特別償却制度について、高度な医療の提供に資する機器又は先進的な機器に
  係る措置の対象資産の見直しを行い、医療の安全の確保に資する機器に係る措置を除外した上、
  その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
 (5)倉庫用建物等の割増償却制度について、対象となる倉庫用建物等の規模要件を引き上げた上、
  その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
 (6)特定の資産の買換えの場合等の課税の特例における長期所有の土地、建物等から国内にある
  土地、建物、機械装置等への買換えについて、次の見直しを行った上、その適用期限を2年3
  月延長する(所得税についても同様とする。)。
  ① 買換資産から機械装置及びコンテナ用の貨車を除外する。
  ② 改正後の地域再生法の大都市等(仮称)以外の地域から大都市等への買換えについて、課
   税の繰延べ割合を75%(同法の特定地域(仮称)への買換えの場合には、70%)(現行80%)
   に引き下げる。
 (7)技術研究組合の所得の計算の特例について、対象資産から土地の上に存する権利を除外した
  上、その適用期限を3年延長する。
 (8)特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例について、適用対象から独立行政法人農畜産
  業振興機構の業務に係る負担金を除外する(所得税についても同様とする。)。
 
 四 消費税
 1.消費税率(国・地方)の10%への引上げ時期の変更等
 <国税>
 (1)社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正
  する等の法律について、次の措置を講ずる。
  ① 消費税率(国・地方)の10%への引上げの施行日を平成29年4月1日とする。
  ② 消費税率(国・地方)の10%への引上げに係る適用税率の経過措置について、請負工事等
   に係る適用税率の経過措置の指定日を平成28年10月1日とする等の改正を行う。
  ③ 附則第18 条第3項を削除する。
  ④ その他所要の措置を講ずる。
 (2)消費税率(国・地方)の10%への引上げの施行日を平成29年4月1日とすることにあわせ、
  消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特
  別措置法の期限を平成30年9月30日とする等、関連する法令について、所要の措置を講ずる。
 <地方税>
 (1)社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付
  税法の一部を改正する法律について、次の措置を講ずる。
  ① 消費税率(国・地方)の10%への引上げ等の施行日を平成29年4月1日とする。
  ② 平成29年度における地方消費税額について、その19分の10(本則22分の10)を社会保障財
   源化分以外とし、その19分の9(本則22分の12)を社会保障財源化分とする経過措置を講ず
   る。
  ③ 附則第19条第3項を削除する。
  ④ その他所要の措置を講ずる。
 
 2.地方創生
 <国税>
 (1)外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)について、次の見直しを行う。
  ① 手続委託型輸出物品販売場制度の創設
   1) 輸出物品販売場について、その販売場における全ての免税販売手続を免税手続カウンター
    (下記ロの許可を受けた物的施設をいう。)を設置する事業者に代理させることを前提と
    した許可制度を創設する。
   2) 他の事業者が経営する販売場における免税販売手続の代理をしようとする事業者(課税
    事業者に限る。)は、その販売場が所在する次に掲げる場所に設けた物的施設において免
    税販売手続を行うことについて、納税地を所轄する税務署長の許可を受けるものとする。
   (イ)その販売場が商店街振興組合の組合員が経営する販売場であるときは、その組合の定
     款に定められた地区
   (ロ)その販売場が中小企業等協同組合法上の組合の組合員が経営する販売場であるときは、
     その組合員が形成する一の商店街
   (ハ)その販売場が大規模小売店舗内にあるときは、その大規模小売店舗の施設
   (ニ)その販売場が一棟の建物内にあるとき(上記(ハ)に該当する場合を除く。)は、そ
     の建物
   3) 免税手続カウンターにおいて、免税販売手続を代理する複数の販売場の販売金額を一般
    物品と消耗品の別に合計している場合には、免税販売の対象となる下限額をその合計額で
    それぞれ判断するものとする。
  ② 外航クルーズ船が寄港する港湾における輸出物品販売場に係る届出制度の創設
    外航クルーズ船が寄港する港湾の港湾施設内に場所及び期限を定めて臨時販売場を設置し
   ようとする事業者(既に輸出物品販売場の許可を受けている事業者に限る。)が、あらかじ
   め臨時販売場を設置する見込みである港湾施設につき納税地を所轄する税務署長の許可を受
   けている場合において、その設置日の前日までに輸出物品販売場を設置する旨の届出書を納
   税地を所轄する税務署長に提出したときは、その臨時販売場を輸出物品販売場とみなす制度
   を創設する。
  ③ その他所要の措置を講ずる。
 (注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に行われる輸出物品販売場等の許可申請又は同日
   以後に行われる課税資産の譲渡等について適用する。
 
 3.国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し
 <国税>
 (1)内外判定基準の見直し
  ① 対象取引
    電子書籍・音楽・広告の配信等の電気通信回線を介して行われる役務の提供を「電気通信
   役務の提供」(仮称。以下同じ。)と位置付け、内外判定基準を役務の提供に係る事務所等
   の所在地から、役務の提供を受ける者の住所地等に見直す。
  (注)電気通信役務の提供には、電気通信役務の提供以外の資産の譲渡等に付随して行われる
    役務の提供や、単に通信回線を利用させる役務の提供は、含まれない。
  ② その他
   1) 電気通信役務の提供には、著作物の利用の許諾に該当する取引が含まれることを明らか
    にする。
   2) 上記①の見直しに伴い、現行の内外判定に係る規定について所要の整備を行う。
 (2)課税方式の見直し(事業者向け電気通信役務の提供(仮称。以下同じ。)に対するリバース
  チャージ方式の導入)
   国外事業者が行う電気通信役務の提供のうち、当該役務の性質又は当該役務の提供に係る契
  約条件等により、当該役務の提供を受ける者が事業者であることが明らかなものを「事業者向
  け電気通信役務の提供」と位置付け、その取引に係る消費税の納税義務を役務の提供を受ける
  事業者に転換する(リバースチャージ方式の導入)。
 (注)上記の「国外事業者」とは、所得税法上の非居住者である個人事業者及び法人税法上の外
   国法人をいう。
  ① リバースチャージ方式の導入に係る課税対象、納税義務者の規定の見直し
   1) 消費税の課税対象である資産の譲渡等から事業者向け電気通信役務の提供を除くととも
    に、事業として他の者から受けた事業者向け電気通信役務の提供(以下「特定仕入れ」
    (仮称)という。)を課税対象とする。
   2) 納税義務の対象となる課税資産の譲渡等から事業者向け電気通信役務の提供を除くとと
    もに、国内において行った課税仕入れのうち特定仕入れに該当するもの(以下「特定課税
    仕入れ」(仮称)という。)を納税義務の対象とする。
  (注1)国外事業者が行う電気通信役務の提供のうち事業者向け電気通信役務の提供以外のも
     の(以下「消費者向け電気通信役務の提供」(仮称)という。)については、当該国外
     事業者が納税義務者となる。
  (注2)事業者向け電気通信役務の提供を受ける免税事業者については、納税義務は生じない。
  ② 事業者向け電気通信役務の提供を行う国外事業者の義務
    国内において事業者向け電気通信役務の提供を行う国外事業者は、当該役務の提供に際し、
   あらかじめ、当該役務の提供に係る特定課税仕入れを行う事業者が消費税の納税義務者とな
   る旨を表示しなければならない。
 (3)適正課税を確保するための経過的な措置
  ① 国外事業者から受けた電気通信役務の提供に係る仕入税額控除の制限当分の間、国外事業
   者から提供を受けた消費者向け電気通信役務の提供については、その課税仕入れに係る消費
   税につき、仕入税額控除制度の適用を認めない。ただし、下記②の登録国外事業者に該当す
   る者から受けた消費者向け電気通信役務の提供については、当該登録国外事業者の登録番号
   等が記載された請求書等の保存等を要件として、その課税仕入れに係る消費税につき仕入税
   額控除制度の適用を認める。
  ② 登録国外事業者制度の創設
   1) 登録国外事業者は、次に掲げる要件を満たす一定の国外事業者(事業者免税点制度の適
    用を受けない者に限る。)として、納税地を所轄する税務署長を経由して国税庁長官に申
    請書を提出し、国税庁長官の登録を受けた事業者とする。
   (イ)国内において行う電気通信役務の提供に係る事務所、事業所その他これらに準ずるも
     のの所在地が国内にあること又は消費税に関する税務代理人(国税通則法第74条の9第
     3項第2号に規定する税務代理人をいう。)があること。
    (注)国税通則法第117条第1項(納税管理人)の規定の適用を受ける事業者にあっては、
      納税管理人を指定している場合に限るものとする。
   (ロ)国税の滞納がないこと及び登録国外事業者の登録取消しから1年を経過していること。
   2) 国税庁長官は、登録国外事業者の氏名又は名称、住所若しくは居所又は本店若しくは主
    たる事務所の所在地及び登録番号等について、インターネットを通じて登録後速やかに公
    表しなければならないこととする。
   3) 登録国外事業者が、登録の取消しを求める届出書を納税地を所轄する税務署長を経由し
    て国税庁長官に提出した場合には、届出書の提出があった日の属する課税期間(当該届出
    書の提出が一定の日以後になされた場合には翌課税期間)の末日の翌日以後は、当該登録
    は失効するものとする。
   4) 登録を受けた日の属する課税期間の翌課税期間以後の課税期間については、上記3)によ
    る登録の取消しを求める届出書の提出が行われない限り、事業者免税点制度は適用しない。
   5) その他登録国外事業者制度に係る所要の措置を講ずる。
  (注)上記の登録国外事業者制度に係る登録申請については、平成27年7月1日以後にできる
    こととする。
 (4)所要の経過措置
  ① 事業者免税点制度に係る特例
    事業者の課税期間の基準期間の初日が平成27年10月1日前であるときは、当該基準期間の
   初日からこの制度の見直しが行われていたものとして事業者免税点制度の規定を適用する。
   ただし、当該基準期間の初日からこの制度の見直しが行われていたものとして課税売上高を
   計算することにつき困難な事情があるときは、平成27年4月1日から同年6月30日までの間
   においてこの制度の見直しが行われていたものとして計算した課税売上高に4を乗じて計算
   した金額によることを認める。
  ② 特定課税仕入れに関する経過措置
    特定課税仕入れがある課税期間の課税売上割合が95%以上である場合には、当分の間、当
   該課税期間において行った当該特定課税仕入れはなかったものとする。
 (5)その他
  ① 国外事業者を含む事業者免税点制度の適用上限については、資産の譲渡等を行う事業者に
   納税義務が課される課税売上高によって判断することとし、特定課税仕入れの支払対価の額
   については適用上限の計算に含まないこととする。
  ② 特定課税仕入れを行った者が単なる名義人であった場合に、実質的に当該仕入れを行った
   者に消費税法の規定を適用する旨の規定を設ける。
  ③ 消費税の課税標準について、リバースチャージ方式の導入に伴う所要の措置を講ずる。
  ④ 仕入控除税額の計算に関する規定について、
   1) 特定課税仕入れにつき課されるべき消費税額を仕入控除税額の計算の対象とする旨の改
    正を行う。
   2) 簡易課税制度の適用を受ける課税期間について特定課税仕入れにつき課されるべき消費
    税額がある場合には、現行規定によりみなし仕入率を乗じて計算した課税仕入れ等の税額
    と当該特定課税仕入れにつき課されるべき消費税額の合計額を課税仕入れ等の税額の合計
    額とする旨の改正を行う。
     ただし、当分の間、当該課税期間において行った当該特定課税仕入れはなかったものと
    する。
 (6)その他所要の措置を講ずる。
 (注)上記の改正は、(3)②を除き、平成27年10月1日以後に国内において事業者が行う資産
   の譲渡等及び課税仕入れ並びに保税地域から引き取られる課税貨物について適用する。
 <地方税>
 (1)国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税が見直されることに伴い、地方消費税につい
  て所要の措置を講ずる。
 (注)上記の改正は、平成27年10月1日から適用する。
 
 五 国際課税
 1.外国子会社配当益金不算入制度の見直し
 (1)内国法人が外国子会社(持株割合25%以上等の要件を満たす外国法人をいう。以下1におい
  て同じ。)から受ける配当等の額で、その配当等の額の全部又は一部が当該外国子会社の本店
  所在地国の法令において当該外国子会社の所得の金額の計算上損金の額に算入することとされ
  ている場合には、その受ける配当等の額を、本制度の適用対象から除外する。
 (2)内国法人が外国子会社から受ける配当等の額で、その配当等の額の一部が当該外国子会社の
  所得の金額の計算上損金の額に算入された場合には、その受ける配当等の額のうち、その損金
  の額に算入された部分の金額((3)において「損金算入額」という。)を、上記(1)により
  本制度の適用対象から除外する金額とすることができる。
 (3)上記(2)の適用を受けた事業年度後の各事業年度において、内国法人が外国子会社から受
  けた配当等の額につき損金算入額が増額された場合には、その増額された後の損金算入額を、
  本制度の適用対象から除外する。
 (4)上記(2)の適用については、確定申告書等に上記(2)の適用を受けようとする旨並びに上
  記(2)の適用に係る配当等の額及びその計算に関する明細を記載した書類を添付するととも
  に、一定の書類の保存を要することとする。
 (5)上記(1)から(3)までにより本制度の適用対象から除外する配当等の額に対して課される
  外国源泉税等の額を、外国税額控除の対象とする。
 (6)その他所要の措置を講ずる。
 (注1)上記の改正は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度において内国法人が外国子会
    社から受ける配当等の額について適用する。
 (注2)平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する各事業年度において内国法
    人が外国子会社から受ける配当等の額(平成28年4月1日において有する当該外国子会社
    の株式等に係るものに限る。)については、従前どおりの取扱いとする。
 
 2.非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度の整備
 (1)平成29年1月1日以後に銀行等の一定の金融機関(以下「報告金融機関」という。)との間
  でその国内にある営業所等を通じて預金又は貯金の受入れを内容とする契約の締結等の一定の
  取引(以下「特定取引」という。)を行う者は、その者(その者が一定の法人(以下「特定法
  人」という。)である場合における当該特定法人の支配者である個人を含む。)の氏名又は名
  称、住所、生年月日、居住地国(その者が居住者として租税を課される国又は地域をいう。以
  下同じ。)、居住地国が外国の場合にあっては当該居住地国における納税者番号、その者の居
  住地国が住所に係る国又は地域と異なる場合にはその異なる事情の詳細その他必要な事項を記
  載した届出書を、その特定取引を行う際、当該報告金融機関の営業所等の長に提出しなければ
  ならない。
 (注1)上記の「支配者」とは、法人の事業経営を実質的に支配できる関係にある一定の者をい
    う。
 (注2)届出書を提出した者は、その提出後に居住地国の異動があった場合には、報告金融機関
    に対し、異動後の居住地国その他必要な事項を記載した届出書を提出しなければならない。
 (注3)届出書の提出があった場合には、報告金融機関は当該届出書に記載されている事項につ
    き確認をしなければならない。
 (注4)届出書に記載すべき事項は、電磁的方法による提供も可能とする。
 (2)報告金融機関は、次に掲げる者の区分に応じそれぞれ次に定める方法により、その者(その
  者が特定法人である場合における当該特定法人の支配者である個人を含む。)の居住地国を特
  定しなければならない。
  ① 平成29年1月1日以後に特定取引を行う者 上記(1)により提出された届出書に記載され
   ている事項による方法
  ② 平成28年12月31日以前に特定取引を行った者で、同日において当該特定取引に係る契約を
   有するもの その保有する記録を検索する等の一定の方法
 (注1)報告金融機関は、上記②に定める方法による特定の後に上記②に掲げる者の居住地国に
    異動が生じたことを知った場合には、その者に提出を求めた届出書に記載されている事項
    による等の一定の方法により、その者の居住地国を特定しなければならない。
 (注2)上記②に掲げる者は、上記(1)と同様の事項を記載した届出書を提出することができ
    る。この場合には、報告金融機関は、その届出書に記載されている事項により、その者の
    居住地国を特定しなければならない。
 (注3)届出書を提出した者は、その提出後に居住地国の異動があった場合には、報告金融機関
    に対し、異動後の居住地国その他必要な事項を記載した届出書を提出しなければならない。
 (注4)届出書の提出があった場合には、報告金融機関は当該届出書に記載されている事項につ
    き確認をしなければならない。
 (注5)届出書に記載すべき事項は、電磁的方法による提供も可能とする。
 (3)報告金融機関は、その年の12月31日において、当該報告金融機関の国内にある営業所等に報
  告対象契約がある場合には、当該報告対象契約を有する者(その者が特定法人である場合にお
  ける当該特定法人の支配者である個人を含む。)の氏名又は名称、住所、生年月日、居住地国、
  居住地国における納税者番号、同日における当該報告対象契約に係る財産の価額、その年にお
  ける当該報告対象契約に係る財産の運用、保有又は譲渡による収入金額その他必要な事項(以
  下「報告事項」という。)を、その年の翌年4月30日までに、電子情報処理組織を使用して送
  付する方法又は光ディスク等に記録して提出する方法により、当該報告金融機関の本店所在地
  等の所轄税務署長に提供しなければならない。
 (注)上記の「報告対象契約」とは、特定取引に係る契約のうち、次のいずれかの者が有するも
   のをいう。
  ① 租税条約等の相手国等のうち一定の国又は地域(以下「報告対象国等」という。)を居住
   地国とする者(以下「報告対象者」という。)
  ② 報告対象国等以外の国又は地域を居住地国とする特定法人であって、当該特定法人の支配
   者である個人が報告対象者であるもの
 (4)報告金融機関は、特定取引を行った者(その者が特定法人である場合における当該特定法人
  の支配者である個人を含む。)の居住地国の特定のために採った措置その他必要な事項に関す
  る記録を作成し、保存しなければならない。
 (5)報告事項の提供に関する調査に係る質問検査権の規定を整備する。
 (6)届出書の不提出・虚偽記載又は報告事項の不提供・虚偽記載若しくは報告事項の提供に関す
  る調査に係る検査忌避等に対する罰則を設ける。
 (7)その他所要の措置を講ずる。
 (注)上記の改正は、平成29年1月1日から適用する。
 
 3.外国子会社合算税制等の見直し
   内国法人等の特定外国子会社等に係る所得の課税の特例(いわゆる外国子会社合算税制)等
  について、次の見直しを行う。
 (1)特定外国子会社等に該当することとされる著しく低い租税負担割合の基準(いわゆるトリガー
  税率)を20%未満(現行20%以下)に変更する。
 (2)外国子会社合算税制の適用除外基準について、次の見直しを行う。
  ① 事業基準の判定における被統括会社の範囲に、特定外国子会社等が発行済株式等の50%以
   上を有する等の要件を満たす内国法人を加える。
  ② 事業基準の判定における統括会社の要件のうち、二以上の被統括会社に対して統括業務を
   行っていることとする要件について、二以上の外国法人である被統括会社を含む複数の被統
   括会社に対して統括業務を行っていることに改める。
  ③ 事業基準の判定における事業持株会社の要件に、統括会社の有する外国法人である被統括
   会社の株式等の帳簿価額の合計額の当該統括会社の有する全ての被統括会社の株式等の帳簿
   価額の合計額に対する割合又は統括会社の外国法人である被統括会社に対して行う統括業務
   に係る対価の額の合計額の当該統括会社の全ての被統括会社に対して行う統括業務に係る対
   価の額の合計額に対する割合が50%を超えていることを加える。
 (注)非関連者基準の判定上、卸売業を主たる事業として営む統括会社が内国法人である被統括
   会社との間で行う取引については、関連者取引に該当するものとする。
 (3)適用除外基準の適用がある旨を記載した書面の添付がない確定申告書の提出があり、又はそ
  の適用がある旨を明らかにする資料等を保存していない場合においても、税務署長がその添付
  又は保存がなかったことにつきやむを得ない事情があると認めるときは、当該書面及び資料等
  の提出があった場合に限り、適用除外基準を適用することができることとする。
 (注)上記(1)から(3)までの改正は、特定外国子会社等の平成27年4月1日以後に開始する
   事業年度から適用する。
 (4)特定外国子会社等が子会社(持株割合25%以上等の要件を満たす法人をいう。以下(4)にお
  いて同じ。)から受ける損金算入配当等の額(当該子会社から受ける配当等の額で、その配当
  等の額の全部又は一部が当該子会社の本店所在地国の法令において当該子会社の所得の金額の
  計算上損金の額に算入することとされている場合におけるその受ける配当等の額をいう。(5)
  及び(6)において同じ。)は、当該特定外国子会社等の合算対象とされる金額の計算上控除
  しないこととする。
 (5)特定外国子会社等が他の特定外国子会社等(上記(4)の子会社に該当するものに限る。以
  下(5)において同じ。)から受ける損金算入配当等の額のうち、当該他の特定外国子会社等の
  合算対象とされた金額から充てられた部分の額は、当該特定外国子会社等の合算対象とされる
  金額の計算上控除する。
 (注)上記(4)及び(5)の改正は、特定外国子会社等の平成28年4月1日以後に開始する事業
   年度に係る合算対象とされる金額について適用する。
 (6)内国法人が特定外国子会社等(上記1(1)の外国子会社に該当するものに限る。以下(6)
  において同じ。)から受ける損金算入配当等の額のうち、当該内国法人の配当等を受ける日を
  含む事業年度及び当該事業年度開始の日前10年以内に開始した各事業年度において当該特定外
  国子会社等につき合算対象とされた金額の合計額に達するまでの金額は、当該内国法人の所得
  の金額の計算上益金の額に算入しないこととする。
 (注1)上記(6)の改正は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度において内国法人が特
    定外国子会社等から受ける配当等の額について適用する。
 (注2)平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する各事業年度において内国法
    人が特定外国子会社等から受ける配当等の額(平成28年4月1日において有する当該特定
    外国子会社等の株式等に係るものに限る。)については、従前どおりの取扱いとする。
 (7)特殊関係株主等である内国法人等に係る特定外国法人に係る所得の課税の特例について、上
  記(1)及び(3)から(6)までと同趣旨の改正を行う。
 (8)その他所要の措置を講ずる。
 
 4.国際課税原則の帰属主義への変更の円滑な実施
   平成26年度税制改正で措置された国際課税原則の帰属主義への変更(平成28年4月1日施行)
  が円滑に実施されるよう、次の措置を講ずる。
 (1)外国法人が得る履行期間が6月未満の売掛債権等に係る利子は、法人税法に規定する国内源
  泉所得である「国内資産の運用・保有所得」に該当しない旨を明確化する。
 (2)外国法人の恒久的施設と本店等との間で、恒久的施設に帰属しなくても課税対象となる国内
  不動産の譲渡所得や貸付対価等の国内源泉所得を生ずべき資産の当該恒久的施設による譲渡又
  は取得に相当する内部取引があった場合には、当該内部取引は、その資産の内部取引の直前の
  帳簿価額に相当する金額により行われたものとして、当該外国法人の恒久的施設帰属所得に係
  る所得の金額を計算することとする。
   この場合の当該外国法人の恒久的施設における内部取引に係る資産の取得価額は、当該内部
  取引の直前の帳簿価額に相当する金額とする。
 (注)非居住者の恒久的施設と事業場等との間の内部取引についても、上記(2)と同様の措置を
   講ずる。
 (3)外国銀行等の資本に係る負債の利子の損金算入制度による損金算入額は、確定申告書等に記
  載された金額を限度とする。
 (4)内国法人の外国税額控除における国外所得金額について、国外事業所等帰属所得とそれ以外
  の国外源泉所得に区分して計算方法を定めるとともに、国外事業所等帰属所得に係る所得の金
  額の計算について明確化のための所要の整備を行う。
   また、内国法人の本店等と国外事業所等との間の内部取引について、上記(2)と同様の措置
  を講ずる。
 (5)その他所要の措置を講ずる。
 (注)上記の改正は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税及び平成29年分以後
   の所得税について適用する。
 
 六 その他
 消費課税
 ○自動車重量税
 (1)いわゆる「自動車重量税のエコカー減税」について、自動車重量税を免除し、又は税率を75
  %若しくは50%軽減する検査自動車に係る燃費性能に関する乗用自動車の要件を、次のように
  見直すなどした上、その適用期限を2年延長する。
 
       (現 行)               (改正案)
   平成27年度燃費基準値より20%以上    平成32年度燃費基準値より20%以上
   燃費性能の良いもの           燃費性能の良いもの
           
   平成27年度燃費基準値より10%以上    平成32年度燃費基準値より10%以上
   燃費性能の良いもの           燃費性能の良いもの
  
   平成27年度燃費基準を満たすもの     平成32年度燃費基準を満たすもの
 
 (2)上記改正により、本措置の対象外となる平成27年度燃費基準を満たす検査自動車で平成29年
  4月30日までに新車に係る新規検査を受けるものについては、当該新規検査の際に納付すべき
  自動車重量税について本則税率を適用する経過措置を講ずる。
 
 納税環境整備
 1.財産明細書の見直し
 (1)提出基準の見直し
   現行の提出基準である「その年分の所得金額が2千万円超であること」に加え、「その年の
  12月31日において有する財産の価額の合計額が3億円以上であること、または、同日において
  有する国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の対象資産の価額の合計額が1億円以上である
  こと」を提出基準とする。
 (2)記載事項の見直し
   現行の記載事項である「財産の種類、数量及び価額」のほか、財産の所在、有価証券の銘柄
  等、国外財産調書の記載事項と同様の事項の記載を要することとする。
 (注)財産の評価については、原則として「時価」とするが、「見積価額」とすることもできる
   こととし、また、有価証券等については、取得価額の記載も要することとする。
 (3)過少申告加算税等の特例
   国外財産調書と同様、財産債務調書の提出の有無等により、所得税又は相続税に係る過少申
  告加算税等を加減算する特例措置を講ずる。
 (注)上記の改正は、平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について適用する。
 
 2.マイナンバーが付された預貯金情報の効率的な利用に係る措置
   行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号利用法)の
  改正に併せて国税通則法を改正し、銀行等に対し、個人番号及び法人番号(マイナンバー)に
  よって検索できる状態で預貯金情報を管理する義務を課すこととする。
 (注1)番号利用法の改正により、預金保険・貯金保険においてマイナンバーが利用できるよう
    になるとともに、社会保障給付関係法、預金保険・貯金保険関係法令の改正により、社会
    保障給付事務や預金保険・貯金保険事務において、マイナンバーが付された預貯金情報の
    提供を求めることができることとなる。
 (注2)上記の改正は、内閣官房が提出を予定している高度な情報通信技術の活用の進展に伴う
    個人情報の保護及び有用性の確保に資するための個人情報の保護に関する法律等の一部を
    改正する法律案(仮称)において一括して行われ、同法律案に規定する施行の日から適用
    される。
 (注3)地方税法においても、同趣旨の改正を行う。
 
 3.税務関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し
   国税関係書類に係るスキャナ保存制度について、対象書類の見直し、業務処理後に保存を行
  う場合の要件の見直し、電子署名要件の見直し、及び大きさ情報・カラー保存要件の見直しを
  行う。
 (注1)上記の改正は、平成27年9月30日以後に行う承認申請について適用する。
 (注2)地方税関係書類に係るスキャナ保存制度について、同様の見直しを行う。
 
 4.電子署名及び電子証明書の送信
   電子情報処理組織により申請等を行う際に送信する電子署名及びその電子署名に係る電子証
  明書について、個人が、当該申請等に係る開始届出等の際に行われた本人確認に基づき通知さ
  れた識別符号及び暗証符号を入力して申請等を行う場合には、その電子署名及び電子証明書の
  送信を要しないこととする。
 (注1)本人確認は、次のいずれかの方法により行うこととする。
  ① 携帯電話等を利用した音声通信認証による本人確認
  ② 電子署名及び電子証明書の送信による本人確認
  ③ 税務署への来署時における税務署職員による本人確認
 (注2)上記の改正は、平成29年1月4日以後に電子情報処理組織により申請等を行う場合につ
    いて適用する。
 
 5.調査手続の見直し
 (1)調査が終了した後において「新たに得られた情報」に照らし非違があると認めるときは再調
  査を行うことができる規定について、再調査の前提となる前回調査の範囲を「実地の調査」に
  限ることとし、前回調査が「実地の調査以外の調査」である場合には、「新たに得られた情報」
  がない場合であっても再調査を行うことができることとする。
 (注)上記の改正は、再調査の前提となる前回調査が平成27年4月1日以後に開始され、その前
   回調査後に行う再調査について適用する。
 (2)複数の税務代理人がある場合の調査の事前通知について、納税者本人が代表となる税務代理
  人を税務代理権限証書に記載して定めたときは、これらの税務代理人への事前通知は、その代
  表となる税務代理人に対してすれば足りることとする。
 (注)上記の改正は、平成27年7月1日以後に行う事前通知について適用する。
 
 6.期限後申告に係る無申告加算税の見直し
   期限後申告書が提出された場合において、期限内申告書を提出する意思があったと認められ
  るものにつき無申告加算税を課さないこととする制度について、適用対象となる期限後申告書
  の提出期限を、法定申告期限から1月以内(現行:2週間以内)に延長する。
 (注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用する。

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