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《税務質疑応答》得意先接待旅行における交際費の留意点

Q. 

当社は健康食品の製造を行っております。

当社の商品は、全国の代理店を通じて販売を行っておりますが、昨今の健康食品業界の競争激化により、一部の代理店が当社との代理店契約を解除し、他の健康食品製造会社と代理店契約を結ぼうとする動きを見せ始めています。

そこで、代理店との懇親を深めることを目的とし、今年末から全国の代理店を温泉旅行に招待し、あわせて商品の販売戦略会議を行うこととなりました。

具体的には、2泊3日の予定で代理店を招待し、1日目の温泉旅館到着後に販売戦略会議を行い、後の日程は、宴会や近隣の観光地へのバスツアーなどを企画しています。

上記の招待旅行の費用は、法人税法上どのように取り扱われるのでしょうか。

A.

ご相談の場合、販売戦略会議に直接要する費用以外の費用は、法人税法上の交際費等に該当するものと考えられます。

[解説]

1.法人税法上の交際費等から除かれる会議の費用とは

法人税法上、新商品の説明や販売技術の研究等の会議を開催した場合において、それらの会議に関連して、茶菓・弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用については、交際費等から除かれることとされています(ただし、その会議が会議としての実体を備えていると認められるときに限ります)。

2.会議開催地での宴会費用等は会議の費用なのか、交際費なのか

しかし、会議開催地で、会議とは別に宴会等を催す場合のその宴会等の費用は、上記1.の「会議に通常要する費用」には含まれません。

したがって、御社が会議終了後に行う宴会費用等は、代理店との懇親を深めるために、代理店を接待・供応等する費用であると考えられるため、法人税法上の交際費等に該当することとなります。

なお、1人当たり 5,000円以下の飲食費(社内飲食費を除く)については、その飲食等のあった年月日等を記載した書類を保存すること等の一定の要件の下で、法人税法上の交際費等の範囲から除外されることとされています。

しかし、旅行等の催事に際しての飲食等については、通常、それらの催事を実施することを主たる目的とする一連の行為の一つとして実施されるものですから、その飲食等は、主たる目的である催事と不可分かつ一体的なものとして、催事の一連の行為に吸収される行為であると考えられます。

よって、ご相談の場合には、販売戦略会議の会場借上費や茶菓費等、会議に直接要した費用以外の費用は、法人税法上の交際費等に該当し、1人当たり5,000円以下の飲食費の判定も行わないこととなります。

このように、法人税法上の交際費等の考え方は非常に複雑ですので、その取扱いについて疑問等が生じた場合には、ぜひ当事務所へご相談ください。

参考条文等:措法61の4、措通61の4(1)-16など

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