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《税務質疑応答》新型コロナウイルス感染症の影響により受給する雇用調整助成金と法人税について

Q. 
私は飲食店を運営する会社を経営しています。

当社は、このたびの新型コロナウイルス感染症の影響により休業を余儀なくされたため、従業員を全員休ませ、労働基準法にしたがって休業手当を支給しています。

この休業手当の支給について、厚生労働省の「雇用調整助成金」を受給するための手続きを現在進めていますが、この雇用調整助成金を受給した場合、その助成金額は法人税法上どのように取り扱われるのでしょうか。

A.
 ご相談の助成金については、法人税法上の益金に算入され、法人税の課税対象となります。

[解説]
1.雇用調整助成金の概要
雇用調整助成金とは、新型コロナウイルス感染症の影響を含めた経済上の理由等により事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用調整を行わざるを得ない事業主が、労使間の協定に基づいて一時的に休業(※1)等を行い、休業手当(※2)を支払って労働者の
雇用を維持した場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するものです。

※1 雇用調整助成金における「休業」とは、所定労働日に従業員を休ませることをいい、単に事業所が営業を休むことだけでは休業には該当しないとされています。

※2 休業手当とは、労働基準法上の休業手当をいいます。このため、休業期間中の休業手当の額が、労働基準法に定める平均賃金の60%を下回っていた場合は、雇用調整助成金は支給されません。

2.雇用調整助成金の、法人税法上の取扱い

 法人税法上、法人(会社)の各事業年度の所得の金額の計算上(法人税の計算上)、その事業年度の益金(収入)の額に算入すべき金額は、原則として、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で、資本等取引(※3)以外のものに係るその事業年度の収益の額とするものと定められています。

 今回のご相談の雇用調整助成金は上記の「資本等取引」には該当しないことから、その助成金額は法人税法上の益金の額に算入され、法人税の課税対象となります。
※3 資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引や法人が行う利益や剰余金の分配等をいいます。

[参考]
 法法22、厚生労働省「雇用調整助成金FAQ」など

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