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《税務質疑応答》アスファルト舗装のない駐車場と消費税

Q.

 私は不動産賃貸業を個人で営んでおり、複数の土地を駐車場として賃貸しています。

 その駐車場にはアスファルト舗装はしていませんが、利用者の利便を考えてロープ等で区画を区分し、水溜りができないように土や砂利を敷いています。また、料金徴収設備や建物、屋根などもなく、一般常識的に施設といわれるものは一切ないと思っています。

 土地にアスファルト舗装を施して賃貸する場合、消費税法上の非課税取引とはならないことは承知しておりますが、上記のような形態の駐車場賃貸でも消費税の課税の対象となるのでしょうか?

A.

 ご相談の駐車場の貸付けは、消費税法上、駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合に該当するものと考えられます。よって、消費税法上の非課税取引には該当せず、その収入は消費税の課税の対象となります。

[解説]

1.施設の利用に伴って土地が利用される場合の消費税
 消費税法では、土地の貸付けについては原則的に非課税取引とされています。しかし、その例外として、「駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合」は課税の対象となるものとされています。

 これは、土地の貸付けが消費としてとらえることになじまない性質のものであっても、「駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合」は、土地そのものというよりも施設として貸し付けるという意味合いのほうが強く、そのような土地の使用の態様については、消費としての性格が認められると解されているためです。

2.駐車場賃貸についての判断基準

 駐車場として土地を利用させた場合に、それが土地そのものの貸付けに該当するのか、施設の利用として土地が使用される場合に該当するのかの判断は、実務上非常に迷うところです。

 このため、消費税法基本通達ではその判断基準として、「事業者が駐車場として土地を利用させた場合において、その土地につき駐車場としての用途に応じる地面の整備又はフェンス、区画、建物の設置等をしていないときは、その土地の使用は、土地の貸付けに含まれる。」と定めています。

 上記の通達をさらに細かく読みますと、「駐車場として」土地を利用させる目的であるかどうかという前提のもとで「地面の整備や区画の設置等をしていないとき」には、その土地使用は消費税法上の土地の貸付に含まれる、と理解することができるかと思います。

3.まとめ
 さて、ご相談の駐車場賃貸は、①各賃借人に対して車両を駐車させるという目的で駐車場を貸し付け、②その駐車場には土や砂利を敷いてロープ等で区画を設けています。これらの事実から考えますと、ご相談の駐車場賃貸については、駐車場としての用途に応じる地面の整備や区画の設置等をしているものと考えられますので、「駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当し、消費税の課税の対象となるものと考えられます。

 消費税の課税の対象となるかどうかの判断は、そのルールが非常に複雑であることから非常に困難です。その判断を誤ってしまいますと、多額の消費税申告漏れを税務署から指摘される可能性がありますので、取引についての消費税の課税要否については顧問税理士にぜひご相談ください。

[根拠法令等]
消法6、消法別表第1一、消令8、消基通6-1-5

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