【件名】 「通常の地代の年額」の計算
【質問】 被相続人(父)は、その所有地(宅地)の一部を、父の弟が所有する事業用建物の敷地として貸し付けていた。
その土地の所在地は従前から借地権取引の慣行がある地域であるが、父は弟から借地権設定に際して権利金を貰わず、地代を貰ってはいたが、いわゆる相当の地代の半分程度であった。
父が死亡したので、相続税の申告のために相続財産の評価をしているところであるが、上記の貸宅地については、通常の貸宅地として評価するのではなく、「相当の地代に満たない地代を収受している貸宅地」として、その自用地としての評価額から、次の算式により計算した当該宅地に係る借地権の価額を控除した価額(地代調整貸宅地価額)によって評価すべきだといわれた。
(相当の地代に満たない地代を収受している貸宅地に係る借地権の価額の算式)
自用地としての価額×[借地権割合×〔1-{(実際に支払っている地代の年額-通常の地代の年額)/(相当の地代の年額 - 通常の地代の年額)}〕]
ところで、この算式中、「借地権割合」は路線価図で分かるし、「実際に支払っている地代の年額」も分かっている。「相当の地代の年額」も最近3年間の相続税評価額の平均額に6%をかけて計算すればよいことになる。
しかし、「通常の地代の年額」は難問で、どこでどのようにして調べれば分かるのか教えてもらいたい。
【回答】 「通常の地代の年額」とは、その地域において、権利金を支払って借地権の設定をした土地の賃貸借当事者間で授受される地代の平均的な額をいうのですが、それを調べるのは実際問題として困難です。
そこで、相続税の課税実務では、簡便法として、次の算式により求めた金額をもって「通常の地代の年額」とし、ご質問の借地権の価額の計算式を用いて差し支えないとする取扱いが広汎に行われています。
(参照)「相続税法基本通達逐条解説(大蔵財務協会発行)」中、「相続税法基本通達関係主要個別通達」(相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて)解説部分
(算式)
通常の地代の年額=「自用地価額×(1-借地権割合)」(過去3年間の平均額)×6%
【関連情報】 《法令等》 相続税法22条
財産評価基本通達25
相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて(個別通達)(昭60.6.5直資2-58、直評9)