小さな、自分だけの水族館(アクアリウム)がブームです。ゆらぎ効果の“水もの”で癒されたいと願う人が増えてきているのでしょうか。なかでも、数年前に話題となった「ニモ」(カクレクマノミ)の影響もあってか、最近急増しているのが海水魚の飼育です。
海水魚は、淡水の熱帯魚に比べ飼育の難易度が高いと言われています。厳密な水質・水温の管理や微妙な光量の調整など、キメ細やかな飼育法が求められるからです。
ところが最近、アクアリスト初心者にとっては願ったりの追い風が吹いてきました。照明やろ過器といった飼育器材の性能が飛躍的に向上したと共に中国製品の普及などで価格が下がったことです。中には2〜3年前の5割以上もダウンした製品もあるほど。この両面から、海水魚飼育のハードルがぐっと下がり、飼いやすい環境が整ってきたといえます。
海水魚の飼育には、ざっと次のような器材が最低限必要となります。
水槽、照明、ろ過フィルター、ヒーター&サーモスタット、バクテリア、底床材、水質調整剤、水温計、比重計、人工海水の素、ライブロックなど。
特に重要なのが「水づくり」と「明かり」。水道水に塩素中和剤を入れるだけでよかった淡水魚とちがい、海水魚の場合は、海水の素で人工的に海の水をつくらなければいけません。天然の海水を持ってきたほうがてっとり早いのでは、と思われますが、自然の海水には汚染されているものもあり肉眼では識別できないのでお薦めできません。
また、照明は海の生き物にとって太陽の役割を果たします。水槽内に昼(ON)と夜(OFF)を再現するための海水魚飼育の必須アイテムです。近年、LED(発光ダイオード)ライトのおかげで、小型でも色調や光量の調整がしやすくなりました。一日8時間〜10時間ONにし、残りの時間はOFFにしておけばいいのですが、自信のない方はタイマー利用を。
横幅30〜90cmの中で繰り広げられる色鮮やかな“海の生態”が、リビングのすぐ眼の前で眺めることができる「ミニ・アクアリウム」の世界。ベテランのアクアリストによると、海水魚飼育で失敗しないコツは、立ち上げ時の器材などをそろえる際に、ここまでは要らないだろう、と思われるものまで惜しまずに購入しておいたほうが後々、後悔しなくて済むとのことです。