Q.
当社は仕入先に対し前渡金を支払っていましたが、納品がないままで、その仕入先に再三前渡金の請求をしても返還してもらえず、当期の決算を迎えました。
この前渡金は、一括評価金銭債権として貸倒引当金の対象となりますか。
また翌期において、仕入先が民事再生法に規定する再生手続きの申立てを行った場合、翌期の決算において、この前渡金に対して、個別評価の貸倒引当金を計上することはできますか?
A.
貸倒引当金の計算の対象となる債権は、法法52②にあるとおり「売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権」であり、“これらに準ずる金銭債権”は、法基通11-2-16に例示が記載されています。
また、法基通11-2-18にあるように、本質問に挙げられる前渡金や手付金等、資産の取得の代価又は費用の支出に充てるものとして支出した金額は、売掛債権等に該当しないこととなります。
よって、本問の前段のケースによる前渡金は、一括評価金銭債権としての評価対象とはなりません。
ただし、後段の状況で本件前渡金の返還請求を行った場合、当該前渡金は返還請求権となります。
この請求権については、個別評価金銭債権として貸倒引当金の計算の対象となる債権に該当することになります。