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《税務質疑応答》仮想通貨雑所得とふるさと納税について

Q.

私は今年から、会社に勤務する時間以外の時間を活用して、仮想通貨取引を始めました。きっかけは、友人が昨年の仮想通貨相場の高騰により多額の所得を得たことです。

その友人からは、所得税の納税額を減少させるためには「ふるさと納税」が有効であると聞きましたが、実際のところはどうなのでしょうか。所得税法上、留意すべき点があればぜひ教えてください。

A.

ふるさと納税を行うと、原則的には一定額の所得税を減少させることになります。
ただし、ふるさと納税の謝礼として受け取った特産物等に関する経済的利益が、所得税法上の「一時所得」に該当し、別途の課税関係が生じる可能性がありますのでご注意ください。

[解説]

1. ふるさと納税を行った場合の効果

ふるさと納税を行った場合、その金額のうち自己負担額2,000円を除いた全額が所得税(復興特別所得税を含みます)及び個人住民税から控除(寄附金控除)されることとなります。
ただし、全額控除されるふるさと納税額には年間の上限があり、その上限を超えた金額については、全額控除の対象とはなりません。

寄附金控除を受けるためには、原則として、ふるさと納税を行った年の翌年の3月15日までに、住所地等の所轄の税務署へ確定申告を行う必要があります(※)。
なお、確定申告を行う際には、ふるさと納税をした自治体が発行する寄附の証明書・受領書や、専用振込用紙の払込控(受領書)が必要となります。

※確定申告をする必要のない給与所得者等がふるさと納税を行う場合には、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」により、確定申告を行わなくても寄附金控除を受けられる場合があります。

2. ふるさと納税返礼品と一時所得との関係

ふるさと納税を行うと、多くの場合、寄附先の地方自治体からその地方の特産品などの返礼品を受け取ることができます。
その返礼品受け取りについての所得税法上の取扱いは、①ふるさと納税の返礼品を受け取ったことによる経済的利益は、所得税法上の非課税所得とされるものには該当しないこと、②法律上、地方公共団体は法人とされていること、以上の理由から「一時所得」に該当することとされています。

なお、一時所得の金額は次のように計算します。

一時所得の金額=(一時所得の収入金額の合計額-その一時所得を得るために支出した金額の合計額(※))-50万円

※支出した金額には、ふるさと納税額は含まれません。

一時所得は、原則的にはその所得金額の1/2に相当する金額を給与所得などの他の所得の金額と合計して、最終的に納める所得税額を計算することとなります(総合課税)。

一時所得の計算については、上記の50万円の控除があるため、多額のふるさと納税を行わなければ、ただちに返礼品受け取りによる経済的利益が一時所得に該当する可能性は低いと考えられます。

ただし、いわゆる仮想通貨長者の方などが、所得税の納税額を減少させるため、一度に多額のふるさと納税を行った場合などは、要注意です。

このように、税金に関することは事前に多方面からの検討が必要となりますので、注意が必要となります。

参考条文等:所法9、22、34、36、所基達34-1(5)、地方自治法2    

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