Q.
私は今年秋に、個人でネット通販事業を始める予定です。その事業開始にあたり、印紙税について質問させてください。
販売代金の領収書については、顧客からの要望が特にない場合には、PDF化したものを電子メールで送付する予定ですが、この場合、PDF化した領収書には印紙税が課税されるのでしょうか。
また、私は消費税の免税事業者ですが、仮に印刷した領収書を顧客に送付するとした場合、消費税額を別途表示すれば、税抜金額で印紙税額を判定できるのでしょうか。
A.
1. ①PDF化した領収書を電子メールで顧客に送付する場合には、その送付した領収書には印紙税は課税されません。また、顧客が電子メールで送付された領収書を印刷した場合であっても、その印刷した領収書にも印紙税は課税されません。
2. ②消費税の免税事業者の場合、領収書に消費税額を別途表示した場合であっても、印紙税が課税されるかどうかの判定は税込み金額で行います。
[解説]
1.領収書と印紙税(原則)
金銭の受取書や領収書は、印紙税法上の課税文書に該当し、印紙税が課税されます。
ここでいう受取書とは、「領収証」や「レシート」などはもちろん、その受領事実を証明するために作成し、その支払者に交付するすべての証拠証書をいいます。
2.売上代金の領収書の印紙税額
非課税とされる領収書以外の領収書について納めるべき印紙税額は、その領収書に記載された額ごとに異なります。
3.PDF化した領収書の取扱い
PDF化した領収書を電子メールで顧客に送付する場合には、文書そのものが実際に交付されないという理由で、印紙税は課税対象外とされています。
また、電子メールを受信した顧客が印刷した領収書は、コピーした領収書には印紙税が課税されないという印紙税法上の考え方と同様に、印紙税は課税されないこととされています。
ただし、電子メールで領収書を送信した後に、改めて顧客に対して印刷した領収書を送付するなど、正本となる領収書を送付する場合には、その領収書は印紙税の課税対象となります。
4.消費税免税事業者と印紙税
消費税の課税事業者が領収書を作成する場合に、消費税額が区分記載されているときなど、その領収金額中の消費税額が明らかである場合には、その消費税額は印紙税が課税されるかどうかの判定となる記載金額には含めないこととされています。
一方、消費税の免税事業者については、消費税相当額を顧客から受け取っている場合であっても、本来はその取引に課されるべき消費税がないため、領収書などに消費税の金額を区分記載したとしても、これに相当する金額は記載金額に含めることになります。
つまり、消費税免税事業者の発行する領収書は、税込み金額で印紙税額を判定することになるのです。
印紙税の取り扱いを誤ると、税務調査で多額の追徴課税を求められる可能性がありますので、事前に最寄りの税務署もしくは当事務所へご相談ください。
[根拠法令等]
印法別表1の17、印基通別表1第17号文書の1、2、国税庁「消費税法の改正等に伴う印紙税の取扱いについて」「コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い」など