ここでは今年2月に発表された警察庁の資料(※)から、サイバー事案の発生件数や被害状況等をみていきます。
警察法によると、サイバー事案とは、「サイバーセキュリティが害されることその他情報技術を用いた不正な行為により生ずる個人の生命、身体及び財産並びに公共の安全と秩序を害し、又は害するおそれのある事案をいう」とあります。具体的には、サイバー攻撃や不正アクセス、不正送金事犯などがあります。
上記資料から、企業・団体等におけるランサムウェア被害として、都道府県警察から警察庁に報告のあった件数(暫定値)をまとめると表1のとおりです。
2022年は合計で230件でした。2021年が146件なので、57.5%の増加です。この結果について警察庁では、テレワークにも利用される機器等のぜい弱性を狙われたケースが大半を占めているとしています。
なお、ランサムウェア被害からの復旧には、数ヶ月の期間や1,000万円以上の費用が必要になったケースがあります。
次にインターネットバンキング関わる不正送金事犯の発生状況をまとめると、表2のとおりです。
発生件数・被害額とも年によってさまざまですが、多い年で発生件数が1,800件を、被害額が30億円を超えています。2022年は発生件数・被害額とも3年ぶりに増加しました。
警察庁では、これら被害の多くは、インターネットバンキングの利用に係るパスワード等がフィッシングにより窃取されたことによるものとみられるとしています。
サイバー攻撃とみられるアクセス件数は年々増加を続けています。他人事ではなく、自社でも起こりうることとして、対策を講じていくことが欠かせません。
(※)警察庁「令和4年の犯罪情勢について【暫定値】」
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