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企業存亡の分岐点 売掛金の効果的回収法とは?

Q1
 最近、売掛金の回収に手間取っており、このままでは、資金繰りがおぼつかなくなる可能性もでてきました。どうすれば効果的に回収ができるのでしょうか。 

A1
 売掛金の回収が手間取っている場合は、まず支払いが渋滞している原因、つまり相手方の経営の実態を早くつかむ必要があります。これなくして、不良債権の完全なる回収はありえません。『不良債権は焦付債権の一里塚』といわれています。ズルズル回収を延ばすと、やがて焦付債権へと変身する危険性があることはいうまでもありません。
 取引先の支払いが渋滞している原因を調べるためには、次の行動から始めてください。
 第1に、取引先担当者に事情をよく聴くこと。当然のことですが、不良債権が発生した当該取引先の営業担当者から、まずは事情を聴き出してください。
 第2に、その営業担当者から得た情報をもとに、取引先とよく話し合うこと。「なぜ支払いが遅れているのか、その原因を知りたい」という誠実な姿勢で、相手方の立場に立って話しあうことです。この話し合いはできるだけ早く行う必要があります。というのも、相手方の資金繰りがさらに悪化すると、経営者や経理担当者は資金繰りのために不在がちになったり、経営破綻寸前に追い込まれると、経営者が蒸発する可能性があるからです。

不良債権の回収は全社的に行う

 さて、取引先の支払いが渋滞する主たる背景として、次のものがあります。

(1)
回収難状態  

「不良品や返品が増えてきた」「主力商品に大手ライバル商品が現れた」「大口の不良債権を抱えた」「主たる取引先が倒産した」ことなどが理由で、支払いたくてもお金がない場合。

(2)
販売不振状態

景気の後退や(1)の背景も手伝って商品が売れず、売上が急減することで資金繰りが悪化する場合。

(3)
販売事故 

納品上の契約違反でトラブルが起きたり、販売・経理担当者の売掛金のつまみ食いなどの不正行為により、事実上不良債権が発生している外観を呈している場合。

 バブル経済の崩壊後、(1)と(2)が原因で倒産するいわゆる不況型倒産が増えており、自己破産するケースも急増しています。取引先が自己破産すると、事実上、売掛金の回収が絶望的になる可能性が高くなります。民事再生手続きを活用しても配当分が少なくなり、また、手続きの途中で破産宣告を受ける恐れもあります。これが原因で、債権者が連鎖倒産する危険性も小さくありません。
 そのような事態を避けるために、売掛金回収に手間取っている相手方に対しては、全社的かつ早期に完全回収を検討すべきです。

法務スペシャリストを養成する

  検討の結果、売掛金が焦げ付きそうなときには、

1.
売掛金残高を確認すること

2.
消滅時効を中断すること(そのためにはごく一部でも回収する)

3.
支払い猶予に応じ一部でも現金で回収すること(残部は社長個人の手形保証のついた手形に切り替えておくこと)

4.
手形の書き換えの申し出に応じるときは一部現金で回収すること(新手形には社長個人の手形保証をつける)

5.
売り控え・出荷停止を早期に実施すること

6.
契約を解除して商品を合法的に引き上げること

7.
こまめに集金にでかけること

  ――などを実行してください。
 
 これらの効果的な回収方法を確実に行うためには、経営者・経理担当者の細心の注意とスピーディな実行がポイントになりますが、企業内に予防法務に強い法務スペシャリストを 養成しておくことも有効な手段でしょう。

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