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【危機管理】 中小企業倒産防止共済制度とは?


 先日、親しかった同業者が取引先の倒産によって資金繰りが行き詰まり、連鎖倒産してしまいました。当社も心配です。連鎖倒産から自社を守る方法を教えてください。


 米国のサブプライムローン問題に端を発した世界同時不況が、日本の企業業績を急速に悪化させています。輸出型産業はもとより、内需型の小売業・サービス業にまで、その“波”は押し寄せてきています。政府は昨年秋以降、「経済対策」を相次いで打ち出していますが、平成20年の企業倒産(法的整理のみ)は対前年比15.7%増の1万2681件となり、今年3月まで10ヵ月連続で前年同月を上回っています。

 そうした状況のなか、中小企業の強い味方となる「公的制度」があることをご存じでしょうか。それは取引先倒産時に金融審査ではなく、倒産先との取引実績の確認だけで、倒産企業への売掛金の範囲内で資金を融資してくれる「中小企業倒産防止(経営セーフティー)共済制度」です。そこで、同制度の概要とメリットなどについて詳しく説明したいと思います。

 制度の概略とメリット
この制度は、国の中小企業施策の総合的実施機関である「独立行政法人中小企業基盤整備機構」(略称:中小機構)が法律に基づき運営しており、現在30万社が加入しています。
共済制度ですので、同制度に加入し、毎月の掛金を積み立てている(最高320万円まで)企業にのみ、取引先が倒産し、そこに売掛金債権がある場合に積立済掛金の10倍の範囲内かつ売掛金の額までの融資が行われる仕組みです。この融資は、売掛金があることの事実確認だけで実行されます。
さらに掛金全額が損金または必要経費となるため、節税効果もあり、同制度を解約した際は、納付済掛金全額が返戻される場合もあります(掛金を40ヵ月以上納付の場合)。
 加入資格・加入申込先
同制度の加入資格は1年以上事業を行っている中小企業者(個人事業者・会社等)です。
加入は所定の「契約申込書」に記入・押印して、中小機構に申し込むことが必要です。
その申込先は金融機関や各種の中小企業団体ですが、税理士事務所(以下「税理士」)経由の申し込みも可能なため、日頃から企業の実情を熟知している税理士に相談し、指導を受けるのが一番よいでしょう。

 というのも、加入の際、掛金(月5000円〜8万円)をいくらにしたらよいかとか、加入時に掛金を前納すべきか(前納掛金も必要経費・損金となるので加入年度の収益予想に基づく税金対策を検討)などを相談する場合、税理士が最適だからです。また、税理士なら加入後の「税務申告書」の作成、取引先倒産時の「貸付請求書類」の作成も行ってくれます。

 共済金貸付

 取引先倒産時には「共済金貸付」を利用することができます。これは無担保・無保証・無利子ですが、借入額の10分の1に相当する積立済掛金を制度に拠出することになります(半年据置を含む5年返済。実質金利は3.63%)。また、この共済金貸付とは別に、いつでも積立済掛金の範囲内で融資を受けることも可能です。

 現在、中小企業庁では加入資格や掛金の積立限度額(貸出枠)の増加を中心に制度の見直しを行っています。こうした最新情報を含め、連鎖倒産から会社を守るために、一度、同制度の利用について顧問税理士に相談してみるとよいと思います。

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