“山”がブームです。といっても本格的な登山というより、ハイキング感覚で1000m級の山を楽しむ中高年や若者、とりわけ山ビギナーの20〜30代女性が増えています。景気低迷で手頃で身近なアウトドアレジャーはないかと見回したら、そこに“山”があったということのようです。そんなライトな山ブームに引っ張られるように、山系ファッションアイテムの市場が活気づいています。
2009年のスポーツ用品市場は前年比マイナスなのに対し、アウトドア用品に限れば2010年も拡大基調の予想が。メーカーに共通するのは、“山”にとどまらず、その他のアウトドア、さらにはタウンユースとしても通用するカジュアルファッションとしての取り込みをも視野に入れている点。
最近の一番人気のアイテムは、「山スカ」。山歩き用のスカートです。これまでは、丈夫で汚れても気にならない実用最優先のパンツスタイルが主流でしたが、オシャレ着にもなるデザイン性とアウトドアに必要な機能性を併せ持ったスカートに人気が集まりました。
「マーモット」(デサント)からは、フロントファスナーを取り付けることでラップスカートとボックススカートのいいとこ取りの「山スカ」が今春発売されました。
他にも「山スカ」を中心に、各メーカーから、個性的な山のオシャレアイテムが競って発売されています。
同じくデサントの「ホールアース」は、いろいろなコーディネートが楽しめる「チェックワンピース」と「山スカ」を同時発売。速乾、防臭、UVカット機能が備わっていて、平地の旅行用にも適しています。同様に「ティムコ」からも、トレッキング用の「トランスウェットワンピース」が発売。6月には、「マーモット」と「タワーレコード」とのコラボ企画として、野外フェスティバル向けのポンチョ・レインスーツ・レインハットの3アイテムが同時発売されました。
フランス発のアウトドアブランド「エーグル」(ヤマトインターナショナル)は、ワコールとの共同企画でスポーツ用タイツ「CW-X」を開発・発売。左右の脚を別々な配色にしたりと、オシャレな遊びごころが楽しい商品です。また同ブランドからは、「Love Trek」をテーマにしたパーカ・山スカ・ハイソックスなど、女性向けのアウトドアアイテムが発売中。
山スタイルにもファッション性を求めたい、山でもオシャレを楽しみたいと願う“山ガール”“山女子”たちの女ごころ。そんな新しい“山系ファッション”—本格的に山に登る人にはちょっと物足りないところが、かえって彼女たちには魅力的に映るのかもしれません。