Q.
前期以前より使用していた減価償却資産について、当期よりその用途を変更しました。
これにより、用途変更前の耐用年数よりも変更後の耐用年数が長くなってしまいました。
この場合、当期の償却限度額はどのような計算になりますか。
A.
転用を行った場合、転用後の耐用年数にて償却限度額の計算を行います。
なお、期中において転用を実施した場合、原則として転用の前後に区分した上で償却限度額の計算を行いますが、簡便的な方法として、転用した事業年度開始の日から転用後の耐用年数により償却限度額を計算することも認められます(法基通7-4-2)。
但し、同一事業年度に転用した減価償却資産が複数ある場合には、その全部について、どちらかの方法に統一する必要があります。
また、定率法を採用している場合で、転用初年度における転用後の耐用年数による償却限度額が、転用前の耐用年数による償却限度額に満たないこととなるときには、転用前の耐用年数により償却限度額の計算を行うことが認められています(法基通7-4-2(注))。
<計算例>
・事業年度:4月1日~翌年3月31日(1年決算法人)
・転用日:7月1日(店舗用から事務所用への転用)
・転用資産:建物(金属造で骨格材の肉厚4ミリ超)
・取得価額:50,000,000円
・償却方法:定額法
・耐用年数と償却率:店舗用→34年(0.030)、事務所用→38年(0.027)
【原則的方法によった場合】
転用前の償却限度額(4月~6月の3ヶ月)
50,000,000円×0.030×3/12=375,000円
転用後の償却限度額(7月~翌3月の9ヶ月)
50,000,000円×0.027×9/12=1,012,500円
当期の償却額
375,000円+1,012,500円=1,387,500円
【簡便的方法(法基通7-4-2)によった場合】
当期の償却額
50,000,000円×0.027=1,350,000円