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《税務質疑応答》贈与税と譲渡所得税に関わる税務リスクについて

Q.
私はマンション1室を所有しています(購入したのは10年ほど前です)。

そのマンションを子に贈与することで私の相続財産を減少させ、子の相続税負担を軽減したいと考えています。

その贈与について、贈与者である私に関して、税務上留意すべき点はあるでしょうか?

 なお、贈与しようとしている土地に関する特記事項は、下記の通りです。
• マンションの購入時の価格は3,000万円、現在の帳簿価額(未償却残高)は2,200万円です。
• マンション購入についてのローンの残債は2,400万円で、全額を子に引き継がせるつもりです

A.
ご相談の贈与は「負担付贈与」に該当します。

この場合、ローン残債相当額の2,400万円でマンションをお子様に売却したことになります。

このため、ご相談の内容でお子様への贈与を実行されますと、ローン残債相当額2,400万円から帳簿価額2,200万円を控除した残額の200万円に対して、譲渡に対する所得税・復興特別所得税・住民税が課されることとなります。

[解説]
1.負担付贈与とは

 資産の贈与について、贈与を受ける条件として受贈者が贈与者の債務を引き受けることを「負担付贈与」といいます。

2.譲渡所得の「対価」に含まれるもの

 所得税法上の譲渡所得における「対価」には、金銭だけでなく、金銭以外の物又は権利その他経済的な利益も含まれることとされています。

 このため、贈与という名目ではあっても、その贈与に伴って贈与者が負っていた債務相当額が受贈者に引き継がれるような場合、贈与者は、受贈者に引き継がれた債務相当額の経済的利益を得たことと同じことになるのです。

 よって、ご相談の内容による贈与を実行された場合には、お子様に引き継がれるローン残債相当額2,400万円の収入がご相談者に発生したことになります。

 その収入額からマンションの帳簿価格(未償却残高)2,200万円を控除した残額が譲渡所得の金額となり、所得税が課税されることとなります。

 このように、資産を「贈与」する場合であっても「所得税」などが課税されることがあります。

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