Q.
亡き父の遺産分割協議が難航したため、未分割のまま相続税の申告書を提出し、納税を行いました。
未分割の財産の中には賃貸アパートがあり、遺産分割協議が調うまで法定相続分で賃貸収入を受け取り、昨年分はその金額で所得税の確定申告を行いました。今年に入り、ようやく遺産分割協議が調い、それ以降は遺産分割後の持分に応じて賃貸収入を受け取っています。
この分割が確定したことで、相続税の申告について更正の請求等手続きを行いますが、昨年分の所得税の確定申告についても、何等か是正等の手続きを行う必要はありますか?
A.
昨年分の所得税の確定申告について、是正等の手続きを行う必要はありません。
[解説]
未分割の相続財産(不動産)から生ずる収入は、遺産とは別個のものであって、法定相続人各人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものであるから、その帰属につき、事後の遺産分割の影響を受けることはない、と最高裁判決で示されています(最高裁平17.9.8判決)。
そのため、ご相談のケースでは、昨年分の所得税の確定申告について、分割が確定したことによる是正等の手続きを行う必要はありません。
[参考]
大阪国税局「個人課税関係 令和2年版 誤りやすい事例 所得税法」