Q.私は会社で経理を担当しています。
当社は内装工事業を営んでいますが、その工事に使用する材料について、このたび、主要取引先A社からの購入を開始し、また、売上代金と材料購入代金の一部については実際の支払いを省略(相殺)することとなりました。
その相殺の事実を証明するために当社が作成する領収書について、印紙税が課税される場合と課税されない場合があると聞いたのですが、その違いを教えてください。
A. ご相談の相殺領収書については、その領収書に相殺の事実が明記されていれば、その相殺部分の金額について印紙税は課税されません。
一方で、相殺の事実を証明するために作成する領収書であっても、その領収書に相殺によるものであることが明記されていない場合には、印紙税が課税されることとなります。
[解説]
1.印紙税法上の領収書の原則的な取扱い
印紙税法上、売上代金にかかる金銭又は有価証券の受取書(領収書)は、印紙税の課税物件表において、課税文書のうち「第17号文書」として定められており、その領収書の作成者は、その領収書の記載金額に応じた印紙税を納付(領収書に貼付)する義務があると定められています。
2.相殺領収書の取扱い
印紙税法上、売掛金等と買掛金等とを相殺した場合に、その相殺の事実を証明するために作成する領収書は、「領収書」と表示されているものであっても、現実には金銭や有価証券の受け渡しの事実がないことから、課税文書には該当しないこととして取り扱われています。
また、その領収書が、金銭を実際に受け取ったことと相殺をしたことの両方の事実を証明するものであるもの(一部相殺の領収書)である場合は、その領収書の記載事項により相殺部分の金額が明確にされていれば、その相殺部分の金額は、その領収書の記載金額から除かれる(実際に受け取った金額の部分のみを記載金額として、印紙税が課税される)こととされています。
反対に、その領収書が相殺の事実を証明するために作成されたものであったとしても、その領収書にその相殺の事実が明記されていない場合には、その領収書は上記1.の金銭又は有価証券の受取書(印紙税法上の第17号文書)に該当し、その記載金額にしたがって印紙税が課税されることとなりますので、ご注意ください。
[参考]
印法2、3、別表第一、印基通第17号文書の20など