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《国税庁公表》税務統計から見た法人企業の実態の調査結果について

国税庁は、このほど令和3年度分「会社標本調査」の調査結果を公表しました。
会社標本調査は、昭和26年分から始まり、以後毎年実施されており今回が第72回に当たります。
この調査は、我が国の法人企業について、資本金階級別や業種別にその実態を明らかにし、併せて租税収入の見積もり、税制改正及び税務行政の運営等の基礎資料とすることを目的として実施されているものです。
なお、昭和38年分の調査からは、調査結果に基づき「税務統計から見た法人企業の実態」として、法人企業の総数、資本金、営業収入金額等について、簡単な解説を加えて公表されていますので紹介します。
1.会社標本調査の対象等
(1) 調査対象法人
内国普通法人(休業及び清算中の法人並びに一般社団・財団法人(法法2九の二に規定する非営利型法人を除きます。)及び特殊な法人を除きます。)を調査対象としています。
(2) 調査対象事業年度
令和3年4月1日から令和4年3月31日までの間に終了した調査対象法人の各事業年度(この間に事業年度が2回以上終了した法人にあってはその全事業年度)について、令和4年7月31日までに申告のあった事績を対象として、令和4年8月末現在でとりまとめられています。
(3) 調査の方法
この調査は、標本調査であり、調査対象法人(母集団)から資本金階級別・業種別等に一定の方法で標本法人を抽出し、その標本法人の基礎デ-タを基に、母集団全体の計数を推計したものです。
2.調査結果の概要
(1) 法人数は9年連続増加(前年度比2.1%増加)、連結親法人数は0.7%微増
この調査結果によりますと、令和3年度分の法人数は286万4,386社で、前年度より2.1%増加しています。この増加傾向は平成25年度分から9年連続となっています。なお、全体の法人数のうち、連結親法人は1,836社で、前年度より0.7%の増加、連結子法人は1万5,868社で14.9%の増加となっています。
資本金階級別の構成比を見ますと、資本金1,000万円以下の階級が248万7,278社(86.8%)と最も多く、次いで資本金1,000万円超1億円以下の階級が35万6,459社(12.4%)で、資本金1億円以下の法人数が全体の99.2%を占めています。
また、業種別法人数の構成比を見ますと、サ-ビス業(30.1%)、建設業(16.0%)、不動産業(12.5%)の占める割合が大きくなっています。
なお、組織別法人数の構成比を見ますと、株式会社が全体の91.2%を占めています。
(2) 欠損法人割合は、前年度より微減し61.7%
全法人数(286万4,386社)から連結子法人の数(1万5,868社)を差し引いた284万8,518社のうち、利益計上法人が109万917社、欠損法人が175万7,601社で、欠損法人の割合は61.7%となっており、前年度より0.6%減少しています。
このうち、連結法人(1,836社)について見ると、利益計上法人が1,153社、欠損法人が683社で、欠損法人の割合は37.2%となっており、前年度より5.4%減少しています。
業種別(連結法人を除きます。)の欠損法人の割合を見ると、繊維工業(77.1%)、次いで、
出版印刷業(74.6%)、食品製造業(72.1%)の順となっています。他方、低い順に見ると、不動産業(54.9%)、金融保険業(57.3%)、建設業(57.8%)となっています。
なお、前年度の欠損法人の割合が最高(81.7%)だった料理飲食旅館業は(71.3%)と減少しています。
(3) 利益計上法人は、営業収入金額が前年度より16.4%増加し、所得金額も18.5%増加
令和3年度分の営業収入金額は1,478兆4,551億円で、前年度より9.5%増加しています。このうち、利益計上法人の営業収入金額は1,142兆7,539億円で前年度より16.4%増加し、所得金額は75兆5,808億円で、前年度に比べて18.5%の増加となっています。
なお、利益計上法人の営業収入金額に対する所得金額の割合(所得率)は、6.6%となっています。
利益計上法人について、業種別(連結法人を除きます。)の所得率を見ると、鉱業が18.3%と最も高く、次いで、不動産業(11.6%)、その他の製造業(11.5%)の順となっています。
他方、低い順に見ますと、卸売業(3.4%)、小売業(3.9%)、食品製造業(4.9%)となっています。
更に、利益計上法人の益金処分金額の総額は94兆678億円で、内訳を構成比で見ると、社内留保(44.4%)、支払配当(31.9%)、法人税額(15.9%)、その他の社外流出(7.8%)となっています。
(4) 繰越欠損金
繰越欠損金の当期控除額は10兆917億円で、翌期繰越額は73兆5,399億円となっています。
1事業年度当たり当期控除額は、全体では1,143万円で、これを業種別に見ると、鉱業(9,852万円)が最も高く、次いで、化学工業(3,742万円)、金融保険業(2,699万円)の順となっています。
1事業年度当たり翌期繰越額は、全体では4,238万円で、これを業種別に見ると、鉱業(2億1,984万円)が最も高く、次いで、金融保険業(1億1,473万円)、機械工業(1億599万円)の順になっています。
◎ 詳細につきましては、国税庁ホームページ>刊行物等>統計情報>国税庁>「会社標本調査結果(令和3年度分)」をご覧ください。
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