会計検査院は、令和5年11月7日、令和4年度決算検査報告において、個人事業者に支給された持続化給付金の申告状況等について公表しましたので、ご紹介します。
このことを受けて、国税庁では、持続化給付金を受給している個人事業者のうち、収入計上していないと見込まれる者に対して、調査により修正申告の勧奨等を行うことが予想されます。
1.持続化給付金の概要
中小企業庁は、令和2年度に、新型コロナウイルス感染症の拡大により特に大きな影響を受けているフリーランスを含む個人事業者及び法人に対して、事業の継続を支え、再起の糧とするためとして、事業全般に広く使える新型コロナウイルス感染症対策中小企業等持続化給付金(持続化給付金)を個人事業者100万円、法人200万円を上限として支給しました。
令和2年度の持続化給付金の支出件数は約424万件(支出済金額は計5兆5,417億円)、うち、個人事業者は約281万人と全体の2/3を占めています。
2.個人事業者を対象とした持続化給付金に係る課税の概要
令和2年中に持続化給付金を受給した個人事業者は、同年分の所得税の申告に当たり、事業所得に関連して受給した場合は事業所得、雑所得に関連して受給した場合は雑所得、給与所得に関連して受給した場合は一時所得にそれぞれの所得の金額の計算上収入金額とすることとされています。
(参考)国税庁「令和5年5月7日までの国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの税務上の取扱いに関するFAQ」4 新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係 〈所得税に関する取扱い〉問9-2
3.会計検査院の検査の状況
会計検査院では、統計的な手法を用いて無作為に抽出した個人事業者11,000人のうち、令和2年分所得税申告データが確認できた8,903人の所得税確定申告書の収入金額の状況をみたところ、収入金額が持続化給付金の受給額未満となっていて、持続化給付金が収入計上されていないと思料される者が428人(4.8%、持続化給付金受給額計3億8,418万円)見受けられました。
この状況は、持続化給付金を受給した約263万人の個人事業者についても同様の傾向にあると推定されます。
4.会計検査院の所見
(1) 国税庁において、引き続き納税者に対して適正な申告が行われるよう周知等すること
(2) 給付金等の収入に関して納税者に適正な申告を促すこと、給付金等の収入計上の有無を効果的に確認することについて、現行の申告審理等や照会手続きの中でより効果的な方策を検討すること
(3) 税務行政のデジタル・トランスフォーメーションにおける課税の効率化、高度化等に係る中長期的な取組の中で検討すること
◎ 詳細につきましては、会計検査院ホームページ>検査結果>最新の検査報告>「令和4年度決算検査報告の特徴的な案件」「Ⅰ 新型コロナウイルス感染症対策関係経費等に関するもの」「2 持続化給付金の申告状況等」をご覧ください。