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《税務質疑応答》インボイス制度/少額特例の適用判定基準


[相談]

 私は医療法人で経理を担当しています。
 当法人の年間収入は毎期1.6億円程度あります。そのうち、消費税の課税売上高は6,000万円程度、非課税売上高は1億円程度あります。
 そこでお聞きしたいのですが、当法人は消費税のインボイス制度上、いわゆる「少額特例」の適用を受けることはできるのでしょうか。教えてください。

[回答]

 ご相談の場合、少額特例の適用を受けることができるものと考えられます。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.消費税法上の仕入税額控除の規定の適用を受けるための要件(原則)

 消費税の納付税額は、原則として、課税期間中の課税売上げに係る消費税額から、その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額を控除して計算しますが、この「課税仕入れ等に係る消費税額を課税売上げに係る消費税額から控除すること」を、「仕入税額控除」といいます。

 上記の仕入税額控除の規定は、原則として、事業者がその課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等(インボイスや簡易インボイスなど)を保存しない場合には、その保存がない課税仕入れ等の税額については、適用しないと定められています。

2.少額特例(請求書等の保存を要しない課税仕入れに関する経過措置)とは

 上記1.の仕入税額控除の規定の適用を受けるための要件については、経過措置として、①基準期間における課税売上高が1億円以下である課税期間、又は、②その特定期間における課税売上高が5,000万円以下である課税期間のうち、事業者(消費税免税事業者を除きます)が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについては、その課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満である場合には、帳簿のみの保存で、仕入税額控除の規定の適用を受けられると定められています。

 この経過措置がいわゆる「少額特例」です。

 今回のご相談の場合、貴院の消費税の課税売上高は毎期6,000万円程度とのことですので、貴院の基準期間(前々事業年度)の課税売上高は1億円以下と考えられます。

 したがって、貴院が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについて、その課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満であるものについては、上記の少額特例の適用を受けることができるものと考えられます。

[参考]
消法2、9の2、30、平成28年改正消法附則53の2、平成30年改正消令附則24の2など

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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