[相談]
昨年末に私の母が亡くなったのですが、その母が生前に受給していた老齢基礎年金に関し、先日、日本年金機構から「未支給年金等の手続きについて」というハガキが届きました。
そのハガキの内容によれば、母が亡くなった際にまだ受け取っていない年金があるため、一定の親族がその年金(未支給年金)を受け取ることができるとのことでしたので、そのハガキに記載されていた未支給年金を受けることができる親族の順位にしたがって、子である私が母の未支給年金を請求し、受け取りました。
そこでお聞きしたいのですが、私が受け取った母の未支給年金は、私の所得税の課税対象になるのでしょうか。教えてください。
[回答]
今回のご相談の場合、ご相談者が受け取られた未支給年金は、ご相談者の所得税法上の一時所得に該当することとなります。詳細は下記解説をご参照ください。
[解説]
国民年金法では、年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した人に支給すべき年金給付でまだその人に支給しなかったものがあるときは、その人の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの人以外の3親等内の親族であって、その人の死亡の当時その人と生計を同じくしていた人は、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができると定められています。
また、上記の未支給の年金を受けるべき人の順位は、
- ①配偶者
- ②子
- ③父母
- ④孫
- ⑤祖父母
- ⑥兄弟姉妹
- ⑦①から⑥以外の3親等内の親族
の順序とすると定められています。
なお、年金給付を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から5年を経過したときは、時効によって消滅すると定められています。
所得税法上、死亡した人に係る給与等、公的年金等及び退職手当等で、その死亡後に支給期の到来するもののうち所得税を課税しないものとされるもの以外のものに係る所得は、その支払を受ける遺族の一時所得に該当するものとされています。
したがって、今回のご相談の場合、ご相談者が受け取られた未支給年金は、ご相談者の一時所得に該当することとなります。
[補足]
上記1.の国民年金法に基づく未支給年金請求権については、最高裁判決(平成7年11月7日)において、相続とは別の立場から一定の遺族に対して未支給の年金給付の支給を認めたものであり、死亡した受給権者が有していた年金給付に係る請求権が別途相続の対象となるものではないと判示され、その相続性が否定されています。したがって、未支給年金請求権は、死亡した年金の受給権者に係る相続税の課税対象にはなりません。
[参考]
所基通9-17、34-2、国民年金法19、102、国民年金法施行令4の3の2など
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