[相談]
当社は、中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)への加入を検討しています。
その制度の掛金についての法人税法上の取扱いが変更になると聞きましたので、その概要を教えてください。
[回答]
令和6年度税制改正により、令和6年10月1日以後に、中小企業倒産防止共済契約の解除があった後再加入した場合には、その解除の日から同日以後2年を経過する日までの間に支出する中小企業倒産防止共済掛金については、法人税法上の損金に算入できないこととされました。詳細は下記解説をご参照ください。
[解説]
法人税法上、法人が、各事業年度において、長期間にわたって使用され、又は運用される基金又は信託財産に係る負担金又は掛金(中小企業倒産防止共済の掛金など)を支出した場合には、その支出した金額は、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入すると定められています。
中小企業庁によれば、平成23年10月に中小企業倒産防止共済の掛金積立限度額が増額(320万円→800万円)されて以降、共済金貸付の発生は減少傾向にあるにも関わらず、加入が急増していると指摘されています。
また、中小企業倒産防止共済の解約手当金の支給率が100%となる加入後3年目・4年目に解約数が大きくなっており、近年その傾向が特に顕著になっていることや、直近では任意解約件数のうち約33%が3年目・4年目に解約する状況であり、さらに、解約してすぐに再加入する行動変容が発生していることから、加入・脱退件数の増加の一因になっているとも指摘されています。
上記の傾向は、上記1.の制度を利用した節税を目的とする加入とそれを指南する情報源(書籍、YouTubeなど)によるものと推定されていますが、中小企業庁は、このような傾向について、「脱退・再加入は、積立額の変動により貸付可能額も変動することとなり連鎖倒産への備えが不安定となるため、本来の制度利用に基づく行動ではない。」と指摘しています。
その結果、令和6年度税制改正により、上記1.の制度についての改正が実施されることとなりました。
令和6年度税制改正により、上記1.の規定は、法人の締結していた中小企業倒産防止共済の共済契約につき解除があった後、(再度)共済契約を締結したその法人がその解除の日から同日以後2年を経過する日までの間にその共済契約について支出する掛金については、適用しないと改められました(※)。
なお、この改正は、令和6年10月1日以後の共済契約の解除について適用されます。
(※)所得税についても同様の改正が行われています。
[参考]
措法66の11、改正措法66の11、財務省「令和6年度税制改正の大綱」、中小企業庁「中小企業倒産防止共済制度の不適切な利用への対応について(令和6年1月)」など
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