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《税務質疑応答》法人市民税における「寮等」とは


[相談]

 当社(株式会社)は、このたび、本店の所在するA市に隣接するB市内に、従業員Cが居住するための社宅を賃借することとなりました。
 そこでお聞きしたいのですが、上記の場合、当社にB市への法人市民税(均等割額)の納税義務は発生するのでしょうか。
 なお、B市には当社の上記社宅以外の支店・事務所等は一切存在しないことを申し添えます。

[回答]

 ご相談の場合、貴社にはB市への法人市民税(均等割額)の納税義務は発生しないものと考えられます。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.市町村民税の納税義務者等に関する規定の概要

 地方税法では、市町村民税は、次の①の者に対しては均等割額及び所得割額の合算額により、③の者に対しては均等割額及び法人税割額の合算額により、②及び④の者に対しては均等割額により、⑤の者に対しては法人税割額により課すると定められています。

①市町村内に住所を有する個人
②市町村内に事務所、事業所又は家屋敷を有する個人でその市町村内に住所を有しない者
③市町村内に事務所又は事業所を有する法人
④市町村内に寮、宿泊所、クラブその他これらに類する施設(以下、寮等)を有する法人でその市町村内に事務所又は事業所を有しないもの
⑤法人課税信託の引受けを行うことにより法人税を課される個人で市町村内に事務所又は事業所を有するもの
2.「寮等」とは

 総務省によれば、「寮等」とは、寮、宿泊所、クラブ、保養所、集会所その他これらに類するもので、法人が従業員の宿泊、慰安、娯楽等の便宜を図るために常時設けられている施設をいい、それが自己の所有に属するものであると否とを問わないものであることとされています。

 また、寮、宿泊所、クラブ等と呼ばれるものであっても、たとえば、鉄道従業員の乗継のための宿泊施設のようにその実質において事務所又は事業所に該当することとなるもの、又は、独身寮、社員住宅等のように特定の従業員の居住のための施設等は、もとよりこれに含まれないものであるとされています。

 したがって、今回のご相談の場合、B市内の社宅が特定の従業員(従業員C)の居住のためのものであることや、B市内に支店・事務所等が一切ないことを総合的に勘案しますと、貴社にはB市への法人市民税(均等割額)の納税義務は発生しないものと考えられます。

[参考]
地方税法294、総務省「地方税法の施行に関する取扱いについて(市町村税関係)」など

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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