やはり、少子・高齢社会や核家族化、ストレス社会などが背景にあるのでしょうか。
ペットを単なる“愛玩動物”と思って接する人より、“家族の一員”“子供のような存在”と考え、ペットに“やすらぎ”や“癒し”を求める人がここ数年、とくに増えているようです。
住宅メーカー各社もこうした状況に応えようと、飼い主とペットが共に快適に暮らすことのできる住まいの開発に力を入れ始めています。具体的には、ペットの三大問題である「キズ・汚れ・臭い」を解決するためのものが中心で、床材、壁材、天井材、室内ドア、換気システム、収納などに関する設計・仕様が基本となっています。
旭化成ホームズでは、キズや汚れが目立ちにくく補修もしやすい床材や、ネコの爪とぎにも負けない壁材などの基本アイテムを使用する他に、天井近くに板をしつらえてネコの散歩道を設けることや、ペットが自由に出入りできる小さなドアを数ヶ所に付けた建具の使用、ベランダで日なたぼっこ中に起こる落下事故に備えた「ペット転落防止フェンス」などを提案。同社は、「ペット研究会」という情報サイトを設けてユーザーとのコミュニケーションを図っています。
大建工業のイチ押しは、とくに犬の歩行時の滑りに配慮したフローリング、「ワンラブフロア」。老犬や小型犬の足腰への負担を軽減する特殊な塗装(マットコート塗装)を施した床材で、同時に爪キズがつきにくく、よだれや尿で変色することもないというスグレもの。大建では、「わんにゃんクラブ」というサイトで“ペットとヒトの理想の暮らし”を展開中。
ミサワが力を入れているのはリフォーム事業(ミサワホームイング)で、「ペット共生リフォーム」として住まいづくりの提案を行っています。同社のサイト、「犬と暮らす家」には多くの実例が紹介されており、ペットと暮らすヒントが散りばめられています。例えば、犬の抜け毛がキッチンへ入ってくるのを防ぐために犬の居場所(主にリビング)よりもキッチン&ダイニングの床の高さを一段上げることで、段差が“堤防”となり進入防止になる、とか。犬臭さ対策として最も効果のあるのは、空調やアロマより自然換気と通風で、それを実現するために欄間ドアを使い、さらに天井面に消臭効果のある内装材を用いるといったぐあい。
いま、2匹に1匹が7歳以上の高齢犬で、人間以上にペットの高齢化が進んでいます。温度変化の少ない室内で飼うことで、平均寿命(約15歳)が20年前の約2倍に伸びたといわれています。それに伴い、肥満、そして介護といった問題を抱えることになり、ますます「住」の分野でもペットたちの快適な“シニアライフ”への配慮が求められます。それはまさに、住宅市場の低迷が続くハウスメーカーにとっては新たな商機、ぜひ獲得したい顧客層になり得るはずです。