コンビニや外食チェーンにとって、国内市場の縮小・頭打ちがますます深刻となってきています。個人消費の低迷、少子化による中心顧客(20〜30代)の減少など、先行きの伸びが期待できないいま、頼みは海外の市場しかないと、新天地に活路を見いだそうと懸命です。
2008年に突如もたらされた“タスポ景気”により、コンビニ各社は軒並み過去最高益を記録しました。しかし、この好景気はほんのつかの間、かつ他力本願によるところ大で、実体の伴う成長には至りませんでした。
2009年のコンビニ業界の売上高は、前年比ほぼ横ばいの7兆円後半にとどまりました。そもそも好調のように見えたコンビニも、来店客数、客単価ともに年々減少傾向にあり、売上高も07年まで8年連続で下がり続けていたのです。これまでは、新規店を出店することでなんとか補填・維持してきましたが、市場的にもすでに飽和状態となりつつあるというのが現状です。
09年8月、業界3位の「ファミリーマート」は、日本生まれのコンビニとして初めて、海外店舗数が国内を上回りました(09年10月現在:国内7,601店、海外7,805店)。その大半を韓国と台湾で占め、他にタイ、中国、米国、ベトナムなどに出店。
業界5位、イオングループの「ミニストップ」は、韓国をはじめ、フィリピン、中国などに、計2,000店を目指しています。
業界トップの「セブン-イレブン・ジャパン」は、アジア、米国、北欧など計14カ国に約2万4,000店を展開中。
「ローソン」は、アジア、それも中国に集中的に出店して、もうじき300店に達成しようかという勢いです。
一方、外食チェーンにとっても、朝食から外食習慣のある中国13億人の胃袋は大きな魅力であることは言うまでもなく、日本の外食企業の約1割強が中国に進出しています。
「吉野家」の海外店舗は、中国、台湾、米国を合わせて現在400店弱。今後、東南アジア、豪州などへの海外戦略をプランニングしています。
03年に中国進出を果たした「サイゼリヤ」は、当初、苦戦を強いられましたが価格設定を変更することで立て直しに成功。中国、台湾、シンガポールなどに約50店舗を展開中です。
「デニーズ」のセブン&アイ・フードシステムズは、09年、北京のオフィス街にデニーズそっくりの中国1号店「オールデイズ」をオープン。
カレーチェーン「CoCo壱番屋」は、中国や台湾、韓国などに50店規模の海外展開を目指します。
たしかに、アジアではこれまでコンビニやファミレスといった業態が存在していなかった分、出店余地には恵まれていますが、その小売りスタイルなり食スタイルが現地の人々に受け入れられ、定着するまでには時間を要します。海外進出はしてみたものの、撤退に追い込まれたチェーンも少なくありません。
しかし、窮地に立たされた現状を打破するための海外進出は、同時に大きなビジネスチャンスでもあります。海の向こうでの躍進に注目しましょう。