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正しいリスケジューリングの進め方

Q1

 資金繰りに困窮し、金融機関にリスケを要請したいのですが、何から手を付ければいいのでしょうか。  (金型メーカー)

A1

 リスケジューリング(リスケ)とは、「(金融機関が)債務者からの要請を受けて、既存の返済計画を見直し、返済額の減額、据え置き期間の導入などによって、債務返済の繰り延べを行うこと」(広辞苑)です。

 しかし、勘違いしないで欲しいのは「再建の見込みがまったくない」「不払い、不動産の処分、会社倒産が目的の」会社はリスケを行う資格はありません。リスケはあくまで「まじめに経営を継続するため」のものなのです。

 では、さっそく手順を説明していきましょう。

 まず、現時点の5年分の借入返済表をつくります。そしてこの表をもとに、予想される利益では返済できない理由書をつくります。たとえば「月500万円、年6000万円の返済予定だが、利益と減価償却合わせても、年1000万円しか見込めない」という具合です。

 さらにこの理由書にもとづいて、「年1000万円の返済にしていただけませんか」と金融機関にお願いします。ちなみに、信用保証協会が絡む場合は、すべての借入先が同一条件でリスケに応じることが求められます。

 ここで肝に銘じて欲しいのは返済しないのが権利ではないということです。これこれしか返済できませんので、当面○ヵ月間当社の希望を聞き入れてくれませんかと心を込めてお願いしてください。「条件変更」をお願いした以上、再び信用保証協会からの保証は受けない、またお願いした金融機関からの借入はしないという覚悟を持ってください。当然、借りたものは1円も残さず返済するという強い意思が必要になります。

 このようなお願いをした後、金融機関からは経営改善に着手したことの説明を求められます。

 ここで、身を削ってギリギリの再建策を講じている、あるいは今後講じる意思があることを文書化しアピールします。たとえば3年くらいさかのぼった時点からの経営者報酬(役員報酬、会社からの受取家賃、家族へ支給の給料)の減額を書き出して提出することも必要でしょう。私財を投入した実績もなく、安易にリスケを要請しても実を結びません。自宅を他人に賃貸し、社長はそれより安いアパートに住むくらいの経営責任を示すべきです。また、様々な形の経費削減策、利益を出す努力も合わせてアピールしてください。たとえば生命保険料の中止、企業年金の中止、リース料のリスケ、社会保険・厚生年金の中止・停止、社員の給料カット(10%〜30%)などです。厳しい言い方かもしれませんが、これらに手をつけたくない会社は、リスケなど考えずに正常に返済してください。

 さて、そのようにしてリスケの承認を受けたとしても、それで終わりではありません。たとえば信用保証協会の保証付き借入の場合は、6ヵ月ずつ、最長2年間の返済猶予ですから、半年後には延期要請の説明書を提出します。ここで猶予6ヵ月間の営業成績やさらなる改善を重ねていることを説明します。そして今期、来期の業績予測を文書化し、提出します。「良くなり次第、約定返済に戻すことはお約束しますので、引き続き、現状維持をお願いします」という形で要請するのです。

 これら金融機関との折衝において、口頭で何度主張しようが何の役にも立ちません。金融機関の担当者は、会社の「言い訳書」を本店や信用保証協会宛に作成するので、文書で資料提供をすることが肝心なのです。

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