平成25年度税制改正のポイント-企業税制ー
≪企業関係≫
・雇用喚起の減税などで企業を支援
◎改正のポイント
国内の設備投資や個人所得の拡大を図り、消費需要の回復を通して経済成長を達成するため企業関連では減税中心の税制改正がなされます。
○中小企業の交際費を800万円まで全額損金算入できる
交際費等の損金不算入制度における中小法人の損金算入の特例が下記のとおり見直されます。
これにより、中小企業の支出交際費は年800万円までは法人税がかかりません。(図表1参照)
適用:平成25年4月1日から同26年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されます。
●定額控除限度額の引き上げ ●定額控除限度額までの損金不算入措置廃止
改正前600万円→改正後800万円 定額控除限度額までの金額の10%損金不算入→廃止
図表1 中小企業の交際費課税はこう変わる
<交際費を900万円使った中小企業A社の例>
改正前 損金算入額・・・・540万円 改正後 損金算入額・・・・800万円
損金不算入額・・・・360万円 損金不算入額・・・・100万円
○従業員数を増加させた場合の減税限度額を40万円に拡大
従業員数を増加させた場合、その増加人数に応じて法人税額から控除できる雇用促進税制について、その税額控除限度額が以下のように引き上げられるなどの措置が講じられます。(所得税も同様。地方税は中小企業者等について同様)
※給与を増加させた場合の減税制度との選択適用となります。
適用:平成25年4月1日から同26年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されます。
・増加雇用者数1人当たりの税額控除限度額
改正前 20万円 → 改正後 40万円
○給与を増加させた場合の減税制度(所得拡大促進税制)を創設
青色申告書を提出する法人が、国内従業員に給与等を支給する場合に、給与等の支給額を一定以上増加させた場合、その増加額の10%を税額控除できます。(所得税も同様。地方税は中小企業者等について同様)
(要件)
・給与等支給総額が基準事業年度※より5%以上増加していること。
※「基準事業年度」とは、平成25年4月1日以後開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の直前の事業年度をいいます。
・給与等支給総額及び平均給与等支給額が前事業年度を下回らないこと。
(減税額)
税額控除額=給与等支給増加額×10%
☆ただし、当期法人税額の20%(中小企業者等以外は10%)を限度とされます。
※前項?の雇用促進税制などとの選択適用となります。
適用:平成25年4月1日から同28年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されます。
図表2 所得拡大促進税制のイメージ:B社の例
<従業員の給与総額を200万円増やした場合>
・従業員数 5人→5人
・給与総額 2,500万円→2,700万円
・増加割合 200万円/2,500万円 = 8% ≧ 5%
・平均給与額 500万円<540万円
*以上により適用あり。
税額控除額 200万円×10%=20万円
○商業・サービス業等投資減税制度の創設(認定経営革新等支援機関の支援で税額控除等)青色申告書を提出する中小企業等で、認定経営革新等支援機関等から経営改善の指導等を受けて行う店舗改修等に伴う器具備品及び建物付属設備の取得等をして商業、サービス業用等とした場合に、特別償却又は税額控除ができます。(所得税も同様)
注)認定経営革新等支援機関とは、国(財務局長及び経済産業局長)が認定する中小企業の経営改善に関する指導及び助言を行う公的な支援機関。税理士や税理士法人、商工会議所、商工会などで支援機関に認定されているところがあります。
※税額控除対象法人は、資本金3,000万円以下の中小企業等に限ります。
適用:平成25年4月1日から同27年3月31日までの間に適用できます。
①か②の選択適用
①取得価額の30%の特別償却
②取得価格の7%の税額控除
※当期法人税額の20%が限度。
控除限度超過額は1年の繰越しが可能。
図表3 商業・サービス業等投資促進税制の仕組み
①相談 → アドバイスを行う機関
・認定経営革新等支援機関
中小商業・ ・商工会議所
サービス業、 ・商工会
農林水産業 ・都道府県中小企業団体中央会
・商店街復興組合連合会 など
②アドバイス←
↓
③アドバイスを踏まえた設備投資
税制措置
(特別償却または税額控除)
○設備投資促進税制の創設
青色申告書を提出する法人が、国内事業用生産等設備の投資額を前年度に比べて10%超増加させ、その投資額が当期の償却費を超える場合に、その生産等設備のうち機械装置について、下図のとおり特別償却または税額控除ができます。(所得税も同様。地方税は中小企業者等について同様)
適用:平成25年4月1日から同27年3月31日までの間に開始する事業年度において取得等した事業用生産等設備に適用されます。
①か②の選択適用
①取得価額の30%の特別償却
②取得価格の3%の税額控除
※当期法人税額の20%が限度。
○中小企業技術基盤強化税制の税額控除額引き上げ
中小企業者等が支出した試験研究費について12%の税額控除等を行う制度について、2年間の時限措置として、控除税額の上限を当期の法人税額の30%(現行20%)に引き上げられます。(所得税も同様。地方税は中小企業者等について同様)
適用:平成25年4月1日から同27年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されます。
改正前 改正後
当期の法人税額の20% → 当期の法人税額の30%
以上