《国税庁発表》平成25事務年度における法人税等の調査事績の概要
国税庁は、このほど「平成25事務年度 法人税等の調査事績の概要」を公表しましたので紹介
します。
平成25事務年度における法人税等の調査については、社会・経済情勢の変化を踏まえつつ、無
申告法人事案や海外取引法人事案、消費税還付申告法人事案に重点的に取り組むなど、波及効果
の高い事案について実施したとしています。
特に、企業等の事業、投資活動のグローバル化が進展する中で、海外取引を行っている法人の
中には、海外の取引先からの売上げを除外するなどの不正計算を行うものが見受けられることか
ら、このような海外取引法人等に対しては、租税条約に基づく情報交換制度の積極的な活用など
により深度ある調査に取り組み、海外取引等に係る非違があった件数が3,379件(前年対比102.1%)
で、海外取引に係る申告漏れ所得金額を1,783億円(前年対比72.7%)把握したとしています。
なお、詳細については「国税庁ホ-ムペ-ジ(平成25事務年度 法人税等の調査事績の概要)」
を参照してください。
Ⅰ 法人税・法人消費税の調査事績の概要
この調査事績の概要によりますと、法人税については、大口・悪質な不正計算が想定される
法人など調査必要度が高い法人9万1千件(前年対比97.2%)について実地調査を実施し、この
うち、法人税の非違があった法人は6万6千件(同96.8%)、その申告漏れ所得金額は7,515億円
(同75.2%)、追徴税額は1,591億円(同75.8%)となっています。
また、法人消費税については、法人税との同時調査等として8万7千件(前年対比98.1%)の
実地調査を実施し、このうち、非違があった法人は4万9千件(同98.3%)、その追徴税額は378
億円(同79.7%)となっています。
Ⅱ 無申告法人に対する取組
事業を行っているにもかかわらず申告をしていない法人を放置しておくことは、納税者の公
平感を著しく損なうものであることから、事業を行っていると見込まれる無申告法人約3千件
(前年対比72.1%)に対し調査が実施され、法人税34億円(同60.8%)、消費税35億円(同
79.5%)、合わせて69億円(同69.0%)が追徴課税されました。
この中には、稼働している実態を隠し、意図的に無申告であったものが約2百件あり、法人税
21億円(同88.0%)、消費税7億円(93.8%)が追徴課税されました。
Ⅲ 源泉所得税の調査事績
この調査事績の概要によりますと、11万7千件(前年度対比86.0%)の源泉徴収義務者につ
いて源泉所得税に関する調査を実施し、このうち、源泉所得税の非違があった源泉徴収義務者
は3万2千件(前年対比95.8%)で、その追徴税額は254億円(同89.0%)となっています。
(注)平成25年1月1日以後生ずる追徴税額から、復興特別所得税が含まれています。
Ⅳ 海外取引法人等に対する取組
この調査事績の概要によりますと、海外取引を行っている法人の中には、海外の取引先から
の売上げを除外するなどの不正計算を行うものが見受けられることから、このような海外取引
法人等に対しては、租税条約に基づく情報交換制度の積極的な活用などにより約1万2千件(前
年対比98.2%)について深度ある調査を実施し、このうち、海外取引等に係る非違があった件
数は約3千件(同102.1%)、申告漏れ所得金額は1,783億円(同72.7%)となっています。