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《税務質疑応答》新型コロナウイルス感染症の影響により受給する雇用調整助成金と法人税について

代表ブログ,税務質疑応答 | 2020年10月19日 月曜日 11:10

Q. 
私は飲食店を運営する会社を経営しています。

当社は、このたびの新型コロナウイルス感染症の影響により休業を余儀なくされたため、従業員を全員休ませ、労働基準法にしたがって休業手当を支給しています。

この休業手当の支給について、厚生労働省の「雇用調整助成金」を受給するための手続きを現在進めていますが、この雇用調整助成金を受給した場合、その助成金額は法人税法上どのように取り扱われるのでしょうか。

A.
 ご相談の助成金については、法人税法上の益金に算入され、法人税の課税対象となります。

[解説]
1.雇用調整助成金の概要
雇用調整助成金とは、新型コロナウイルス感染症の影響を含めた経済上の理由等により事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用調整を行わざるを得ない事業主が、労使間の協定に基づいて一時的に休業(※1)等を行い、休業手当(※2)を支払って労働者の
雇用を維持した場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するものです。

※1 雇用調整助成金における「休業」とは、所定労働日に従業員を休ませることをいい、単に事業所が営業を休むことだけでは休業には該当しないとされています。

※2 休業手当とは、労働基準法上の休業手当をいいます。このため、休業期間中の休業手当の額が、労働基準法に定める平均賃金の60%を下回っていた場合は、雇用調整助成金は支給されません。

2.雇用調整助成金の、法人税法上の取扱い

 法人税法上、法人(会社)の各事業年度の所得の金額の計算上(法人税の計算上)、その事業年度の益金(収入)の額に算入すべき金額は、原則として、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で、資本等取引(※3)以外のものに係るその事業年度の収益の額とするものと定められています。

 今回のご相談の雇用調整助成金は上記の「資本等取引」には該当しないことから、その助成金額は法人税法上の益金の額に算入され、法人税の課税対象となります。
※3 資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引や法人が行う利益や剰余金の分配等をいいます。

[参考]
 法法22、厚生労働省「雇用調整助成金FAQ」など

《税務質疑応答》新型コロナウイルスによる業績悪化を受けての役員報酬減額改訂と法人税について

Q. 
 私は楽器レンタル業を営む会社(9月決算)を経営しています。

 このたびの新型コロナウイルス感染症の影響により、3月以降の各種演奏会が軒並み中止・延期となった結果、3月の売上高は前年同月比で70%も減少し、今後さらにこの減少傾向が続くことが見込まれています。

 このままでは会社が存続できないため、臨時株主総会の決議を経たうえで私の役員報酬を急きょ50%減額したのですが、この場合、減額前・減額後それぞれの役員報酬支給額は、法人税法上の損金となるのでしょうか。

A.
 ご相談の場合、減額改定前の各支給時期における支給額と、減額改定後の各支給時期における支給額がそれぞれ同額であることを前提としますと、各支給時期に支給された役員報酬は、法人税法上の損金に算入できるものと考えられます。

[解説]
1.法人税法上の役員給与の、基本的な考え方
 法人税法上、法人が役員に対して支給する報酬(退職給与等を除きます)で、「定期同額給与」(支給時期が1ヶ月以下の一定の期間ごとである給与で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものをいいます)等に該当しないものについては、その法人の損金(会社の経費)の額には算入できないことと定められています。

 また、役員報酬は、原則としてその事業年度開始から3ヶ月以内に決定・改定されたものでなければならないとも定められています。

2.「業績悪化改定事由」に該当した場合の取扱い
 上記1.以外の原則的な改定以外にも、会社の経営状況が著しく悪化(「業績悪化改定事由」に該当)したために事業年度途中で役員報酬を減額改定した場合、その減額改定前の各支給時期における支給額と、減額改定後の各支給時期における役員報酬の支給額がそれぞれ同額であれば、改定前・改定後それぞれの役員報酬支給額は上記1.の定期同額給与として損金に算入できることとされています。
 新型コロナウイルス感染症の影響により売上高が大きく減少した結果、やむを得ず役員報酬を減額せざるを得ない事情が発生したという今回のご相談の内容は、業績悪化改定事由に該当するものと考えられます。

 したがって、減額改定前の各支給時期における支給額と、減額改定後の各支給時期における役員報酬の支給額がそれぞれ同額であれば、ともに損金に算入できるものと考えられます。
 新型コロナウイルス感染症が経営環境に与える悪影響は、当初の想像を遥かに超えるレベルまで進展してきています。会計事務所は、中小企業の皆様の経営や資金繰りを専門家として支えるパートナーですので、このような厳しいときにこそ、ぜひご相談をいただき、一緒にこの難局に立ち向かわせていただければと思います。

[参考]
 法法34、法令69、法基通9-2-13、国税庁「役員給与に関するQ&A」など

《税務質疑応答》マンション修繕積立金の消費税法上の取扱いについて

代表ブログ,税務質疑応答 | 2019年11月22日 金曜日 14:11

Q. 
先日、投資用マンション(住宅用)の維持管理費として毎月支払う「修繕積立金」について、所得税法上の取扱いをお尋ねしましたが、消費税法上の取扱いについても教えてください。

なお、この修繕積立金はその住宅用マンションの共用部分の修繕を主な目的として、徴収されるものです。

A. 
ご相談の修繕積立金(住宅用マンションについて支払った修繕積立金)についての消費税法上の取扱いは、非課税取引(非課税仕入れ)であると考えられます。

[解説]

1. 消費税法上の非課税取引とは
 消費税法では、国内において行われる資産の譲渡等(資産の売買や貸付け、サービスの提供など)のうち、下記のようなものについては、原則的に消費税を課税しないこと(非課税)とされています。

(原則として消費税が非課税であると定められている国内取引の例)
• 土地の譲渡及び貸付け
• 有価証券等の譲渡
• 預貯金の利子
• 社会保険医療の給付等
• 介護保険サービスの提供
• 社会福祉事業等によるサービスの提供
• 学校教育
• 住宅の貸付け(1ヶ月未満の貸付けなどは除きます)

2. 修繕積立金の消費法上の取扱い

 上記1.のとおり、住宅の貸付けについては原則として消費税が非課税とされていますので、投資用マンションを購入し、それを住宅用として賃貸した場合に受取る賃料の消費税法上の原則的な取り扱いも、非課税取引(貸主側は非課税売上げ、借主側は非課税仕入れ)となります。

 また、住宅用マンションの共益費についても、住宅を共同で利用する上で居住者が共通に使用すると認められる部分の費用を、居住者に応分に負担させる性格のものについては、共益費、管理費等その名称にかかわらず非課税取引とされています。

 マンション修繕積立金は賃料や共益費とは別に徴収されることが多いと思われますが、その消費税法上の取扱いについては、修繕積立金の請求名目が、共用部分の修繕や各戸の配管、配線、バルコニー等専用部分の修繕等に充てるためのものである場合には、上記の共益費と同様に、消費税法上の取扱いは非課税取引とされています。

 したがって、今回のご相談の修繕積立金についても、住宅用マンションの共用部分の修繕を主な目的として徴収されることから、消費税法上の取扱いは非課税取引(貸主側は非課税売上げ、借主側は非課税仕入れ)となります。

[参考]
 消法6、消法別表第一、国税庁質疑応答事例「集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定」など

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