代表ブログ

《税務質疑応答》領収書を再発行した場合の印紙税の取扱い

代表ブログ,税務質疑応答 | 2021年4月14日 水曜日 15:04

Q. 
 私は個人でレンタルオフィスを経営しています。

 そのレンタルオフィスに入居しているテナントから、「過去1年分の家賃の領収書を再発行してほしい」という依頼があり、これに応じることにしたのですが、再発行する領収書についても、印紙を貼る必要があるのでしょうか。

 なお、そのテナントの1ヶ月あたりの家賃は、10万円(消費税込み)で、過去に発行した領収書には所定の印紙をきちんと貼ってテナントに渡してあります。

A.
ご相談の場合、再発行する家賃の領収書にも、印紙を貼っていただく必要があります。

[解説]
1.印紙税の課税対象となる領収書
 印紙税法では、「課税物件」として定められた文書に対して印紙税を課税することが定められています。

 「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書(いわゆる領収書)」もその課税物件の1つとされており、領収書に記載金額がある場合には、その記載金額に応じて1通につき200円から20万円、記載金額がない領収書については1通につき200円の印紙税が課税されるため、該当する領収書については、定められた金額の印紙を貼らなければいけないこととなります。

2.領収書を再発行した場合の印紙税の取扱い
 印紙税法上、印紙税が課税されない(非課税)領収書とは、「非課税物件」として定められた領収書のみであると定められています。

 具体的には、記載された受取金額が5万円未満の領収書などが該当します(※)。
※なお、売上代金以外の領収書についても、記載金額が5万円以上のものについては、原則として印紙税が課税されます。ただし、この場合の印紙税額は売上代金に関する領収書とは異なり、記載金額5万円以上のものについて、一律200円と定められています。

 今回のご相談の場合、ご相談者が過去に発行された領収書には印紙がきちんと貼り付けられていることから、再発行する領収書には印紙を貼る必要はないと考えたいところですが、上記の通り、印紙税は、その領収書が課税文書である限り(=非課税物件に該当しない限り)、同じ取引について領収書を数回発行した場合には、発行した枚数だけ印紙税が課税されることになります。

 したがって、再発行する家賃の領収書にも、印紙を貼っていただく必要があることとなりますのでご注意ください。

[参考]
印法2、5、別表第一、印基通2、34、国税庁印紙税相談事例など

《税務質疑応答》年末調整(配偶者が勤務先から受給した休業手当の取扱い)

代表ブログ,税務質疑応答 | 2020年12月21日 月曜日 13:12

Q. 
 私は会社勤めをしている者です。

 年末調整の時期となり、会社から年末調整用紙が配布されたのですが、「給与所得者の配偶者控除等申告書」の「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」欄の記載にあたり、妻がパート勤務先から受給した「休業手当」を収入金額や所得金額に含めるべきかどうかについて教えてください。

 なお、妻の勤務先からの説明によると、妻が受給したその休業手当は、「労働基準法上の休業手当」として支払われたものとのことです。

A.
[回答]
 ご相談の休業手当の受給額は、「給与所得者の配偶者控除等申告書」の「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」欄の記載において、収入金額等に含めていただく必要があるものと考えられます。

[解説]
1.配偶者控除制度の概要
 所得税法上、納税者が「控除対象配偶者(※1)」を有する場合には、その納税者のその年分の所得金額に応じて、13万円から48万円までの控除を受けることができます。
※1 控除対象配偶者とは、所得金額が1,000万円以下の納税者の同一生計配偶者(所得金額が48万円以下の配偶者)をいいます。

なお、所得金額48万円以下の配偶者とは、配偶者のその年の収入が給与収入のみである場合には、(給与の)年収103万円以下の配偶者を指すこととなります。
※2 配偶者控除の適用が受けられないときでも、一定の要件を満たす場合には、納税者本人について1万円から38万円までの所得控除を受けるという制度が別で設けられています。こちらの控除は、配偶者特別控除といいます。

2.年末調整で、配偶者控除を受けるための手続き
 給与所得者が年末調整で配偶者控除(もしくは配偶者特別控除)の適用を受けるためには、次の手続きを行う必要があります。
①会社等に、その年分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していること
②会社等に、その年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに、「給与所得者の配偶者控除等申告書(※3)」を提出していること

 上記②の「給与所得者の配偶者控除等申告書」には、配偶者の本年中の給与収入の見積金額等を記載することとなります。
※3 給与所得者の配偶者控除等申告書は、年末調整の申告書のうち、「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」と記載された申告書に含まれています。

3.労働基準法上の休業手当と、配偶者控除の関係
 労働基準法では、使用者(会社)の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は(会社)、休業期間中、その労働者(従業員)に平均賃金の60%以上の手当(休業手当)を支払わなければならないと定められています。
 所得税法上、労働基準法上の休業手当(※4)については、所得税法上の非課税所得には該当せず、給与所得として所得税が課税されることとされています。
 今回のご相談の場合、奥様が受給された休業手当は、労働基準法上の休業手当として支払われたものとのことですので、所得税法上の非課税所得には該当せず、所得税が課税されるものと考えられます。
 したがって、「給与所得者の配偶者控除等申告書」の収入金額等には、その休業手当の金額も含めて記載していただく必要があることとなります。
※4 労働基準法の休業手当は、労働基準法上の「災害補償」の規定にもとづくもの(休業補償)とは異なります。休業手当と災害補償では、所得税法上の取扱いも異なりますので、ご注意ください。

[参考]
所法2、9、28、83、190、195の2、所令20、労働基準法26、75、76、国税庁「年末調整Q&A」など

《税務質疑応答》新型コロナウイルス感染症の影響により受給する雇用調整助成金と法人税について

代表ブログ,税務質疑応答 | 2020年10月19日 月曜日 11:10

Q. 
私は飲食店を運営する会社を経営しています。

当社は、このたびの新型コロナウイルス感染症の影響により休業を余儀なくされたため、従業員を全員休ませ、労働基準法にしたがって休業手当を支給しています。

この休業手当の支給について、厚生労働省の「雇用調整助成金」を受給するための手続きを現在進めていますが、この雇用調整助成金を受給した場合、その助成金額は法人税法上どのように取り扱われるのでしょうか。

A.
 ご相談の助成金については、法人税法上の益金に算入され、法人税の課税対象となります。

[解説]
1.雇用調整助成金の概要
雇用調整助成金とは、新型コロナウイルス感染症の影響を含めた経済上の理由等により事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用調整を行わざるを得ない事業主が、労使間の協定に基づいて一時的に休業(※1)等を行い、休業手当(※2)を支払って労働者の
雇用を維持した場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するものです。

※1 雇用調整助成金における「休業」とは、所定労働日に従業員を休ませることをいい、単に事業所が営業を休むことだけでは休業には該当しないとされています。

※2 休業手当とは、労働基準法上の休業手当をいいます。このため、休業期間中の休業手当の額が、労働基準法に定める平均賃金の60%を下回っていた場合は、雇用調整助成金は支給されません。

2.雇用調整助成金の、法人税法上の取扱い

 法人税法上、法人(会社)の各事業年度の所得の金額の計算上(法人税の計算上)、その事業年度の益金(収入)の額に算入すべき金額は、原則として、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で、資本等取引(※3)以外のものに係るその事業年度の収益の額とするものと定められています。

 今回のご相談の雇用調整助成金は上記の「資本等取引」には該当しないことから、その助成金額は法人税法上の益金の額に算入され、法人税の課税対象となります。
※3 資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引や法人が行う利益や剰余金の分配等をいいます。

[参考]
 法法22、厚生労働省「雇用調整助成金FAQ」など

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