ニュース&トピックス

《税務質疑応答》国民年金後納制度と社会保険料控除について

ニュース&トピックス,税務質疑応答 | 2019年2月4日 月曜日 16:02

Q. 
私は自営業者です。
このたび、過去3年間にわたって未納となっていた国民年金保険料を、今年8月に「後納」により一括納付することにしました。
この納付した国民年金保険料は、所得税法上、どの年分の社会保険料控除として所得から控除できるのでしょうか。

A. 
ご相談の場合、今年8月に納付する国民年金保険料は、今年の社会保険料控除の対象となりますので、今年の所得から控除することとなります。

[解説]

1.国民年金の後納制度とは
国民年金保険料が未払いとなっている場合、その保険料を過去に遡って支払うことができるのは、本来は2年前までの保険料とされています。
それより過去の分に関しては、時効となり、原則的には遡って納付することはできません。
しかし近年、国民年金の納付率の低さによる無年金者の増加などが社会問題化したことが発端となって、特例法により過去2年分より前の国民年金保険料を納付できるように設けられた制度が「後納制度」です。
この後納制度を利用できるのは、次のような方です。

1. ①20歳以上60歳未満の方で、過去5年以内に納め忘れの期間(納付・免除以外)や未加入期間がある方
2. ②60歳以上65歳未満の方で、上記ⅰの期間のほか任意加入中に納め忘れの期間がある方
3. ③65歳以上の方で、老齢年金の受給資格がなく任意加入中の方など

2.「追納」と「後納」の違い

国民年金には、1.で述べた後納制度のほかにも「追納」という制度があります。
この「追納」とは、前年の所得が一定額以下の方などが国民年金法の定める手続きを行った上で国民年金保険料の「免除」や「猶予」を受けていた期間の分を、後から納付することをいいます。
この追納の場合は10年間まで遡って支払うことができます。
これに対し「後納」とは、上記の免除や猶予の適用を受けていない方が、国民年金保険料を納付していない場合(未納の場合)に、未納となっている期間分の国民年金保険料を後から納付することをいいます。

3.後納制度利用のための手続き

後納制度を利用するためには、最寄りの年金事務所に「国民年金後納保険料納付申込書」を提出することが必要です。
ただし、この制度は平成30年9月30日で終了します。
さらに、平成30年9月30日は日曜日のため、平成30年9月28日(金曜日)までに年金事務所で手続きを行うことが必要です。

4.後納した国民年金保険料の所得税法上の取扱い

所得税法上、納税者が自分や生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料(国民年金保険料など)を支払った場合には、その支払った社会保険料をその年分の所得から控除することができます。
これを「社会保険料控除」といいます。
社会保険料として控除できる金額は、その年に実際に支払った金額です。
このため、本年中に支払った国民年金保険料であれば、それが過去の年分のものであっても本年分の社会保険料控除の対象になります。
この社会保険料控除については、自営業者の方の場合は、所得税の確定申告書に、その保険料の支払を証する書類(控除証明書など)を、確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示する必要があります。
後納制度を利用することで、年金額が増えたり、納付した期間が不足して年金を受給できなかった方が年金受給資格を得られたりする場合があります。
また、4.で述べたように、納付した国民年金保険料は、その年分の所得から控除することもできます。
後納制度を利用できる期間は残りわずかですので、未納となっている期間がある方は、後納制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

[根拠法令等]
 所法74、120、国民年金法87、88、90、91、94、102、国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律附則2など

《税務質疑応答》個人から政党へ寄付等した場合の取り扱いについて

代表ブログ,税務質疑応答 | 2019年1月23日 水曜日 13:01

Q. 
 私はこのたび、支持する政党を応援するために下記の支出を行いました。
1. 政治資金パーティーのパーティー券を購入した費用
2. 支持政党の後援会の会費
3. 支持政党(政治資金規正法に定める政党に該当します)への政治献金
 上記1. ~3. の支出について、所得税法上の寄附金控除(もしくは政党等寄附金特別控除)の適用を受けることはできるのでしょうか。

A. 
[回答]
ご相談の場合、1. と2. については所得税法の寄附金控除の対象にはなりません。
3. については、寄附金控除もしくは政党等寄附金特別控除の対象となります。
実際の適用にあたっては、以下[解説]をご確認ください。

[解説]
1.個人が政党へ寄附等をした場合の取扱いの概要
所得税法上、個人が政治活動に関する寄附を行った場合において、寄附金の領収書等を確定申告書に添付して提出すること等の要件を満たすときは、その寄附金額のうち一定額をその年分の所得から控除することができます。
これを寄附金控除といいます。この寄附金控除の金額は、下記の算式によって求められます。

◆寄附金控除の算式
 次のイ、ロのいずれか低い金額-2,000円=寄附金控除額

  イ その年に支出した特定寄附金の額の合計額
  ロ その年の総所得金額等の40%相当額

また、個人が平成31年12月31日までに支払った政治活動に関する寄附金のうち、政治資金規正法に規定する政党など一定の団体へ寄附したものについては、上記1.の寄附金控除に代えて、以下の算式で計算した政党等寄附金特別控除額について、税額控除を受けることができます。

◆政党等寄附金特別控除額の算式

{(その年に支払った政党等寄附金の合計額)-2,000円}×30%=政党等寄附金特別控除額
 ※百円未満切り捨て。その年分の所得税額の25%相当額を限度とする。

このため、所得税法上の寄附金の規定の適用を受けられる政党等への寄附等を行った場合には、上記のとおり、寄附金控除(所得控除)と政党等寄附金特別控除(税額控除)のうち、いずれか有利な方を選択して、所得税の確定申告を行うこととなります。

2.寄付金控除の対象とならないもの
政治活動に関する支出であっても、政治資金パーティーのパーティー券を購入した費用は、政治資金パーティーの対価として支払うものであることから、寄附金には該当しません。

また、政党の後援会費は、後援会における一定の規約等に基づいて、その債務の履行として継続的、定期的に納入する金銭であることから、こちらも寄附金には該当しません。

したがって、政治資金パーティー券の購入費用と政党後援会費のいずれも、所得税法上の寄附金控除の対象にはならないこととなります。

このように、政党等へ寄附や政治献金を行った場合には、個人の所得税額を軽減できる場合がありますので、ぜひ当事務所へご相談ください。
[根拠法令等]
 所法78、120、262、所規47の2、措法41の18、措令26の27の3、措規19の10の3、政治資金規正法3など

《税務質疑応答》国から補助金を受給した場合の課税関係について

代表ブログ,税務質疑応答 | 2019年1月11日 金曜日 13:01

Q. 
私は製造業の会社を経営しています。
このたび、設備投資に関して国の補助金を受給したのですが、この補助金収入は会社の法人税の課税対象となるのでしょうか。

A. 
会社が国等から受給した補助金については、原則的に法人税の課税対象となります。

[解説]
1.法人税法上の補助金の課税関係
 法人税法では、「内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上その事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係るその事業年度の収益の額とする。」と定められています。

 大まかに言いますと、「<資本等取引>以外の収益は、原則的に、法人の所得として法人税が課税される」ということです。

 この「資本等取引」とは、①法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引、②法人が行う利益又は剰余金の分配、③残余財産の分配又は引渡し、すなわち、「会社の資本金額を増減させたり、株主に配当などを行ったりすること」を指します。

 補助金収入はその資本等取引には該当しないため、補助金収入は、原則的に法人税法上の益金として法人税の課税所得に算入されることになります。

2.補助金に対する法人税の課税を繰り延べるための方法
 国等から受給した補助金に関する法人税法上の原則的な課税関係は上記1.のとおりです。
 しかし、会社が設備投資に関して国等から補助金を受給した場合に、その補助金収入に対して法人税が課税されると、補助金による資産の取得が困難となってしまいます。これでは補助金本来の目的を達成できなくなってしまうため、法人税法には「圧縮記帳」という制度が設けられています。

 この圧縮記帳とは、設備等の購入金額から補助金の額を差し引いた後の金額を購入価格とする税法上の技術的な処理のことです。

 圧縮記帳の適用を受けた事業年度においては、補助金の額相当額を法人税の課税所得から差し引くため、発生した補助金収入に対する法人税の課税を、翌年度以降に繰り延べることが可能となります。

 ただし、翌年度以降は圧縮記帳後の設備等の購入金額をもとに固定資産の減価償却が行われるため、その設備等についての各事業年度の減価償却費は減少します。このため、翌年度以降の課税所得は、圧縮記帳を行わなかった場合と比べて増加することになります。

 したがって、圧縮記帳は永久的に税額を減少させるのではなく、一時的な課税の繰り延べであることにご留意ください。

 最近ではいわゆる「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」など、設備投資に関して受給可能な補助金が多数登場しています。それらの補助金は、設備投資の資金源としては大いに有用ですが、その税務上の処理まで考慮しておかないと、思わぬ税負担が生じる可能性があります。

 また、圧縮記帳を行った場合と行わなかった場合とでは、各事業年度の税負担に差額が生じます。設備投資後の納税計画や資金繰り計画についても、あわせてご相談いただくとよいでしょう。
[根拠法令等]
 法法22、42、43、44など

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