代表ブログ

《税務質疑応答》遠隔地にて居住する親の扶養控除の適用について

代表ブログ,税務質疑応答 | 2019年3月5日 火曜日 14:03

Q. 
 私はA県に居住し、A県の会社に勤務しています。

 私の両親はB県に居住しており、両親の収入は国民年金の老齢基礎年金(2人合わせて月額13万円弱)だけです。
国民年金だけでは両親の生活が厳しいため、私は両親に生活費相当の金額(月額10万円前後)の仕送りをしています。

 上記のとおり、私は両親と別居しているのですが、私は両親を所得税法上の扶養控除の対象とすることができるのでしょうか。

A. 
ご相談の場合は、ご両親を所得税法上の扶養控除の対象とすることができると考えられます。

[解説]
1.所得税法上の扶養親族の概要とその範囲

(1)概要
 納税者に所得税法上の扶養親族がいて、その扶養親族が一定の要件に該当する場合には、一定の金額の所得控除(扶養控除)が受けられます。
これを所得税法上の扶養控除といいます。

(2)所得税法上の扶養親族とは
 所得税法上の扶養親族とは、その年の12月31日の現況で、納税者と「生計を一」にするもの(※1)のうち、合計所得金額(※2)が38万円以下の人をいいます。
1. ※1 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人。
2. ※2 合計所得金額とは、事業所得、不動産所得、給与所得、雑所得などの合計額に、退職所得金額、山林所得金額を加算した金額をいいます。

(3)扶養控除の対象となる扶養親族の範囲
 所得税法上の扶養控除の対象となる扶養親族(控除対象扶養親族)とは、上記(2)の扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人をいいます。

2.遠隔地に居住する両親を扶養控除の対象とできる場合

 今回のご相談のように、納税者が両親と別居していても、納税者から両親に対して、常に生活費・療養費等の送金が行われている場合には、これらの親族は「生計を一」にしているものとして取り扱うこととされています。

 したがって、送金額が生活費相当で、かつ、両親が所得要件を満たしていれば、たとえ遠くに離れて暮らしている場合であっても扶養控除の対象となります。

 今回のご相談の場合、ご両親への送金額が生活費相当であり、かつ、ご両親の収入が老齢基礎年金だけであることから所得要件も満たしていると考えられるため、ご両親を所得税法上の扶養親族の対象とすることはできると考えられます。

 なお、法令上、納税者が両親を所得税法上の扶養親族の対象とすることについて、会社や税務署に対して両親と「生計を一」にしていることを証明する書類等を提出することまでは必要とされていませんが、正しい扶養控除の計算を行うために、両親へ生活費を送金している事実として、振込票や現金書留の写しなどを会社等に提示して確認を受けておくことをお勧めします。

[根拠法令等]
 所法2、地方税法23、24の5、34、292、295、311、314の2、所基通2-47など

《税務質疑応答》国民年金後納制度と社会保険料控除について

税務質疑応答 | 2019年2月4日 月曜日 16:02

Q. 
私は自営業者です。
このたび、過去3年間にわたって未納となっていた国民年金保険料を、今年8月に「後納」により一括納付することにしました。
この納付した国民年金保険料は、所得税法上、どの年分の社会保険料控除として所得から控除できるのでしょうか。

A. 
ご相談の場合、今年8月に納付する国民年金保険料は、今年の社会保険料控除の対象となりますので、今年の所得から控除することとなります。

[解説]

1.国民年金の後納制度とは
国民年金保険料が未払いとなっている場合、その保険料を過去に遡って支払うことができるのは、本来は2年前までの保険料とされています。
それより過去の分に関しては、時効となり、原則的には遡って納付することはできません。
しかし近年、国民年金の納付率の低さによる無年金者の増加などが社会問題化したことが発端となって、特例法により過去2年分より前の国民年金保険料を納付できるように設けられた制度が「後納制度」です。
この後納制度を利用できるのは、次のような方です。

1. ①20歳以上60歳未満の方で、過去5年以内に納め忘れの期間(納付・免除以外)や未加入期間がある方
2. ②60歳以上65歳未満の方で、上記ⅰの期間のほか任意加入中に納め忘れの期間がある方
3. ③65歳以上の方で、老齢年金の受給資格がなく任意加入中の方など

2.「追納」と「後納」の違い

国民年金には、1.で述べた後納制度のほかにも「追納」という制度があります。
この「追納」とは、前年の所得が一定額以下の方などが国民年金法の定める手続きを行った上で国民年金保険料の「免除」や「猶予」を受けていた期間の分を、後から納付することをいいます。
この追納の場合は10年間まで遡って支払うことができます。
これに対し「後納」とは、上記の免除や猶予の適用を受けていない方が、国民年金保険料を納付していない場合(未納の場合)に、未納となっている期間分の国民年金保険料を後から納付することをいいます。

3.後納制度利用のための手続き

後納制度を利用するためには、最寄りの年金事務所に「国民年金後納保険料納付申込書」を提出することが必要です。
ただし、この制度は平成30年9月30日で終了します。
さらに、平成30年9月30日は日曜日のため、平成30年9月28日(金曜日)までに年金事務所で手続きを行うことが必要です。

4.後納した国民年金保険料の所得税法上の取扱い

所得税法上、納税者が自分や生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料(国民年金保険料など)を支払った場合には、その支払った社会保険料をその年分の所得から控除することができます。
これを「社会保険料控除」といいます。
社会保険料として控除できる金額は、その年に実際に支払った金額です。
このため、本年中に支払った国民年金保険料であれば、それが過去の年分のものであっても本年分の社会保険料控除の対象になります。
この社会保険料控除については、自営業者の方の場合は、所得税の確定申告書に、その保険料の支払を証する書類(控除証明書など)を、確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示する必要があります。
後納制度を利用することで、年金額が増えたり、納付した期間が不足して年金を受給できなかった方が年金受給資格を得られたりする場合があります。
また、4.で述べたように、納付した国民年金保険料は、その年分の所得から控除することもできます。
後納制度を利用できる期間は残りわずかですので、未納となっている期間がある方は、後納制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

[根拠法令等]
 所法74、120、国民年金法87、88、90、91、94、102、国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律附則2など

《税務質疑応答》個人から政党へ寄付等した場合の取り扱いについて

代表ブログ,税務質疑応答 | 2019年1月23日 水曜日 13:01

Q. 
 私はこのたび、支持する政党を応援するために下記の支出を行いました。
1. 政治資金パーティーのパーティー券を購入した費用
2. 支持政党の後援会の会費
3. 支持政党(政治資金規正法に定める政党に該当します)への政治献金
 上記1. ~3. の支出について、所得税法上の寄附金控除(もしくは政党等寄附金特別控除)の適用を受けることはできるのでしょうか。

A. 
[回答]
ご相談の場合、1. と2. については所得税法の寄附金控除の対象にはなりません。
3. については、寄附金控除もしくは政党等寄附金特別控除の対象となります。
実際の適用にあたっては、以下[解説]をご確認ください。

[解説]
1.個人が政党へ寄附等をした場合の取扱いの概要
所得税法上、個人が政治活動に関する寄附を行った場合において、寄附金の領収書等を確定申告書に添付して提出すること等の要件を満たすときは、その寄附金額のうち一定額をその年分の所得から控除することができます。
これを寄附金控除といいます。この寄附金控除の金額は、下記の算式によって求められます。

◆寄附金控除の算式
 次のイ、ロのいずれか低い金額-2,000円=寄附金控除額

  イ その年に支出した特定寄附金の額の合計額
  ロ その年の総所得金額等の40%相当額

また、個人が平成31年12月31日までに支払った政治活動に関する寄附金のうち、政治資金規正法に規定する政党など一定の団体へ寄附したものについては、上記1.の寄附金控除に代えて、以下の算式で計算した政党等寄附金特別控除額について、税額控除を受けることができます。

◆政党等寄附金特別控除額の算式

{(その年に支払った政党等寄附金の合計額)-2,000円}×30%=政党等寄附金特別控除額
 ※百円未満切り捨て。その年分の所得税額の25%相当額を限度とする。

このため、所得税法上の寄附金の規定の適用を受けられる政党等への寄附等を行った場合には、上記のとおり、寄附金控除(所得控除)と政党等寄附金特別控除(税額控除)のうち、いずれか有利な方を選択して、所得税の確定申告を行うこととなります。

2.寄付金控除の対象とならないもの
政治活動に関する支出であっても、政治資金パーティーのパーティー券を購入した費用は、政治資金パーティーの対価として支払うものであることから、寄附金には該当しません。

また、政党の後援会費は、後援会における一定の規約等に基づいて、その債務の履行として継続的、定期的に納入する金銭であることから、こちらも寄附金には該当しません。

したがって、政治資金パーティー券の購入費用と政党後援会費のいずれも、所得税法上の寄附金控除の対象にはならないこととなります。

このように、政党等へ寄附や政治献金を行った場合には、個人の所得税額を軽減できる場合がありますので、ぜひ当事務所へご相談ください。
[根拠法令等]
 所法78、120、262、所規47の2、措法41の18、措令26の27の3、措規19の10の3、政治資金規正法3など

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