代表ブログ

《賃金、夏季賞与》2015年中小企業の夏季賞与の相場は?

その他,代表ブログ | 2015年6月22日 月曜日 15:06

(質問)

今春闘では大企業が一時金の満額回答を出したとの報道が相次ぎましたが、当社も夏季賞与の増額を考えています。

中小企業の相場を教えてください。
 

(回答)

まず、賞与支給の前提となる企業業績の動向から振り返ってみましょう。

財務省「法人企業統計調査」によると、昨年10~12月期の全企業(資本金1千万円以上、金融機関を除く)の売上高は、前年比+2.4%と6四半期連続で前年同期を上回りました。

2013年半ば頃から、円安コストの一部を価格に転嫁する動きが広がり始め、デフレ経済の下で続いてきた売上高の減少に歯止めがかかりつつあります。

さらに、円安による輸出受取額や海外事業収益の増加と、原油安によるコスト減少が収益増に寄与し、経常利益は前年比+11.6%と12四半期連続で前年同期を上回り、過去最高を記録しました。

こうした好業績を背景に、2015年の春季労使交渉では、大手企業で一時金の満額回答が相次ぎました。

大手企業では、安倍首相による異例の賃上げ要請を受ける形で、すでに2014年春から円安が収益増加に寄与した製造業を中心に賃上げの動きがみられていましたが、本年は、円安がむしろ逆風となった小売、外食などの非製造業にも引き上げの動きが広がりました。また、非正規雇用者の時給アップなども相次ぎました。

いずれも、今後の事業展開に欠かせない人材確保やモチベーションアップをにらんでの動きとなります。

こうしたなかで、2015年夏季賞与(厚生労働省、従業員規模5人以上ベース)は、全体では+2.3%と2年連続の前年比プラスとなる見通しです。

一方、中小企業の業績や景況感についても、ようやく回復の動きが出てきています。

前出の財務省「法人企業統計調査」の利益動向を、企業規模別にみると、資本金1000万円から1億円の中小企業の経常利益は、前年同期比+19.0%と、上場企業が多い資本金10億円以上の大企業の同+9.4%を大幅に上回る伸びとなりました。

ただし、水準としては低いため、大手に比べると労働分配率が高く、人件費負担は依然として重いものとなっています。

景況感も、日銀短観4月調査によると、業況判断DI(良い─悪い)は、中小企業は2%ポイントの「良い」超にとどまり、大企業の同16%ポイントに比べ改善が遅れています。

このように中小企業の場合、業績は改善しているものの、その改善度合いが大手企業よりも小さいため、今夏の賞与伸び率は+1%程度にとどまると予想されます。

〇中小にも賃上げを要請

もっとも、世の潮流として、中小企業にも賃上げ圧力が高まりつつあることを視野にいれておく必要があります。

今年4月の政労使会議で、安倍首相は中小企業にも賃上げを要請しました。

政府は、この環境整備に向け、中小企業が原材料高などの価格転嫁を着実に実現できるよう、下請法に基づく大企業への立ち入り検査などの監視を強める方針です。

また経団連も会員企業に、取引先の中小企業との間で、原材料費が高騰した際の取引価格の決め方などをあらかじめ合意しておくよう呼びかけています。

さらに、景気回復や少子化に伴う人手不足感も一段と強まっている状況です。

賞与の水準はあくまで自社の収益状況や個々の従業員の成果を基軸に決めるものですが、世の中の潮流は、従業員のモチベーションや今後の人材確保の成否を左右します。

このため今夏の賞与支給にあたっては、戦略的に決めることが重要でしょう。

《経営、雇用》2015年中小企業の賃上げ相場は

その他,代表ブログ | 2015年4月10日 金曜日 18:04

【質問】

消費財の値上げが相次ぎ経営環境は厳しいですが、社員のモチベーションをあげるために賃上げを考えています。今年の中小企業の賃上げ相場を教えてください。

 

【回答】

2015年春季労使交渉(春闘)では、賃上げに向けた経営サイドの姿勢がかなり前向きになったことが注目されます。経団連は既に昨年の春闘で、賃上げという「選択肢もあり得る」という表現で6年ぶりに賃上げを容認する姿勢を打ち出していましたが、今春闘ではさらに踏み込んで、好業績の企業は賃金の引き上げを「前向きに検討することが強く期待される」としています。

 こうした動きの背景には、企業収益の改善が挙げられます。財務省が発表した2014年10~12月期の法人企業統計によると、全産業(資本金1000万円以上、金融機関を除く)の経常利益は、前年比+11.6%と12四半期連続で前年同期を上回り、過去最高を記録しました。円安による輸出や海外事業収益の増加に加え、原油安によるコスト減少が収益増に寄与しました。こうしたなか、企業の支払い能力を示す労働分配率(人件費÷付加価値)は、ほぼリーマン・ショック前の水準にまで低下してきており、賃上げ余力のある企業が増えています。

 さらに政府からの賃上げ要請も後押ししています。2年目を迎えた政労使会議でまとめられた合意文書では、今春闘での賃上げについて「政府の環境整備の取り組みの下、経済界は賃金の引き上げに向けた最大限の努力を図る」とされ、「企業収益の拡大を賃金上昇につなげる」とした昨年よりも強い表現となっています。

 一方、労働組合側も賃上げ要請を強めており、連合は2015年の春闘基本方針において「ベア+2%以上」と前年の「+1%以上」を大幅に上回る要求を掲げました。これを受けて、自動車総連や電機連合などでは、昨年を上回るベア要求が相次いでいます。

 このように、経営環境の改善が続き、労使ともに賃上げ機運が高まるなか、2015年の大手企業の賃上げ率は、昨年(厚生労働省ベース2.19%)を上回る2.3%に高まると見込まれます。

賃上げ率は1.8%強を予想

 以上を踏まえて、中小企業の賃上げ動向を展望してみましょう。

 まず、前提となる企業収益動向についてみると、徐々に持ち直しているものの、大手企業に比べて立ち遅れ感があることは否めません。中小企業では、海外展開による円安メリットを得る企業が限られる一方、円安がコスト高に直結する内需型企業が多いことが一因です。労働分配率の動きをみても、大企業に比べて改善が遅れており、賃上げ幅拡大に慎重な企業が多くなる見込みです。

 経団連調査の中小企業ベースの賃上げ率は、昨年は1.76%、額にして約4400円でした。このベースでいえば、2015年の賃上げ率は1.8%強、金額で4600円程度になると予想されます。

 このように、中小企業の賃上げ相場は、企業業績を反映し大企業に比べ緩やかな上昇にとどまると見込まれます。もっとも、中長期的にみると賃金上昇圧力は一段と高まっていくことが予想されます。デフレ脱却に伴う労働者の賃上げ要請が強まっていくとみられるほか、非製造業を中心に人手不足感が急速に強まっているためです。このため、事業構造の見直しによる収益体質の強化や省力化投資など、将来的な賃金上昇圧力への対応が急がれるといえましょう。

《経営情報-賞与》中小企業の冬季賞与の相場は?

その他,代表ブログ | 2014年12月11日 木曜日 09:12

(質問)

 消費税増税後、経営環境は厳しくなっていますが、人材確保の観点から今年も冬季賞与を支給する予定です。中小企業の相場を教えてください.

(回答)

 賞与は、半年前の企業収益に連動して動く傾向があります。もっとも今冬の賞与は、2014年度上期の企業収益に比べると強含む可能性が高いとみられます。

 まず、2014年度上期の日本経済を振り返ってみると、消費税増税後の需要が減退した後、持ち直す展開となりました。

 とはいえ、夏場にかけて天候不順やガソリン価格上昇の影響などもあり、分野や地域による好不調のばらつきが大きくなったことから、全体としての回復ペースは緩慢なものにとどまりました。

 日銀短観9月調査によると、今年4~9月期の企業収益は全規模全産業ベースで前年比▲6.6%の減益が見込まれています。

 このため、通常であれば、今冬の賞与は減少するのが道理です。

 しかし、1991年以来の23年ぶりの高い伸びとなった夏の賞与(事業所規模5人以上の1人当たり支給額前年比+3.1%)に比べるとやや伸びは鈍化するものの、増加するとみられます。

 これは第1に、2013年度に収益が改善した後も、多くの企業が人件費抑制の動きを続けたため、企業の人件費支払い余力があるためです。

 労働分配率(人件費÷付加価値額)は、2000年代半ばに人件費が増えた際の水準を下回るまでに低下しています。

 第2に、人手不足感の高まりが人件費上昇圧力となっていることも理由として挙げられます。

 日銀短観雇用判断DIをみると、中小企業を中心に、飲食、運輸、建設、小売など非製造業で特に人手不足感が高まっています。

 実際こうした業種では、非正規社員の正社員化など、人件費負担の増える人材囲い込み策に動く企業が相次いでいます。

 逆に、待遇改善の遅れた企業では、人材流出により業務の縮小に追い込まれた例もあります。

 
 第3に、政府の賃上げムード作りも指摘できます。

 デフレ脱却に向け、政府高官から異例の賃上げ要請が相次いだほか、政策面でも、一定の基準を満たした給与支払増加額に応じて、減税を認めるという所得拡大促進税制が拡充されました。

〇支給対象者を広げた中小企業

 ちなみに、夏の賞与を企業規模別にみると、事業所規模500人以上で前年比+8.1%、100~499人と30~99人で同+4.4%、5~29人では同▲2.1%となりました。

 一見すると規模が小さい5~29人企業だけ取り残されているようにみえますが、この数字の評価には注意が必要です。

 支給労働者割合をみると、大方の事業所が前年並みとなるなか、5~29人企業だけ2.2%ポイント上昇しています。

 このため、支給総額(1人当たり支給額×支給人数)の前年比は+4.3%と、他の規模の企業と大差ない数字となっています。

 5~29人企業の1人当たり支給額の減少は、実際に賞与が減額された例が増えたためではなく、賃金水準の低い飲食サービス業やパートタイマーまで支給対象者が広がった結果、統計上、平均額が押し下げられたにすぎません。

 今冬の賞与決定にあたっては、自社の収益や支払余力の多寡がまず前提となりますが、中小企業でも支給対象者を広げ、従業員のモチベーションアップに努めている動きが出ていることを視野に入れておくべきでしょう。

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