公開日:

中小企業も対象になりうる!グループ法人税制とは?

 Q1 
 
 グループ法人税制が創設されたそうですが、どんな内容ですか?

 A1 

 完全支配関係のある100%グループ内の内国法人間で一定の資産の移転を行ったことにより

 生ずる譲渡損益については、その資産をグループ外へ移転等する時まで繰り延べるなどの措置が創設されました。 

 これにより、グループ内では、含み損益を実現せずに、円滑に資産移転を行うことが可能となります。

(1)対象企業

 適用対象となるのは、法人の規模に関係なく、株式の100%所有関係にある内国法人グループです。

 特定の法人または同族株主グループあるいは個人によって株式の100%を所有されている内国法人

 グループが対象ですが、直接所有だけでなく、間接所有も対象となります。

 海外子会社は、例えば内国法人に100%所有されていても適用対象とはなりませんが、

 逆に、外国法人によって100%所有されている内国法人グループは対象となります。

 この制度は、連結納税のような選択ではなく、100%所有関係にある法人グループには、

 すべて強制適用となります。

 なお課税および納税は単体で行われます。

(2)対象資産

 固定資産、土地等、有価証券、金銭債権、繰延資産で、帳簿価額が1,000万円以上の資産

(3)適用時期

 平成22年10月1日以後の譲渡取引から適用されます。

(4)100%グループ内の内国法人間の資産の譲渡取引の具体例

 グループ内法人間で資産の移転があった場合には、その時点で資産の譲渡損益に対する

 課税は繰り延べられ、①グループの外にその資産が移転した時、②移転された資産が再び

 グループ内の法人に移転された時、③移転した法人あるいは移転を受けた法人がグループから

 離脱した時等に、それぞれの譲渡損益の課税が行われます。

 当制度は、強制適用です。

 会社決算での影響面は、会計上において譲渡等による損益が計上されますが、

 法人税の申告に際しては、譲渡損益相当額を税務調整を行うことによって、

 課税所得(税金計算上の利益)に影響を及ぼさない処理が行われます。

【事例】

 ①グループ内の内国法人A社が簿価5,000万円の土地を同じグループ内の法人B社に、

  2億円で譲渡した場合

(A社の会計処理)

 現金預金 2億円 / 土地    5,000万円
            譲渡益 1億5,000万円

 と上記のようになりますが、法人税の申告に際しては、法人税別表四で「グループ内取引

 調整額減算」等として、1億5,000万円を減算(留保)します。

(B社がグループ外へ土地を売却した場合)

 A社で繰り延べていた譲渡益を税務調整により実現させます。*1億5,000万円を加算します。

 このようにA社がB社が譲渡した時点で、法人税の申告において譲渡益を計上することになりますから、

 B社が譲渡したという情報がA社に正確に伝わらないと、A社の法人税の申告から譲渡益相当額が、

 漏れてしまうことにもなりかねません。

 グループ内法人間で、譲渡損益調整資産を譲渡した場合における課税の繰延べ制度の導入にあたり、

 譲渡法人と譲受法人が互いに一定の内容を通知しなければならないこととされました(相互通知義務)。

(5)総括

 このグループ法人税制は、上記の内容のとおり非常に難解な制度です。

 しかしながら、経営者の視点で気をつけるべきは、当制度が今年の10月より強制適用となること、

 要件も満たし対象資産を譲渡した場合については、企業規模に関係なく、例え中小企業であっても

 必要に応じた税務処理が必要です。

 上記で御案内した100%グループ内の内国法人間の資産の譲渡取引以外にも、

 グループ法人税制の実務的に重要な制度として、以下のようなものがあります。

 ①100%グループ内の内国法人間の寄付金の取り扱い

 ②100%グループ内の内国法人間の受ける配当の取り扱い

 ③大法人の100%子会社に対する中小企業向け特例措置の不適用 等々

 弊社は、グループ法人税制における税務においてエキスパートとして対応しております。

 グループ税制でお困りのことがあればお気軽に御相談下さい。

お問い合わせ
ご相談・ご質問、お気軽にお問い合わせください。
お電話でのお問い合わせ
0120-958-583
0120-958-583
受付時間:9:00~18:00(平日)
メールでのお問い合わせ
お問い合わせフォーム