【質問】
A社は、社長甲の土地を賃借し、その上に工場を建てているが、昭和56年12月「土地の無償返還に関する届出書」を税務署に提出している。
甲に相続の開始があった場合、この貸宅地の価額はどのように評価するか。
【回答】
借地権の設定に際しその設定の対価として通常権利金を支払う取引上の慣行のある地域において、権利金の授受がなく土地の無償返還に関する届出書が提出されている貸宅地の価額は、自用地としての価額の100分の80に相当する金額によって評価することとされている。
なお、使用貸借により宅地を法人に貸している場合には、その宅地の価額はその土地の自用地としての価額によって評価され、20%の評価減はされないことになっている。
【関連情報】 《法令等》 相続税法22条
財産評価基本通達25
昭60直資2-58相当の地代通達「8」
【解説】
土地の無償返還に関する届出書が提出されている借地契約は、当事者間において将来貸宅地を無償で返還することを約したものであることから、自用地としての価額によるべきであるとの考え方もあるが、土地の無償返還に関する届出書が提出されている土地といえども、借地借家法等の制約を受けること、また、その土地が相続等のときに無償返還されるわけではないことなどを勘案すれば、現在、借地権の慣行のない地域においてもその土地の価額の20%相当の借地権を容認していることとの権衡上、その土地の係る貸宅地の価額の評価についてもその土地の価額の20%相当額を控除することが適当であるとの考えによるものである。