健康志向の高まりや国際的な禁煙運動の流れに加えて、国内の公の場所での禁煙が拡大。愛煙家にとっては肩身の狭い思いをしているところに、今度は昨年10月、タバコの大幅値上げが追い討ちをかけます。しかし、かえってこれらの“現実”に背中を押されて禁煙への扉を開ける人が増えており、それに伴って「禁煙・節煙用品」が、がぜん活況を呈してきました。
ニコチンを含み禁断症状を一時的に抑える「ニコチンガム」、皮膚に貼ってニコチンを摂取し徐々に量を減らしていく「ニコチンパッチ」、タバコを吸いたいと思わなくさせる「経口薬」、パイプのフィルター部分に香料が含まれていてこれを吸うことで喫煙衝動を紛らわせる「禁煙パイプ」(マルマンの「禁煙パイポ」が代表的)、「離煙パイプ」「禁煙飴」「電子タバコ」など、まさに百花繚乱。ドラッグストアをはじめ、スーパー、コンビニ、ネット通販などを舞台に熱い闘いを繰り広げています。
中でも、特にこの市場を元気にしているのが「電子タバコ」です。火を使わず、見かけは従来のタバコと同じ。吸い口部分のカートリッジに液体が入っていて、吸い込むと本体のセンサーが感知し液体を電気的に霧状にし、その微粒子を吸引するという仕組みです。吐き出される際に発生するミスト(水蒸気)が、あたかも紫煙のように見え、さらに吸引と同時にタバコ先端が赤く発光するという、まさに“吸った感じ”“煙を吐いた感じ”が体感できます。
商品は、「本体」「フレーバーカートリッジ」「充電式バッテリー」の3点から構成されており、スターターキットとしては2,000〜3,000円、中には1万円台の高額なものもあります。その後は、ミント、グレープフルーツ、コーヒー、メンソール、バニラなどのカートリッジ交換にかかる費用だけ。
「電子タバコ」自体、開発されたのが中国ということもあり、現在日本国内で販売されている商品の大部分は中国製。中にはニコチン入りの電子タバコも存在しますが、薬事法の規制があるため、日本で販売されている商品にはニコチンやタールは入っていません。
昨年10月を境に、禁煙・節煙用品の出荷量は飛躍的な伸びを示しました。
オフィスやレストランでの全面禁煙も珍しくなくなり、就活で禁煙が採用の条件となる場合もあるといいます。今後、こういった流れが変わるとは考えにくく、まだまだ認知度が低い「電子タバコ」の底上げと共に、「禁煙用品」市場全体の成長が大いに期待できそうです。