休眠会社等の職権によるみなし解散手続が始まる
-令和4年は株式会社の28,615社がみなし解散となる-
-令和4年は株式会社の28,615社がみなし解散となる-
法務省は、法務局登記官の職権によるみなし解散手続き(休眠会社等の整理作業)を開始したことを10月12日に公表(官報公告)しましたので紹介します。
長期間登記が行われない株式会社、一般社団法人又は一般財団法人については、既に事業を廃止し実体がない状態となっている可能性が高く、このような休眠状態の株式会社等の登記をそのまま放置しておくと、休眠会社を売買するなど犯罪の手段とされかねない等からみなし解散手続き(休眠会社等の整理作業)を、法務局では平成26年以降毎年行なっています。
この場合、法務局から対象法人に通知があり、法務大臣の官報公告から2か月以内に登記申請又は「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしないときは、その2か月の期間の満了の時(令和5年12月13日)に解散したものとみなされます。
(過去5年間の職権によるみなし解散の法人数)
法人区分
実施年
|
解散したものとみなされた 株式会社数 |
解散したものとみなされた 一般社団法人及び一般財団法人数 |
---|---|---|
平成30年 | 24,720 | 1,208 |
令和元年 | 32,711 | 1,366 |
令和2年 | 31,516 | 1,487 |
令和3年 | 29,605 | 1,662 |
令和4年 | 28,615 | 1,798 |
(1) 対象法人
株式会社及び一般社団法人等(一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人を含みます。)が対象となり、最後の登記から株式会社は12年以上、一般社団法人等は5年以上登記申請をしていない場合に該当します。これは、法律上、株式会社の取締役の任期は原則2年(最長10年)、一般社団法人等の理事の任期は2年とされており、法律上、取締役等が再任された場合でも登記が必要とされているほか、上記の職権によるみなし解散規定(会社法第472条、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第149条)が設けられていることによります。なお、該当法人には、法務局から通知があります。
(注)株式会社及び一般社団法人等以外の法人は対象外とされています。
(関連情報)
株式譲渡に会社承認が必要とされる株式会社(非公開会社)は、取締役及び監査役の任期を選任後10年以内の終了事業年度のうち最終の定時株主総会の終結時まで延長が定款で定められる特例があります(会社法332②、336②)。
(2) 実際に事業を継続している株式会社等でも長期間登記手続きを行なっていないとき
このときでも職権によるみなし解散に該当し、法務局から通知がありますので注意が必要です。この場合には、法務大臣の官報公告から2か月以内に登記申請を行うか、又は「まだ事業を廃止していない」旨の届出を行う必要があります。
なお、この届出をしても、必要な登記申請を行わない限り、翌年も対象になります。
(3) 実際に事業を継続している株式会社等にもかかわらず、みなし解散となった場合
そのみなし解散の登記後3年以内に限り、株主総会(一般社団法人等は社員総会又は評議員会)の特別決議により株式会社等を継続することができますが、株主総会等の特別決議後2週間以内に継続登記申請を行わなければなりません。
なお、みなし解散となった場合には、その解散の日おいて事業年度が終了し翌日以降は清算中の事業年度として法人税の申告を行うことになりますので、注意が必要です。
★ この法務局の職権によるみなし解散手続き(休眠会社等の整理作業)は、株式会社及び一般社団法人等に限られた措置ですが、法人として事業を継続するに当たっては、対外的な信用を失わないためにも、定期的に登記手続が行なわれているかの確認をしておく必要がありそうです。
◎ 詳細につきましては、法務省ホームページ>法務省の概要>組織案内>内部部局>民事局>登記-商業・法人登記->「令和5年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について」をご覧ください。