平成21年税制改正のポイント(相続・贈与関係①)
1.非上場株式等に係る相続税の納税猶予制度
経営承継相続人が、非上場会社を経営していた被相続人から相続などによりその会社の株式などを取得し、会社を経営していく場合には、経営承継相続人が納付すべき相続税のうち相続などにより取得した議決権株式(相続開始前から既に保有していた議決権株式等を含め、その会社の発行済議決権株式等の総数等の3分の2に達するまでの部分に限る)などに係る課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されます。
平成20年10月1日以後の相続等について適用され、必要な措置が講じられます。
【猶予税額の計算】
(1) 相続税の納税猶予の適用がないものとして、通常の相続税額の計算を行い、各相続人の相続税額を計算します。(経営承継相続人以外の相続人の相続税額は、この額となります)
(2) 経営承継相続人以外の相続人の取得財産は不変とした上で、経営承継相続人が、通常の課税価格による特例適用株式等のみを相続するものとして計算した場合の経営承継相続人の相続税額と、課税価格を20%に減額した特例適用株式等のみを相続するものとして計算した場合の経営承継相続人の相続税額の差額を、経営承継相続人の猶予税額とします。
なお、(1)により算出した経営承継相続人の相続税額からこの猶予税額を控除した額が経営承継相続人の納付税額となります。
【猶予税額の計算】
経営承継相続人が特例適用株式等を死亡の時まで保有し続けた場合は、猶予税額の納付が免除されます。このほか、経済産業大臣の認定の有効期間(5年間)経過後における猶予税額の納付の免除については以下のとおりです。
(1) 特例適用株式等に係る会社に破産手続きの開始の決定または特別清算開始の命令があった場合、猶予税額の全額が免除されます。
(2) 贈与税の納税猶予制度の適用を受ける後継者へ特例適用株式等を贈与した場合、その適用を受ける特例適用株式等に係る相続税の猶予税額が免除されます。
(3) 同族関係者以外の人に保有する特例適用株式等を一括譲渡した場合、その譲渡対価または譲渡時価のいずれか高い額が猶予税額を下回るときは、その差額分の猶予税額が免除されます。