【質問】
当社では新たに土地を取得し、新社屋を建設する予定です。その場合、取得する土地には建物があり、その取り壊し、さらには整地が必要になります。また、その建物の所有者には立退き料を払わねばなりません。これらの新社屋建設に伴い発生する諸費用の処理はどのようにすべきでしょうか。
【回答】
まず、取得した土地に存する建物の取壊費ですが、法人税基本通達7-3-6によれば「法人が建物等の存する土地(借地権を含む)を建物等とともに取得した場合等において、その取得後おおむね一年以内に当該建物等の取り壊しに着手する等、当初からその建物等を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかであると認められるときは、当該建物等の取り壊しの時における帳簿価額及び取り壊し費用の合計額(廃材の処分により得た金額は控除)は、当該土地の取得価額に算入する。」とされています。貴社の場合、新社屋の建設ということで、建物を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかですので、この通達の条項に従って処理する必要があります。
次に、建物取り壊し後の土地の整地等に要する費用ですが、整地等に要する費用は原則的には土地の取得価額に算入されることとなりますが、たとえば、新社屋を高層化することで必要となる地盤強化のための整地費用のような場合にはその建物、すなわち新社屋の取得価額に算入されることになります。法人税法基本通達7-3-4の注書でも「専ら、建物等の建設の為に行う地盤強化等の工事に要した費用の額は、当該建物等の取得価額に算入する。」としています。
最後に、建物に入居していた者に支払う立退料ですが、「法人が土地、建物等の取得に際し、当該土地、建物等の使用者等に支払う立退料等の金額は、当該土地、建物等の取得価額に算入する」(法人税基本通達7-3-5)とされており、ご質問の場合については土地の取得価額に算入されることとなります。そもそも土地の買取価額はこの立退料を織り込済みの価額であるはずです。
なお、ご質問のケースは新たに土地等を取得した場合ですが、自社所有の土地の上にある既存の建物を取り壊し、建物を新築した場合のように既存の建物の立て替えだけの場合には、取壊費用、旧建物の帳簿価額、入居者に支払った立退料のいずれについても支出時の損金として認められます。
【関連情報】
《法令等》
法人税法施行令54条
法人税基本通達7-3-4
法人税基本通達7-3-5
法人税基本通達7-3-6